世代とオーディオ(JBL 4301・その12)
一般的にセパレートアンプはプリメインアンプの上位に位置づけされる。
あるメーカーのプリメインアンプのトップ機種とセパレートアンプのトップ機種とでは、まず価格が違う。
当然も音も違うわけで、信用できるメーカーのモノであれば、セパレートアンプの方が、いい音といえる。
それでもセパレートアンプはプリメインアンプよりも、すべての面で音がいい、といえるのだろうか。
瀬川先生がこんなことを書かれている。
JBLのプリメインアンプSA600を初めて聴かれたときのことについて、である。
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結局、SA600ではなく、セパレートのSG520+SE400Sが、私の家に収まることになり、さすがにセパレートだけのことはあって、プリメインよりも一段と音の深みと味わいに優れていたが、反面、SA600には、回路が簡潔であるための音の良さもあったように、今になって思う。
(ステレオサウンド別冊「’81世界の最新セパレートアンプ総テスト」巻頭の「いま、いい音のアンプがほしい」より)
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これはそうだと思う。
SG520+SE400Sのペアと、SA600を直接比較試聴したことはないけれど、
優れたプリメインアンプであればあるほど、セパレートアンプでは感じとりにくい音の良さがあるものだ。
もっとも瀬川先生がSA600を聴かれた時代はアナログディスクがメインのプログラムソースの時代であった。
CDはまだ登場していない。
つまりフォノイコライザーを必要とするシステムにおいて、の話である。
いまはCDしか聴かないのであれば、コントロールアンプを使わないということも選択できる。
コントロールアンプが不要なのか、それとも必要なのかは、ここで触れると大きく脱線してしまう。
だが、この時代はフォノイコライザーが絶対に必要不可欠であり、
コントロールアンプもまたそうであった時代の話である。