マルチアンプのすすめ(その14)
メリディアンのM20の音を聴くたびに、
そんなことは邪道であるとわかっていても、
トゥイーターがLS3/5Aについてるのと同じKEFのT27だったら……、と思ってもいた。
そうすればLS3/5Aの、神経質ともいえる魅力がM20に加わる。
トゥイーター単体としてみればM20についているトゥイーター(おそらくKEF製)のほうが優れている。
T27固有の、ときに神経質的に響く印象につながるキャラクターは、まず感じられない。
それだけクセの少ないトゥイーターといえるわけなのだが、
個人的に魅力的と感じるかどうかとなると、T27をとる。
T27にM20のトゥイーターを交換するぐらいなら、
LS3/5Aをマルチアンプ駆動したらどうか、といわれるかもしれない。
こうやって書いているから、こんなことを思いついたのだが、
当時はLS3/5Aをマルチアンプ駆動しよう、などとはまったく考えなかった。
M20のトゥイーターの交換は、けっこう真剣に考えていたのに、
LS3/5Aのマルチアンプ化はまったく考えなかったのは、
LS3/5Aが、そういうスピーカーシステムである、という認識が私の中には強くあったからなのかもしれない。
M20のようにメーカーが最初からマルチアンプ駆動しているものはすんなり受けとめても、
イギリスの、ことにBBCモニターの流れを汲むモノを自分で鳴らすとなると、
マルチアンプで鳴らそうなんてことは、考えもしなかった。
たとえばスペンドールのBCII。
これも好きなスピーカーであるし、BCIIを鳴らすシステムをあれこれ夢想していたこともある。
スペンドールのD40で鳴らしたら……、それから一度試したことのあるラックスのLX38との音、
そんなことを思い浮べながら、他のアンプ候補を思い浮べては、どんな音が鳴ってくれるのか想像はしていても、
マルチアンプで鳴らす想像は一度もしなかった。