岡俊雄氏のこと(その3)
黒田先生の文章は、岡先生の人柄をじつよにく伝えてくれている。
ステレオサウンド 60号が出た時には、私はまだ読者だった。
岡先生の「マイクログルーヴからデジタルへ」は、
ラジオ技術を読んでいたから出版されることは知っていたし、
ステレオサウンド 60号とほぼ同時期くらいに買って読んでいた。
もちろんそれまでのステレオサウンド(41号からだが)も全号読んでいたので、
なんとなくではあったけれど、岡俊雄という人が、どんな感じの人なのかは私なりにイメージしていた。
会ったことのない人を、いわば勝手にイメージしていた者が、
ステレオサウンド 60号の黒田先生の文章を読んだわけである。
こういう人だったのか……、と読みながらおもっていた。
でも、読みとれていたことは、若さゆえもの未熟さもあって、少なかった、と後で気づく。
ステレオサウンドで働くようになって、岡先生とお会いする機会があった。
岡先生のお宅にも何度か伺っている。
岡先生の連載、クラシック・・ベスト・レコードも担当するようになった。
それまで文字だけでしか知らなかった岡俊雄という人のことを、
より知ることができる機会が増えたわけだ。
そして、いまステレオサウンド 60号の黒田先生の、岡先生について書かれた文章を読むと、
これほど岡先生の人柄を伝えてくれる文章は、他に読んだことがない、といえるし、
黒田先生の文章が伝えてくれることに嘘偽りはまったくない、ともいえる。
岡先生とは、まさにそういう人だった。