オーディオ入門・考(その4)
「五味オーディオ教室」はとうの昔に絶版になっている。
復刊されることもないであろう。
「五味オーディオ教室」にかわる存在の本は、ない。
「五味オーディオ教室」だけではない、あのころはいくつもの本があった。
瀬川先生の「虚構世界の狩人」「オーディオABC」もあった。
ひとつひとつ書いていかなけれど、それらの本を読むことで導かれ学んでいくことができた。
技術書もあった。
いまも持っている「レコードプレーヤ」(山本武夫 著・日本放送出版協会)は良書である。
技術書であり、数式も出てくる。そのことで拒否反応を示す人もいるだろうが、
この本に出てくる数式のすべてを理解できなくとも、「レコードプレーヤ」を最後まで読み通せば、
アナログディスク再生とはどういうものなのかが、きっと掴めるはずである。
最初読んだ時の理解はそれほどではなくとも、
実際にアナログディスク再生をやっていき、ふたたび「レコードプレーヤ」を手にし読みなおせば、
理解は拡がっているはずだし、そのことに気づけばつねに手元においておくことになる。
「レコードプレーヤ」は「アナログレコードはじめてBOOK」とは正反対の本である。
どちらがいい本なのかは、あえて書かない。
どちらが入門書として適しているのかについても、あえて書かない。
けれど、どちらの本をずっと手元に残していくだろうか。