ステレオサウンドについて(その20)
ステレオサウンド 44号について、ひとつ書き忘れていたことがある。
特集の「フロアー型中心の最新スピーカーシステム」のテスト機種として、
Lo-Dのブックシェルフ型のHS530が登場している。
この機種の試聴記の冒頭に瀬川先生が、こんなことを書かれている。
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このメーカーの製品は、置き方(台や壁面)にこまかな注意が必要で、へたな置き方をして評価すると、このメーカーから編集部を通じてキツーイお叱りがくるので、それがコワいから、できるかぎり慎重に時間をかけてセッティングした……というのは冗談で、どのスピーカーも差別することなく、入念にセッティングを調整していることは、ほかのところをお読み下さればわかっていただけるはず。
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試聴記の1/3ほど、このことに割かれている。
41号から読みはじめた私には、このことがどういうことなのか、その詳細は当時はわからなかった。
なにかあったんだろうな、ということはわかっても、それ以上のことはわからない。
このころ瀬川先生は、私にとってもっとも信頼できるオーディオ評論家だった。
その瀬川先生が、あえて、こういうことを書かれている。
しかも、それが編集部によって削られることなく活字になっている。
いまのステレオサウンド編集部では絶対にありえないことだ。