Date: 12月 20th, 2018
Cate: オーディオ評論
Tags:

「新しいオーディオ評論」(ベストバイとステレオサウンドのこと)

ベストバイの号しか買わない読者がいる、と書いているところだ。
私がいたころは確かにいた。

いまもそういう読者がいる(と確信している)。
ただ、昔と現在とでは、ベストバイの号しか買わないの意味あいに違いがあるのでは……、
そんなことも思っている。

ベストバイ以外の号で、スピーカーやアンプの総テストをやったりする。
常に総テストなわけではなく、それ以外にも特集の企画を考えて編集する。

読者のなかには、手っ取り早く結果だけを知りたい、とうい人がいる。
ここでの結果とは、結局のところが、どれがイチバンいいのか、ということだ。

ここでのイチバンいい、ということは、世評が一番いいのはどれか、という意味を多分に含んでいる。
総テストの試聴記を丹念に読むのは面倒。
ベストバイの点数の一番多いのが、イチバンいいスピーカーだったり、アンプなのだろう。

そういう考え、受け止め方をする読者が、昔はベストバイの号だけを買っていた。
いまもベストバイの号だけしか買わないという読者の多くは、こういう人たちかもしれない。

けれど、私のように昔のステレオサウンドは熱心に読んできた──、
そういう人たちが、いまはベストバイの号しか買わない読者になってきているような気もしてくる。

ステレオサウンドがつまらなくなった──、
そうおもっている人たちの多くは、何もいわない。
私のようにブログで書くような人は少ない。
編集部に直接何かをいう人も少ない。

そういう多くの人たちは、黙っている。
そしてステレオサウンドをいつのまにか買わなくなっている。

それでもまったく買わない、
オーディオ雑誌をまったく買わない、というのは、ちょっと寂しい。
何か読みたい、とか、今年一年どんな製品が出たのか、
それらを俯瞰的に把握だけしておきたい──、
そういう人にとっては、
以前ステレオサウンドが出していたHI-FI STEREO GUIDEがぴったりなのだが、
こんなに手間のかかる本は、いまのステレオサウンドは出してくれそうにない。

HI-FI STEREO GUIDE的な号としてのベストバイの号だけは買っておこう──、
そういう人がいてもふしぎではない。

つまり一年四冊の(現在の)ステレオサウンドは要らない、
ベストバイの号(グランプリもやっている)だけで事足りる──、
そういう考え、受け止め方をしている読者が、現在のベストバイの号だけを買っている──、
私の憶測である。
けれどそんなに的外れではないはずだ。

Leave a Reply

 Name

 Mail

 Home

[Name and Mail is required. Mail won't be published.]