ただ、なんとなく……けれど(その1)
「人は孤独なものである。一人で生まれ、一人で死んでいく。
その孤独な人間にむかって、僕がここにいる、というもの。それが音楽である。」
またここで引用するのは、
オーディオからの音楽でこのことばを実感するには、孤独(ひとり)でなくてはならないということ、
この、音楽を聴くうえであたりまえすぎることが、不可欠だということを言いたいがためである。
結局、音楽(音)と真剣に対決する瞬間をもてる人にかぎる。
それには,まわりに親しい友人や家蔵がいようとも、孤独とは無縁のように思える場にいたとしても、
スピーカーが鳴らす音楽に対して、その瞬間、たったひとりで、そこでの音楽に没入できなければ、
音楽はスミ・ラジ・グラップのことばからとおいところに行くのではなかろうか。
ひとりきりで音楽に向かうことこそが、実は「孤独」そのものなのではなかろうか。