岡俊雄氏のこと(その2)
ステレオサウンド 60号、
このころのステレオサウンドには黒田先生の連載「さらに聴きとるものとの対話を」があった。
60号は1981年9月に出ている。このころラジオ技術社から岡先生の本が出た。
本のタイトルは「マイクログルーヴからデジタルへ/優秀録音ディスク30年史上巻)だった。
黒田先生は60号の「さらに聴きとるものとの対話を」で、この本のこと、
そして岡先生のことを書かれている。
むしろ岡先生のことを書かれている、といってもよい。
黒田先生自身も書かれている。
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ここでのさしあたっての目的は、岡さんについて書くことではなく、岡さんの本について書くことである。それを承知の上で、岡さんのことをえんえんと書いてきたのは、ほかでもない、その本の魅力を書こうとしたら、どうしても著者の人間としての魅力から書きはじめなければならないと感じたからであった。
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岡俊雄という人が、どんな人だったのかよく知らない、という人はいまでは少なくない、と思う。
そういう人はもちろん、そういう人たちよりも上の世代で、
岡先生の書かれたものをその時代その時代で読んできた人も、
ステレオサウンド 60号の黒田先生の文章はぜひとも読んでもらいたい、と思っている。
黒田先生も書かれているように、岡先生は
「自己顕示欲などというあざといものは、薬にしたくもない。岡さんはいまの世にあってはめずらしいシャイな人」
だから、ステレオサウンドに書かれたものだけからは、岡先生の人間としての魅力はやや掴みにくいところもある。