BBCモニター、復権か(LS5/8の復刻・その4)
チャートウェルのPM450、ロジャースのPM510、そして今回のグラハムオーディオのLS5/8は、
どんな違いがあるのだろうか。
PM450は1978年に登場している。日本への入荷数は数ペアだときいている。
PM510は1980年に登場。こちらは私も購入したくらいだし、けっこうな数が入荷していると思われる。
けれどもう30年以上経過しているスピーカーシステムということになる。
いまもロジャースという会社は残っているけれど、
このころのロジャースとは違ってきている。
PM510のメンテナンスをどうしたらいいのか。悩まれている方も少なくないはずだ。
ポリプロピレンコーンは特許をとっている。
その内容のすべてを知っているわけではないが、そのひとつは接着に関することである。
当時ポリプロピレンの接着は非常に難しかった、ときいている。
最近になってやっと日本の接着剤メーカーからポリプロピレンを接着できる製品が登場している。
余談だが、LS5/8、PM510は、当時のイギリスのスピーカーシステムとしては高耐入力だった。
そのためリアバッフルには”WARNING”と書かれたシールが貼られている。
耳の孔に指を差し込んでしかめっ面をしているイラストの横には、
耳を痛めるほどの大音量再生が可能なので、注意、とある。
山中先生がスイングシャーナルの組合せの取材でLS5/8を使われた。
その取材に立ち会った人から直接きいた話なのだが、
たしかにパワーは入る。それで気持ちよく聴いていたら、
ウーファーのポリプロピレンコーンが溶けてしまったそうだ。
ボイスコイルが発する熱がポリプロピレンコーンに伝わりそうなったらしい。
話を戻そう。
PM450にしてもPM510にしても新品同様のモノはもう存在しない。
充分に使い込まれ、鳴らし込まれたモノである。
そういうスピーカーシステムと、
でき上ってきたばかりのグラハムオーディオの LS5/8を並べて聴く機会が仮に得られたとしても、
参考程度にはなっても正確な比較試聴は無理である。
比較は想像の上でしか成り立たないのである。
ならば……、と想像してみよう。