Archive for 1月, 2009

Date: 1月 27th, 2009
Cate: 選択

オーディオ機器を選ぶということ(その1)

天秤の左右の計量皿の上に何が乗っているのか。

一方は「知」、他方には「情」か。
いつの時代も、つねにバランスがとれているわけじゃない。
10代、20代前半のときは、どちらに大きく傾くことも多いような気もする。
齢を重ねることで、「知」も「情」もともに大きくなり、
徐々にではあるが、左右どちからに大きく傾くことは少なくなり、
ブレもなくなることが、人としての成長なのだろうか。

はたまた片方には「憧れ」が、他方には「必要」が乗っているのかもしれない。
「憧れ」が必ずしも、心が真に求めるものではないことは多い。
心に惑わされるのか、心が惑わされるのか、は、わからない。

別の棒に吊り下げられている皿には、「正統」と「異端」が、というように、
その人の内にある天秤には、ひとつの棒と左右ふたつの皿だけではなく、
いくつもの棒が乗っており、それぞれの皿には、なにがしかが乗っている。

齢とともに棒が増えていくのか、それとも外していけるのか。

人間関係やその人の周りを取り囲む、いくつもの情勢によっても天秤は、
時に大きく揺れることもあるだろう。

そんな揺れを完全に無視して、オーディオ機器を選択できる人がいようか。
仮に、そんな人がいたとして、その人と、オーディオの何を、どう語れるというのだろうか。

天秤の揺れのなかで、
心底、惚れ込めるオーディオ機器(これは、もうスピーカーと言い換えてもいいだろう)と出合えるまで、
経済状況が許すなら、そう場合によってはそれすらも無視して買い替えていくことを、
まわりの誰も、とやかく言うことはできない。そうではないのか。

肝心なのは支点がブレないことだ。

オーディオ機器を頻繁に買い替える人に対し、眉を顰める人、批判的な口調の人がいる。
否定的でなくとも、「変るのが、あの人の個性だ」と捉えるかもしれない。

実は変っていない。支点がしっかりしているから、ただ揺れているだけなのを見て、
人は「変っていく」と捉えるだけではないのか。

Date: 1月 27th, 2009
Cate: SX1000 Laboratory, Victor, 組合せ

妄想組合せの楽しみ(その5)

こういう設定そのものが妄想だということは言われなくてもわかっている。

それでも、もし歴代の国産スピーカーの中から、メインスピーカーを選ぶとしたら、
私は、ためらうことなく、ビクターのSX1000 Laboratoryを選ぶ。

ダイヤトーンの2S305こそ、日本的なスピーカーだと言われる人もいるだろう、
いや、ダイヤトーンでも、私はDS10000を選ぶという人、
海外ではじめて認められた国産スピーカーはヤマハのNS1000Mだから、
これを選ぶという人もいてもいい。

価値観も、オーディオへの取り組み方も、人の数だけ違う。

それでも、メインスピーカーとして、これからしばらく、そのスピーカーだけを使うことが前提なら、
スピーカーシステムとしての完成度の高さだけでなく、可能性の大きさも考慮した選択の結果が、
私にとってはSX1000 Laboratoryであり、程度のいい出物があれば、いまも欲しいとさえ思っている。

そのSX1000 Laboratoryを、いま鳴らすとしたら、どういう組合せだろうかと、あれこれ想いをめぐらしている。

Date: 1月 27th, 2009
Cate: 4343, JBL, SX1000 Laboratory, Victor

4343と国産4ウェイ・スピーカー(その48)

SX1000 Laboratoryの前作SX1000専用スタンドLS1000だと、スピーカーの底面と床との間に空間ができる。
しかもX字型に組まれているため、この空間が三角形のようになり、
不要輻射に一種のメガホンがついたかたちとなっている。
そのためであろう、吸音材を入れた時の音の変化は、やや大きい。

響きの良い木でつくってあるにも関わらず、個性的な面も、すこし持っていると言えるかもしれない。

SX1000 Laboratoryのインディペンデントベースは、LS1000から、一歩も二歩も、
スピーカーとスタンド(ベース)、スタンドと床、スピーカーと床との相関性を考え、
従来のスタンドの構成から、先に進んでいる。

インディペンデントベースは、まずスピーカー本体と同寸法の、重量級の分厚い木製ベースによって、
床をある程度安定化させようする、一種のアブソーバー的なものであり、
スピーカー底面と床との空間を埋め、定在波の影響を抑えようとしている。

もちろんこのベースそのものの不要輻射(2次放射)を抑えるために、
表面処理も考慮されたものに仕上がっている。

この基本ベースの4隅には、それぞれ円筒型の穴が開けられている。
ここに円柱状の脚を挿し込み、これがスピーカーの底面と接する構造だ。
しかも円筒型の穴の内壁には、厚めのフェルトが貼られている。
それぞれの相互干渉と、脚そのものの共振を抑えるためであろう。

