30年ぶりの「THE DIALOGUE」(あとすこし余談)
ステレオサウンド 46号の特集で、菅野先生がもっとも高く評価されていたのは、
UREIのModel 813である。
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ところで、今回の試聴で一番印象に残ったスピーカーは、ユナイテッド・レコーディング・エレクトロニクス・インダストリーズ=UREIの813というスピーカーである。このスピーカーは、いわゆるアメリカらしいスピーカーともいえる製品で、モニターとしての能力もさることながら、鑑賞用としての素晴らしさも十分に併せもっている製品であった。
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46号で、Model 813は初めて登場している。
特集だけでなく、新製品紹介のページでも、46号での登場である。
アルテックの604-8Gを使いながらも、
アルテックのスピーカーがそれまでのアメリカのスタジオモニターの流れを代表していたのに対し、
Model 813は新しい動きを提示した、ともいえよう。
Model 813の試聴記では、こう書かれている。
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モデル813と呼ばれるこのユニークなシステムは、正直なところ完全に私を魅了してしまった。その高域は、604-8Gとは似ても似つかぬ繊細かつ、明確、なめらかなハイエンドと化し、しなやかな弦の響きを再現するし、パルシヴな高域のハーモニックスも優美な音を響かせる。加えて、適度にダンピングをコントロールした低域の豊かさは素晴らしく、フェイズ感はナチュラルで、近来稀に聴く優れたスピーカーだった。
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《パルシヴな高域のハーモニックス》、
これは「THE DIALOGUE」の再生においてのことではないだろうか。
そう思っていま読み返すと、
「THE DIALOGUE」がそうとうにうまく鳴ったようにおもえてくる。