ワイドレンジ考(その13)
40万の法則といっても、若い人はほとんどご存じないだろう。
私よりも上の世代には、いわばオーディオの常識のひとつであった。
人間の可聴帯域の下限(20Hz)と上限20kHzを掛け合わせた値が40万であり、
聴感的に心地よいの音の帯域はバランスは、再生音域の下限と上限の積が40万、
もしくはそれに近い値になることが多い、と言われている。
池田圭氏の著書「盤塵集」(ラジオ技術刊、絶版)にも詳しいし、
瀬川先生の「虚構世界の狩人」に収録されている
「四〇万の法則と音のバランス」をお読みいただきたい。
瀬川先生の、そのなかで、B&Oのポータブルラジオについても書かれている。
西新宿にあったサンスイのショールームで定期的に行なわれていた瀬川先生のイベントで、
このラジオを鳴らされたときがあった。
その音を聴いた人たち(私よりも一回り以上年上の方たち3人)は、
感慨深げに「あれは、ほんとうにいい音だったなぁ」、
「ナロウレンジなんだけど、実にいい感じで鳴ってくれる」、
「あれも40万の法則にぴったり当てはまるんだよな」と語ってくれた。