対称性(その2)
アクースティック蓄音器は、100年以上前にエジソンがその原型を発明した時点から、
対称性が確保されていたというか、対称性により動作が成り立っていた。
朝顔と呼ばれるホーンがマイクロフォンであり、
針先に振動を伝え蝋管に音溝をカッティングしていく。
これが録音であり、再生はその逆である。
ホーンは音の入口でもあり、音の出口でもある。
それが蓄音器に電気が加わることで、
マイクロフォンとスピーカーが別個のものになっていく。
ここで対称性は崩れていった。
少なくともそう見える。
そう見えるから、対称性が崩れた、と前回書いた。
書いておきながら、少し考えてもいた。
ほんとうに対称性は崩れていったのか、
それとも何かに変っていったのかもしれない、と。
そうだとすれば、対称性が変化していった先にあるのは、なんなのか。
オーディオにおいて、そのひとつはデザインだと考えている。