程々の音(その6)
タンノイ・コーネッタのことは、
「コンポーネントステレオの世界」の’77から’79までの二年間で、
コーネッタがどういうスピーカーで、どういう評価を得ているのかは、なんとなく知っていた。
’77のときは予備知識もなしに、なんだかいい感じのするスピーカーだな、と思っていた。
’79のときは、コーネッタについてある程度知識が出来ていたから、
その分だけ部屋の雰囲気が、よけいに気に入ったのかもしれない。
六畳の部屋。
決して広いとはいえない空間だが、
「コンポーネントステレオの世界 ’79」の写真は、男ひとりの部屋であり、
六畳とはいえ、そこは音楽を聴くことを優先した空間である。
「コンポーネントステレオの世界 ’79」では、
この部屋の写真が三つ載っている。
西向きのレイアウト、南向きのレイアウト、東向きのレイアウトである。
この六畳間は南側の短辺が窓になっている。
北側に収納スペースとドアがある。
つまりコーナー型のコーネッタをどう置くのか。
左右のコーネッタをコーナーに接地するには、この部屋の構造では南向きのレイアウトしかない。
このレイアウトではスピーカー間の距離があまりとれない。
西向きと東向きだと、片側のコーネッタがドアか収納の扉に重なるため、コーナーが片側確保できなくなる。
専用リスニングルームとして設計されていない部屋の、現実的な問題が、
ここで取り扱われている。
三つのレイアウトのどれがベストなのか、については書いていない。
それが正しい、といまは思う。
この部屋のページの文章の最後には、次のように書かれている。
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できれば個々の例をレイアウトして使ってみることが望まれます。というのは、しばらく使っているうちに、頭で考えたのとは違った問題が具体的に発見できるからです。
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写真を見ながら、私だったら、どうレイアウトするかをあれこれ考えていたものだ。