程々の音(その4)
梶ヶ谷の家「ヨーロッパ的なセンス」の部屋は、
清瀬の家「ホワイト・アブストラクト」、V・ハウス「ビルト・インの手法」の部屋とは対照的に、
暖色系の雰囲気のする部屋である。
そこにある装置も大型の機器はなにひとつない。
すべて小型のモノばかりである。
スピーカーはセレッションのUL6、アンプはQUADの33と405の組合せ、
チューナーはFM3、プレーヤーはデュアルの1249。
UL6は出窓に据えてある。
天井の高い、広々とした空間に、その雰囲気をこわさずにとけこむようにオーディオがある。
リスニングルームのオーディオではなく、リビングルームのオーディオであり、
そこにはマニア的な雰囲気はかけらもないけれど、いいなぁ、と素直に思っていた。
玉川学園の家「くつろぎの城」は、建築音響設計の仕事をされている人の部屋だとある。
スピーカーはタンノイのコーネッタ、アンプはラックスのCL30とダイナコのMarkIII(どちらも管球式)、
プレーヤーはラックスのPD131にトーンアームがフィデリティ・リサーチのFR64Sに、オルトフォンのSPU。
コーネッタはコーナー型だから、とうぜん部屋のコーナーに設置されている。
いい感じでコーナーにおさまっている。
コーネッタについては、「コンポーネントステレオの世界 ’77」を読んだ時には、詳細は知らなかった。
ステレオサウンドが企画して、
井上先生がダイヤトーンの協力を得てつくられたエンクロージュアだとしったのは、少し後のこと。
どんなスピーカーなのかを知らなかったからこそ、玉川学園の家の写真をみて、
その雰囲気だけで、いいスピーカーなんだろうな、と感じていた。