真空管アンプの存在(その9)
アクースタットのAcoustat Xは、3枚のフルレンジのパネルを、角度をつけた構成で、
専用アンプが内蔵されている。
Acoustat Xの輸入元はバブコで、カタカナ表記はアコースタットだが、
輸入元がファンガティにかわり、表記もアクースタットになり、
こちらのほうが認知されているようなのでアクースタットと表記する。
内蔵アンプは、電圧増幅部はトランジスターで、出力段は真空管で構成されている。
コンデンサー型スピーカーの動作上、パワーアンプからの入力信号を、
かなりの高電圧に昇圧しなければならない。
そのためコンデンサー型スピーカーは昇圧用トランスを内蔵している。
真空管アンプでコンデンサー型スピーカーを鳴らす場合、出力トランスが出力管の信号を降圧して、
その信号をスピーカー内蔵のトランスで昇圧するという、いわば無駄なことをやっている。
Acoustat Xは、出力管の出力をそのままコンデンサー・ユニットにつないでいる。
使用真空管は不明だが、かなり高圧が出力できるものだろう。
そうでなければ、昇圧トランスを省くことはできないから。
数年後、ファンガティが輸入をはじめたモデル3は、アンプは省かれ、
昇圧トランスを低音用、高音用とふたつ分け使っている。
もちろんユニットは、フルレンジのコンデンサー型だ。
このファンガティ取扱い時代、推奨アンプはオーディオリサーチの真空管アンプだった。