会って話すと云うこと(その8)
今回のジャズ喫茶・名曲喫茶めぐりには、30代・40代・50代・60代の方が参加された。
いちばん若い人は34歳。
私はその年代のころ、あることを思っていて口にしていた。
「私のオーディオの才能は、私のためだけに使う。」
こんなことをいっていた。
ある知人が、せっかくの才能なんだからオーディオの仕事をしたらどうですか、
何か書いたらどうですか、
そんなことを何度もいっていたから、
それに対して、こう言って返した。
けっこう本気でそう思っていた。
これこそがいちばん贅沢かもしれない、とも思っていた。
もし、このときに、MAC POWERを手にしていなければ、
川崎先生のDesign Talkと出逢っていなければ、読みつづけていなければ、
ずっとこのままきていたかもしれない。
大人とは──、と問われれば、
誰かのために自分の時間の一部を使うことにためらわないことだ、と答える。
残り時間は短くなっていくばかりなのだから、
お金にもならないことのために自分の時間を費やすなんて……、
そう思う人がいても、それはそれでいいじゃないか、と思っている。
私自身もそうなっていたであろうから。