4本の脚は、ある意味フリーな状態で、頼りないと感じられるかもしれないが、
SX1000 Laboratory本体が上にのることで、安定する。

SX1000 Laboratoryと4本の脚、脚とベースをネジや接着剤で固定してしまっては、
このベースの意味はなくなる。

専用ベースとしてSX1000 Laboratoryに付属してきながらも、それぞれが独立している意味を考えてほしい。

Mark Levinsonというブランドの特異性(その24)

ML2Lの定電圧回路は、ディスクリート構成の、JC3のそれと較べるとかなり大がかりである。
±両電源で、20石以上のトランジスターが使われ、直列に入る制御用のパワートランジスターも、
2パラレルになり、出力アップに対応している。
そして、この定電圧回路の出力電圧は、28Vと、JC3から10Vも高くなっている。

JC3は15W+15Wのステレオ仕様、ML2Lは25Wのモノーラル仕様。

想像するしかないが、マーク・レヴィンソンはJC3の音には満足していたのだろう。
ただ15Wという出力は、彼には少な過ぎたのではないだろうか。

この音のクォリティのまま、さらにパワーを求めるために、
1976年1月のCESでのJC3の展示から、ML2Lの発表までの1年以上の期間が必要だったのだろう。

ステレオからモノーラル構成になり、出力トランジスターも2パラレルから4パラレルに、
定電圧回路も、より大がかりで電圧も、当然高くしている。
ほとんど倍の規模になっていると、いってもいいだろう。

電圧増幅段の回路も、JC3そのままではない。
上下対称回路なのは同じだし、初段はFETの差動回路なのも同じだが、
共通ソースには定電流回路がつけくわえられているし、2段目もJC3そのままではない。
細部をブラッシュアップすることで、出力の増加を図りながらも、
クォリティの維持にとどまらず、より良い音のための工夫がこらされている。

そして保護回路も万全になっていると、以前瀬川先生が、週刊FMに書かれていた。
ML2Lは、動作中に水をかけてもスピーカーにダメージを負わせることはないらしい。

JC3に、保護回路があったのかどうかは、わからない。

ML2LがJC3そのままとは言えない。
ただJC3が基本になっていることは、断言できる。
そして、ML2Lのイメージにもなっている、あの外観をつくりだしたのはジョン・カールである。

JC3を、マーク・レヴィンソンの要求をできるだけ満たすようにつくり変えたのが、
おそらくトム・コランジェロ、その人なのだろう。

Date: 1月 27th, 2009
Cate: 五味康祐

五味康祐氏のこと(その3)

やはりケンプだった。

五味先生が病室で最期に聴かれたのは、ケンプ弾くベートーヴェンの作品111。
おそらくバックハウスの作品111は通夜で、最期にかけられたのだろう。

お嬢様の五味由玞子さんが、「小説新潮スペシャル」に収められている
「父・康祐の遺したレコード」(1981年1月)に、こう書かれている。
     ※
最後に、わが家から父のもとに届けたレコードは、オイゲン・ヨッフム指揮の「マタイ受難曲」とウィルヘルム・ケンプの弾いたベートーヴェンのピアノソナタ、作品一〇六、一〇九と一一一である。父は一一一を聴きながら泣いていた。父の涙を、私はそのとき、はじめて見た。

Date: 1月 26th, 2009
Cate: 「ルードウィヒ・B」

「ルードウィヒ・B」(その1)

「ルードウィヒ・B」は手塚治虫氏の未完となった3作品のひとつであり、
タイトルから想像できるとおり、ベートーヴェンを主人公とした作品である。

紙からは音は出てこない。そんな平面の世界──制約だけの世界──で、
一瞬たりとも立ち止まることのない音楽を、どう表現するのか。
手塚治虫の答えが、「ルードウィヒ・B」には、いくつか提示されている。

バッハの平均律クラヴィーアを描いた1コマは、圧巻と言うしかないだろう。

物語がどういう展開になるのかは、もう誰にもわからない。
「ルードウィヒ・B」はおそらく、まだ全体の4分の1くらいのところだったのではないか、
そんな気がしてならない。

ハ短調交響曲を、手塚治虫はどう描き切るのか、
「第九」は……、後期のピアノ・ソナタは……、そのなかでも作品111は、どうなっていっただろうか。

回を追うごとに、手塚氏の表現力は増していっただろう。

私の想像が追いつくことはこないだろう。
それでも、想像をめぐらすしか、他にない。

「ネオ・ファウスト」も「グリンゴ」も続きが読みたかった。
「ルードウィヒ・B」は読みたいだけでなく、せめて1コマでいいから見たかった作品である。

Date: 1月 26th, 2009
Cate: ジャーナリズム

オーディオにおけるジャーナリズム(その5)

