便利であっても(その7)
1976年秋、資生堂のコマーシャル。
テレビをみていて、これほどどきっとしたことは、初めてだった。
それまではテレビ・コマーシャルはどちらかといえばジャマなものだと感じていた。
たまには面白く感じるものもあったけれど、できればなければないほうがいい、などと思っていたのに、
1976年秋の資生堂のコマーシャルは、また見たい、と思い、チャンネルを切り替えていた。
1976年秋の資生堂のコマーシャルは、もうこれだけでどのコマーシャルなのか、
すぐに思い出せる人はいる。私だけではないはず。
コマーシャルに登場していたのは真行寺君枝、
バックに流れていた歌は小椋佳の「揺れるまなざし」、
広告のキャッチコピーは「ゆれる、まなざし」だった。
YouTubeで検索すればすぐに見つかる。
真行寺君枝のバックにスピーカーがうつっている。
JBLの4325と思われるスピーカーである。
1976年当時は家庭用ビデオレコーダーはまだまだ普及していなかった。
だから録画してくり返し見ることはできない。
とにかくテレビで流れるのを見るしかなかった。
「ゆれる、まなざし」のコマーシャルが最高のコマーシャルかどうかは私には判断できないけれど、
いまでも印象に残っていることは確かである。