こんなスピーカーもあった(その4)
あるオーディオ・ブランドの主宰者に、こんな人がいる。
自分は誰からも教わっていない。
オーディオの参考書も見ていない。
すべての答を自分で見つけた。
たいへんな自信家である。
他にもまだあるけれど、書いていくのもアホらしいのでこのへんにしておくが、
とにかく、この人はまわりから「すごいですね」といわれたくてたまらないように私の目に映る。
だがオーディオの参考書というものが、この世にあるのだろうか。
あったら是非とも読んでみたい。
私は、オーディオの参考書などというものは存在していない、と考えている。
にも関わらず、彼はオーディオの参考書を読んで答を知るなんてことはやっていない、とここでも自慢げにいう。
参考書なんてものはないのだから、答は自分でみつけるのはあたりまえのことであり、
それをことさら強調するところに、小規模の会社でモノをつくり売っていくことの難しさ、
ひとり何役もやっていかなければならないのだから、
そうなっていくのもしかたないのかも……、とは思うけれど、みっともない行為でしかない。
この人は、だから、自分のブランドの製品はすべて自分が考えたものだと強調する。
そして、こうも言っていた。
いま彼がやっていることと同じことを、昔の人がやっていたとしても、
そんなことは自分はまったく知らないのだから、これは自分のオリジナルの技術だ、と。
彼がアマチュアとして、アンプやD/Aコンバーターを作っているのであれば、ここでこんなことを書く必要はない。
だが、彼はプロフェッショナルとしてオーディオ機器を作り売っている。
彼は技術者として、前例があったのかどうかを調べもしない。
この項の(その3)で書いたテクニクスの技術者とは雲泥の差である。