デコラゆえの陶冶(音楽に在る死)
《神をもたぬものに、死が問われるわけがない。その音楽には〝死〟がない》
その音楽には〝死〟がない──、
ということは、その音楽には〝美〟がない、ということだ、と、
いま改めて「音楽に在る死」を読み終って、そうおもう。
美という漢字は、羊+大である。
形のよい大きな羊を表している、といわれても、
最初は、なかなか実感はわかなかった。
まず、なぜ羊なのか、と多くの人が思うだろう、私も思った。
大きな羊は、人間が食べるものとしてではなく、
神に捧げられる生贄を意味している──。
神饌としての無欠の状態を「美」としている、ときけば、
美という字が羊+大であることへの疑問は消えていく。
以前書いたことを、またくり返し書いている。
くり返し書くことで思い出すこともある。
バブル期に多くの企業が美術品を世界中から買いあさっていた、と報じられていたことをおもいだす。