真空管アンプの存在(その10)
アメリカから現われた真空管アンプはコントロールアンプに集中している。
これらコントロールアンプと同じころ、
イギリスから登場したのがマイケルソン&オースチンのパワーアンプTVA1だ。
マッキントッシュのMC275と同じ、KT88のプッシュプルアンプで、
トランスのカバーがクロームメッキされていることもあってか、MC275の現代版と呼ばれることもあった。
イギリスという、いわば保守的なイメージがある国からの登場ということもあってか、
古典的な真空管パワーアンプのような印象を持たれがちだったが、
当時、マッティ・オタラ博士が発表し、話題になっていたTIM歪に対して、
オーバーオールのNFB量を最少限にとどめることで、改善を図っていることをうたっていた。
TVA1は、ステレオサウンド 55号のベストバイ特集で、
瀬川先生がパワーアンプのマイベスト3に選ばれている。
日本で、TVA1を高く評価されていたのは瀬川先生だった。
亡くなられる数カ月前に出たスイングジャーナルの別冊では、
アルテックの620Bに、このアンプを使われ、組合せをつくられている。