とんかつと昭和とオーディオ(その7)
友人(オーディオマニアでもある)のAさんと、
先月も今月も、とんかつを食べにいっていた。
とんかつ屋で飲み、あれこれ食べて、最後に定食。
そしてデザート、コーヒーというのが、二人の間で流行っている。
そんなことができるとんかつ屋は、東京でもそう多くはないはずだ。
それに、あまり遠くに出掛けるのも億劫だし。
とんかつ屋も、やはりブームのようである。
つい先日も、二軒のとんかつ屋に行列ができていた。
どちらも予定していた店である。
飲んで食べてデザートまで、という店は、
最高のとんかつの提供を掲げている店ほどではない。
気軽に入れる店で、美味しい店だから繁盛するのもわかる。
最高のとんかつの提供を掲げている店も、行列はすごいのは知っている。
長い行列に並んでまで、という気持は二人ともない。
入ろうとしていたとんかつ屋が行列だったから、違う店に入り少しばかり飲み食いして、
行列がなくなったころをみはからって、ふたたびとんかつ屋に向う二人である。
東京で話題になっている最高級のとんかつ屋にはまだ行っていない。
そこでのとんかつがどういうものなのか、食べてないのだから何も言えないのだが、
先日Aさんと二人で食べたとんかつは、ご飯とよく合うのだ。
これは嬉しい驚きである。
とんかつだけを食べるよりも、ご飯といっしょに食べたくなるとんかつである。
もしかすると、最高級のとんかつ屋のとんかつは、
とんかつだけで食べた方が美味しいのかもしれない……、
そんなことを勝手に思いながら味わっていた。
今回食べたとんかつ屋のとんかつよりも、もっと美味しいとんかつはあるだろうし、
ご飯にしても、もっと美味しいご飯を出すところはあるはずだ。
けれど、とんかつとご飯をいっしょに食べての美味しいは、
個々のとんかつ、ご飯が美味しければ、それで味わえるとはかぎらない。
スピーカーとアンプの組合せは、そこはまったく同じである。
伊藤先生が《ラーメンと共に日本人に好かれる食いもの》とされるとんかつは、
ご飯と合うからこその《日本人に好かれる》わけだろう。