30年ぶりの「THE DIALOGUE」(その13)
廃刊どころか出版社そのものもなくなってしまったスイングジャーナルは、
毎年、最優秀録音盤を選んでいた。
国内録音と海外録音とに分けての、優秀録音盤の選定であった。
「THE DIALOGUE」が候補になっていたころのスイングジャーナルを、読んでいない。
「THE DIALOGUE」と同じ年に発売された国内録音のLPが、
他にどんなのがあったのかも知らない私だが、
少なくとも、その年の国内録音の最優秀録音盤は「THE DIALOGUE」のはずだ。
先日、きいた話では「THE DIALOGUE」ではなかった、とのこと。
意外に思った。
教えてくれた人は、その経緯も話してくれた。
スイングジャーナルの選考方法は、候補となったディスクすべてを、
選定者が集まって、いっしょに聴いて、というものである。
その場でも「THE DIALOGUE」の音は、圧倒的だった、そうだ。
そうだろう、と思う。
「THE DIALOGUE」が国内録音の最優秀録音盤に決りかけたときに、
ある人が言ったそうだ。
「確かに音はいいんてすけど、これってジャズですか」と。
こんなことをいった人が誰なのかまで聞いている。
私に、「音はいいけど、音楽的(ジャズ的)にはつまらない……」といった人とは別の人だ。
こんなことをいう人が他にもいるのか、と驚く、というより呆れる。
それにしても、なぜ、そんなふうに「THE DIALOGUE」を聴くのだろうか。