1988年5月に、黒田先生のお宅に打ち合わせで伺ったときのこと。雑談中にある話を黒田先生がされた。

「最近の雑誌の編集者のなかには、一度も顔を合わせたことがない人が何人かいる。
最初の原稿依頼が電話で、その次からは電話かファクシミリ。
書いた原稿もファクシミリで送信してほしいと言ってくるか、もしくはバイトの子に取りによこさせる。」

黒田先生は、当時から音楽誌、オーディオ誌意外に一般誌にも原稿を書かれていた。
上の話は、その一般誌のことだった。

20年以上前から、筆者と編集者のつき合いは、大きな出版社から、すでに希薄になりはじめていたのだろう。
いま思えば、われわれはなんだかんだいって、よく筆者のお宅に伺っていたのかもしれない。
それが当り前のことだと思ってもいた。

いまはファクシミリよりも便利なメールがある。
もう、原稿の、直接の受け渡しもなくなっているのだろうか。

筆者と編集者の間には、いまや必要最低限のコミュニケーションだけしか残っていないのだろうか。
だとしたら哀しいことである。

Mark Levinsonというブランドの特異性(その23)

JC3が、当時の多くのパワーアンプと大きく異る点は、出力段の電源まで定電圧化していることだ。

通常のパワーアンプでは電圧増幅段の電源は定電圧回路から供給することが多いが、
出力段までとなると発熱量の多さ、設計の困難さから、平滑コンデンサーから直接供給される。

JC3の電源回路は、
15Vの三端子レギュレーターとパワートランジスターによるリップルフィルターを組み合わせたもので、
三端子レギュレーターとアース間には3.6Vのツェナーダイオードが挿入され、
制御用のパワートランジスターのベース・エミッター間の0.6Vの電圧降下分をいれて、18Vになっている。

ML2Lも、前述したように、出力段の電源まで定電圧化している。

Date: 1月 25th, 2009
Cate: 五味康祐

五味康祐氏のこと(その2)

「想い出の作家たち」という本のことを知った。
1993年に文藝春秋から出ており、今は亡き作家の素顔を、身近にいた家族が語った本とのこと。

その第1集に、五味先生の奥様、千鶴子氏の文章が収められている。

絶版だが、amazonで古本が購入できる。価格も、送料のほうが高いくらいだ。
注文したばかりなので、手もとに届くのは数日後である。

Mark Levinsonというブランドの特異性(その22)

ML2LとJC3のもっとも大きく異る点は、出力の大きさだと思う。
スイングジャーナルのCESの記事に載っているマークレビンソンの試作パワーアンプの出力は15W+15W。

ジョン・カールから手渡されたJC3の回路図が、2種類あることは書いた。
ひとつはネット上で公開されているもので、何かのオーディオ誌に掲載されたもののコピー、
もうひとつはジョン・カールの手書きによるもののコピーで、こちらは電源回路も含まれている。

JC3の基本回路構成は、いわゆる上下対称回路と呼ばれているもので、
初段はFETの差動回路、2段目はトランジスターによる増幅で、ドライバー段、出力段と続く。

ふたつのJC3の違いは、出力段とドライバー段、バイアス回路のトランジスターは同じものが使われているが、
初段FETの+側と2段目のトランジスターが他の品種に置き換えられている。
そのこともあってか、NFBの定数が異る。

もうひとつ異る点で見逃せないのが、出力段の電圧だ。
手書きのJC3の回路図では18V、もうひとつのJC3では20Vになっている。
わずかとはいえ出力アップが図られている。

JC3は、出力段の電源電圧の18Vから推測するに、出力は15Wとして設計されているのだろう。
1976年のCESで、マークレビンソンのブースに展示してあった試作品のパワーアンプは、
まずJC3そのものと考えて間違いないはずだ。

Date: 1月 25th, 2009
Cate: サイズ

サイズ考(その31)

家庭内で、よほど大音量を鳴らさない限り、
ウーファーの振幅が目に見えるほど前後に大きく振動することはまれである。

ハーマンインターナショナルのサイトにある許容振幅
──38cm口径だと4cm、20cmだと2cmとある──まで、使うことのない音量では、
小口径と大口径の振動体積の差は、あの表にある数値ほどではない、
自社の製品にとって都合の良い、便宜的なものだ、という声もあると思う。

JBLが比較しているのはコーン型ウーファーである。
コーン型ウーファーは、大口径になるほど、コーンの深さは増す。

コーンの頂角はメーカーや機種によって異るとはいえ、38cm口径と20cm口径とでは、
振動板が囲っている体積は、そうとうに違ってくる。

スピーカーというものが、振動板が前後に動いて空気の疎密波をつくりだすものである以上、
面積よりも、重要なのは体積であることを、例え便宜的なものであったとしても、
JBLの表は教えてくれている。

