オーディオ 夢モノがたり(その7)

ナガオカ/ジュエルトーンのリボン型カートリッジの内部構造は、
サテンのカートリッジに似ている、といえる。

いまは1980年代であれば、これだけで説明がすむわけだが、
いまは30年以上が過ぎ去った2014年で、サテンのカートリッジ、といっても、
サテン? という人が大勢いるだろうし、
サテン、懐かしいなぁ、という人でも、その構造がどうなっていたのかをすぐに思い出せる人は少ないかもしれない。

サテンのカートリッジの原型となっているのは、ウェストレックスの10Aといえる。
ウェストレックスはカッターヘッドをつくっていた。
10Aはカッターヘッドとペアになっていて、
カッティングされたラッカー盤の検聴用を目的としたカートリッジである。

ラッカー盤は基本的に一度だけの再生である。
それもあってか、10Aの構造はウェストレックスのカッターヘッドをそのまま再生用カートリッジとして、
規模を小さくといえるものである。

10Aの構造図を正面からみると、針先からV字状にアーマチュアがのび、
その先端に円筒形のコイルが取り付けられている。

この10Aの構造を模倣したのが、日本のニートのV50である。
サテンのMC型カートリッジも10Aと基本的には同じ構造だが、
コイルの形状を変え、磁気回路の設計も10Aとは異るし、
針交換を可能にするなど、サテンならではの工夫がみられる。

このあたりは業務用専門としてのウェストレックスとコンシューマー用としてサテン、
それにトレースは基本的に一度きりのラッカー盤相手のカートリッジと、
何度でもトレースする塩化ビニール盤(LP)相手のカートリッジの違いともいえる。

ナガオカ/ジュエルトーンのリボン型は、このサテン型の発電コイルをリボンに置き換えた構造といえる。

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