BBCモニター、復権か(LS5/8の復刻・その5)
私が1982年に購入したロジャースのPM510は、
サランネットを外すにはスピーカー本体を仰向けにして、底板前方にあるネジを二本外さなければならなかった。
いわゆるマジックテープ(面ファスナー)で固定されていたわけではなかった。
今回のグラハムオーディオのLS5/8は写真をみるかぎり、
面ファスナーでサランネットを固定しているようだ。
つまりロジャース時代のLS5/8、PM510はサランネットを装着したままで聴くことを前提としている、
そういう見方ができるのに対し、
グラハムオーディオのLS5/8はフロントバッフルもツキ板仕上げとしていることと考え合わせると、
サランネットなしで聴くことを前提としている、
もしくはサランネットなしで聴くことも想定してある、とみていいのではないか。
もちろんフロントバッフルの仕上げの違いによっても音は変化する。
塗装仕上げとツキ板仕上げでは音は違って当然であり、
サランネット装着を前提としていても、
仕上げによる音の違いを考慮してのツキ板仕上げとも考えられないわけではないが、
どちらかといえばサランネットなしを前提としているように思える。
(このへんは実際に音を聴いてみないことにははっきりとはいえない。)
個人的には音の違いがあったとしても、フロントバッフルは黒で仕上げてほしかった。
これはポリプロピレンという乳白色の半透明の素材であるだけに、
ユニットが取り付けられるバッフルは黒い方が、ポリプロピレンコーンが色気を感じさせてくれる。
そんなふうに見てしまうのは私だけなのかもしれないけれど、
フロントバッフルをツキ板仕上げ(つまり木目)にしてしまうと、
ウーファーがそこだけ浮いてしまうように感じる。
これはPM510のイメージが強く残っているからかもしれない。