程々の音(その5)
「コンポーネントステレオの世界」は、1980年ごろは毎年12月に出ていた。
’78もでているし、もちろん買って読んでいた。
’78にも、Sound Spaceの記事は載っている。
でも印象に残る、ということでは、
’77の次に来るのは、’79である。
「コンポーネントステレオの世界 ’79」に、タンノイ・コーネッタが登場している。
「個室での音と生活」という見出しがつけられているコーネッタが置かれた部屋は、
鉄筋コンクリート造りのマンションの一室、
広さは六畳間。
コーネッタを鳴らすコンポーネントは、
アンプはQUADの33と303のペア、チューナーもQUADのFM3、
アナログプレーヤーはリンのLP12に、オルトフォンのRMG212とSPU-G/E。
これらのオーディオ機器が、立派なラックの上に置かれているわけではない。
カラーボックスを横倒しにしたようなレコードラックの上に置かれている。
この部屋にある家具は、他には二人掛けのソファとそれにテーブル。
スチール製の本棚、と、高価な家具はひとつもない。
オーディオもそれほど高価なモノではない。
この部屋の主は(実際にモデルルームを借りて家具屋オーディオ機器を持ち込んでの撮影だと思われる)、
20代後半から30代前半ぐらいの独身男性、というところだろうか。
音楽好きな人が、オーディオにも贅沢をしてみた、
けれどオーディオマニアというわけではない。
そんな感じを写真から受けたし、そんなことを勝手に想像しながら写真を何度も眺めていた。