ポジティヴな前景とネガティヴな後景の狭間で(続々50年)
ステレオサウンドも2016年には50年を迎える。
ほぼ間違いなく、200号とその前後の号では創刊50年記念号としての記事が載ることだろう。
各社の広告にも、創刊50年を祝うことが書かれていると予想できる。
創刊50年はけっこうなことである。
だがステレオサウンド創刊50年は、読者であればほとんどの人が編集部からの指摘がなくとも気づくことである。
そういうことを大々的に誌面で告知して、
グレン・グールドのコンサート・ドロップアウトからの50年目に関しては、まったくの無視。
オーディオ雑誌だからグールドについて取り上げなければならない、ということはない。
だがステレオサウンドは2012年に、
グレン・グールドのゴールドベルグ変奏曲のガラスCDを企画して販売している。
一枚10万円を軽く超える価格のCDを、いまも売っている。
このCDはグールド没後30年、生誕80年ということで企画されたモノであろう。
ステレオサウンドがオーディオ雑誌でなければ、こんなことは書かない。
だがステレオサウンドはオーディオ雑誌である。
オーディオ雑誌であるならば、グレン・グールドの生誕・没後ということよりも、
コンサート・ドロップアウトにこそ注目すべきではないのか。
そう思うから、書いている。