Date: 4月 22nd, 2013
Cate: 598のスピーカー
Tags:

598というスピーカーの存在(その3)

たとえばステレオサウンド 76号に掲載されている「読者参加による人気実力派スピーカーの使いこなしテスト」、
その中で、ブックシェルフ型スピーカーをスピーカースタンドの上で、前後に動かしてみることがある。

この記事中にあるように、CDプレーヤー、アンプのセッティングをきちんと行なうことで、
このスタンド状での前後に動かした時の音の違いは、よりはっきりと表れる。

なぜ、わずか1cm前後、どちらかに動かしただけで変るのか。
井上先生は、こう述べられている。
     *
音が変わるのは、台に対するスピーカーの荷重のかかり方が変わるためです。荷重が変わると、底板の鳴り方が変わるんです。
スピーカーの重心は前側にありますから、後に持ってきて、台の重心と揃えた状態でもっとも安定して、音の拡がりが出てくる。前にすると、アンバランスですが、台の前の方に荷重がぐっとかかるために、低域が締まって中域がぴっと張ってくる。
     *
もしスピーカーの重心が底板からみてぴたりと中心にあるならば、
底板のどこのポイントにおいても均等な荷重がかかるように設計されたスピーカーシステムがあったならば、
おそらくスピーカースタンドの上で前後させても、音の変化は小さくなっていくはず。

どんなに完璧な重量バランスを実現できても、実際にはスタンドの重心との関係があるため、
音が変化しないということはあり得ないわけだが、
それでも重量バランスが前面に偏りすぎているスピーカーほど、
そのスタンドの上での前後移動による音の変化幅は大きいのは事実である。

国内のオーディオメーカーのスピーカーの開発の人たちも、このことには気づいてはず。
にも関わらず、598のスピーカーは新製品が出るたびに重くなり、重心が前側に少しずつ偏っていた。

一度きいたことがある。
「重くなってきていますね」とあるメーカーの方、
試聴室にスピーカーを運び入れてくれた人にそういったところ、
「量られますからね……」という返事だった。

Leave a Reply

 Name

 Mail

 Home

[Name and Mail is required. Mail won't be published.]