いい音、よい音(その4)
書きたいことは、つねにいくつもある。
にも関わらず、まだ書いていないこともいくつもある。
その書きたいことをどこに書こうか、と迷うからだ。
どのテーマ、どのタイトルのところに書こうと同じであるならば、
思いつくままに書いていくのだが、
書いている人ならば、どのテーマ、どのタイトルに書くかによって、
書き始めは同じでも、途中から変っていくのを感じているはずだ。
このことも以前から書こうと思っていた。
結局、ここに書くことにした。
アメリカにM&Kというスピーカーブランドがある。
1980年代は、三洋電機貿易が輸入元だった。
その後、輸入元がなくなったが、数年前に一時期タイムロードが輸入していた。
M&Kのスピーカーシステムは、Satelliteと呼ばれる小型スピーカーと、
Volkswooferと呼ばれるサブウーファーから成るのが特徴だ。
単独での使用も可能だし、単売していたものの、
実際にはSatellite + Volkswooferの組合せが前提であったし、
ステレオサウンドの試聴室では、いつもこの組合せで聴いていた。
Satelliteスピーカーには二種類あり、主に聴いたのは上級機のSatellite-IA。
13cm口径ウーファーを縦方向に二発、
ドーム型トゥイーターも縦方向に二発配置していて、
それぞれのウーファー、トゥイーターの結線方法を変えることで、
六つの音が楽しめるようになっていた。
これにパワーアンプ内蔵のサブウーファーVolkswooferを組合せるわけだから、
調整の幅は、通常のスピーカーシステムよりも大きかった。
アメリカではけっこうな数売れていたらしいが、
日本での評価は高いものではなかった。
だから輸入されなくなったわけだし、タイムロードもいまは輸入していない。
そんなスピーカーをあえて取り上げているのは、
井上先生が鳴らした場合だけ、このM&Kのスピーカーは楽しい音を聴かせてくれるからだ。