五極管シングルアンプ製作は初心者向きなのか(その4)
五極管シングルアンプをステレオ仕様で作ることを考えてみよう。
出力管は、いわゆるラジオ球と呼ばれるモノから、
もう少し出力が欲しければ6L6系列の球でもいい。
入手簡単だし、価格も真空管のブランドにこだわらなければ安価である。
だからインターネットでみかけた6L6のシングルアンプを初心者にすすめるのはわからないわけではない。
けれど6L6を出力段に使ったとして、どうするのか。
三極管ならば三極管として使う以外の方法はないが、
五極管は五極管接続の他に、UL接続、三極管接続がある。
私の勝手な想像だが、おそらく6L6系列の球でシングルアンプは、
三極管接続のような気がする。
五極管をわざわざ三極管接続にすることによるメリットは、
オーバーオールのNFBなしでも問題が特に生じない、ということだろう。
五極管接続のまま、出力トランスを含めたオーバーオールでのNFBをかけないと、
一般的にダンピングのきかいな低音になりがちである。
伊藤先生もいわれているが、五極管の場合、適切なNFBをかけることが必要となる。
三極管接続であれば、NFBなしでもいける。
同じ球であっても、五極管接続、UL接続、三極管接続では音が違ってくる。
どの接続の音をとるのかは人によって違ってくる。
ただ私は、五極管の三極管接続はやらない。
お好きな人はやればいいし、そのことを否定はしないが、
私自身は五極管を使っているのだから、五極管接続かUL接続ということになる。
初心者だったころから三極管接続に対して、なぜこんなことをするのだろうかという疑問があった。
なにかすっきりしないものを感じていた。
それから数年後、伊藤先生にいわれたことがある。
「三極管接続にはするな」と。
伊藤先生もそうなのか、とすっきりした。