とんかつと昭和とオーディオ(その3)
ステレオサウンド 52号のOさんの編集後記。
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新ジャガのウマい季節がやってきた。毎年旭川の知人に頼んで、メイクインを一箱送ってもらっている。今年の出来はどうだろうか。
レストランやビストロで出すクロケットも悪くはないけれど、なぜかボクはイモコロッケの方に強い執着をおぼえてしまう。
もう何年前になるだろうか。I先生に連れていっていただいてから、すっかり気に入ってしまったKという洋食やが、浅草にある。最初に食べたのはニコニコライスというもので、何と、コロッケが2個、メンチカツが2個なのでそう呼んでいるのだ。ここには上コロッケと並コロッケがあり、もちろんボクは挽肉の少ない並の方に、いつもウスターソースをたっぷりかけて食べる。ソースはUソースがいちばんうまい。ところが、この頼みの綱のUソースから、トンカツソースが売り出されて、この店でも2つ容器を置くようになってしまった。最近は容器を振ってたしかめてからかけなければならない。
ここの調理場はとても広く、客席の方がずっと狭いくらいだ。あまり上品な店ではないけれど、だいいち清潔だし、従業員のサービスも痒いところに手が届くようだ。
こういう店で食べるだけで、ボクは本当に嬉しくなってしまう。それにしても、アンパンだのコロッケだのは日本の大発明なのではないだろうか。
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I先生とは、伊藤先生のこと。
浅草の洋食やKとは、河金のことである。
いまはホテルになってしまっているが、以前はそこに国際劇場があったところのすぐ側に河金はあった。
BRUTUS 852号によると国際劇場で公演したルイ・アームストロングも訪れた、とのこと。
残念ながら、この辺一帯の再開発で昭和末に閉店してしまった。
いまも河金は入谷と千束にあるし、つい最近大阪にも出来た、ときく。
入谷と千束の河金にも行った。
浅草の河金が閉店してからだ。
でも私にとって河金は、浅草の河金であり、
ここに連れていってくれたのが、Oさんだった。