オーディオにおけるジャーナリズム(その18)
いまいちどスミ・ラジ・グラップの言葉を書いておこう。
「人は孤独なものである。一人で生まれ、一人で死んでいく。
その孤独な人間にむかって、僕がここにいる、というもの。それが音楽である。」
いいかえれば、音楽は、「一条の光」である。
一条の光は、オーディオの存在によって、いつでも灯けられる。
真っ白の一条の光のときもあれば、やわらかい、ほのかな色をおびた一条の光も、
つよいまぶしいほどの一条の光も……、
鳴らすレコードによって、オーディオによって、いま鳴っている音によっても、
一条の光は幾重にも変化する、変化してゆくもの。
必要な一条の光も、その時々、その人の諸々の事情により異なるものだ。
だからレコードであり、だからオーディオなのである。