Date: 3月 6th, 2013
Cate: ジャーナリズム,
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賞からの離脱(その21)

熱心にステレオサウンドのアンケートハガキに記入していたときには気づいていなかったけれど、
読者が選ぶベストバイ・コンポートはいい企画であったことに、こういうことを書いていると気がつく。

当時のステレオサウンド編集部がそこまで意識・意図していたのかどうかはわからないが、
単なる読者による人気投票という表面的な企画の裏には、
読者にベストバイということを考えさせるという面があったからだ。

アンケートハガキに記入する人のどのくらいの割合かはわからないけれど、
単なる人気投票的に捉えての人もいれば、
ベストバイ・コンポーネントの意味をその人なりに考え、
自分にとってのベストバイ・コンポーネントとは何か──、
そのことを記入した人もいる。

そしてアンケートハガキの集計結果が掲載されるステレオサウンドには、
オーディオ評論家によるベストバイ・コンポーネントとともに、
それぞれのオーディオ評論家による「私はベストバイをこう考える」が載っていて読めるわけである。

アンケートハガキを単なる人気投票として受け取っていた人にとって「私はベストバイをこう考える」は、
どうでもいい文章かもしれない。
でも、その人なりにベストバイ・コンポーネントとは、ということを考えて記入した人にとって、
「私はベストバイをこう考える」は、自分の考えと照らし合せて読むことができる。

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