Date: 5月 19th, 2015
Cate: 4343, JBL, 組合せ
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4343の組合せ(その2)

「コンポーネントステレオの世界 ’77」の取材は1976年10月ごろ行われていることが、
岩崎先生によるエレクトロボイスSentryVの組合せの記事(222ページ)でわかる。

4343はステレオサウンド 41号の新製品紹介のページに登場しているから
黒田先生はまだ4343を購入されていない。
同じJBLの4320を鳴らされていた時期である。

架空の読者である金井さんがよく聴くレコードとして挙げられている三枚は、
ベーム指揮のコシ・ファン・トゥッテ、カラヤン指揮のオテロとボエームで、
レーベルはドイツ・グラモフォン、EMI、デッカとあえて違うようにしてある。

ベームのコシ・ファン・トゥッテは三種のレコードが出ている。
ここではドイツ・グラモフォン盤なので、ウィーンフィルハーモニーとのライヴ録音である。

カラヤンのとオテロは、再録音をよく行っていたカラヤンではあるが、
旧録音(デッカ)から10年ほどでの再録音である。
交響曲や管弦楽ならばこのくらいのスパンでの再録音はあっても、
オテロはいうまでもなくオペラである。
オペラで、このスパンの短さはほとんど例がない。

カラヤンの旧録音のオテロについて、
黒田先生は「録音のあとでカラヤンはしくじったと思ったのではないのか」と推測されている。
(ステレオサウンド別冊「コンポーネントステレオの世界 ’76」より)

これらのレコードを用意しての、組合せの取材である。
しかもスピーカーは最初から4343に固定してある。

これは井上先生とレポーターの坂清也氏、ふたりによるある種のワナのようにも思えてくる。
もちろん、いま読む、とである。
黒田先生への用意周到なワナである。

黒田先生は前年の「コンポーネントステレオの世界 ’76」巻頭の、
シンポジウム「オーディオシステムにおける音の音楽的意味あいをさぐる」で、
岡先生、瀬川先生とともに4343の前身である4341を聴かれている。

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