Date: 1月 25th, 2009
Cate: サイズ

サイズ考(その30)

2006年のいまごろ、ハーマンインターナショナルのウェブサイトを見ていたら、
JBLが大口径ウーファーにこだわる理由の説明がなされていた。

このページは、JBLのホームオーディオに行き、
テクノロジー解説の「スピーカーシステムの低音再生能力について」にて読める。
リンクしてもよかったのだが、3年前と今とでは、サイトが作りかえられたためだろう、
アドレスが変更されていた。
今後もサイトの変更とともにアドレスも変更されるだろうから、あえてリンクはしなかった。

そのページでは、4インチ(10cm)口径から15インチ(38cm)口径まで8つのサイズのユニットの
振動板面積、許容振幅、振動体積を表組みで提示してある。

振動板面積は、ユニットの口径から算出した円の面積である。
注目したいのは、振動体積だ。

38cm口径だと4534cc、30cmは2120cc、20cmは628cc、10cmは79ccとなっている。
この振動体積は、振動板面積と許容振幅を掛け合わせて得られる、1振幅当りの値である。

この振動体積で比較すると、38cm1発と同等の値を得るには、
30cmだと2発、20cmだと7発、10cmになると50発ものウーファーが必要となる。

振動体積だけで低域の再生能力の全てが語れるわけではないだろう。
それでも、井上先生が言われた、
「38cmなら(片チャンネル当り)2発、30cmなら4発」というが、ぴったりあてはまる。

井上先生は、長年の、ご自身の体験から得られた感覚的な結論として言われたのであって、
振動体積を考慮しての発言ではなかったと思う。

38cm2発と20cm14発、どちらが優れた低音再生能力を見せてくれるかは、
実際に試してみないことにははっきりしたことは言えないが、ひとつだけ言えるのは、
20cm14発のシステムをつくることは、38cm2発のシステムを組むよりも、
そうとう大がかりで困難な作業であることは明らかだ。

38cm2発ならば、ユニット配置は縦にするか横にするかぐらいだが、
14発ともなると、どうレイアウトするかだけでも難しい。
それにユニットの接続も、2発なら並列につなぐことが基本になる(直列接続がいいこともある)が、
14発ではシリーズとパラレルを組み合わせるしかない。
この組合せをひとつひとつ、音を聴いて確かめていく作業だけでも、気が遠くなりそうだ。

JBLのウェブサイトに示されている各口径のスペックは、あくまでもJBLの基本的なユニットの値である。
許容振幅は38cmが4cmなのに対して、20cmだと2cmだ。
他のメーカーが独自技術で、20cm口径の許容振幅を大幅に向上させたら、
10cmを超える振幅を実現したら、話はまた違ってくるだろう。

Mark Levinsonというブランドの特異性(その21)

ML2Lを開発する前に、マーク・レヴィンソン自身が使っていたパワーアンプの中には、
パイオニア/エクスクルーシヴM4が含まれていた、と何かの記事で読んだことがある。

M4は50W+50Wの、A級動作のステレオ仕様のパワーアンプだ。
スピーカーははっきりとしないが、QUADのESLを使っていたことは間違いないだろう。
ML2Lと前後して発表されたHQDシステムの中核は、ESLのダブルスタックなのだから。

瀬川先生は、ML2Lは、輸入元(R.F.エンタープライゼス)の測定では、
50W(8Ω負荷)の出力が得られた、と書かれている。
おそらく公称出力の25Wまでが完全なA級動作で、それ以上はB級動作に移行しているだろう。

井上先生は「ML2Lでオペラのアリアを聴いていると、いい音で、気持ちいいんだよなぁ。
でも曲が盛り上がってきて、合唱が一斉に鳴り出した途端に、音場感がぐしゃと崩れるのがねぇ……。
そうとう能率の高いスピーカーでない限り、25Wの出力は、やっぱりきつい。」と言われていた。

ML2Lがクリップすると言われているのではない。
それまできれいに展開していた音場感が、曲の高揚とともに、それなりの出力を要求される領域になると、
途端に音が変化すると言われている。

25Wまででカバーできているときの音は素晴らしいけれど、それ以上の出力となると、
おそらくA級動作からはずれるのであろう、その音の違いが如実に現われたのかもしれない。

ESLの能率は低い。25Wでは出力不足を感じることもあっただろう。
だからブリッジ接続による出力増大が必要になったのかもしれない。

Date: 1月 24th, 2009
Cate: サイズ

サイズ考(その29)

低音再生について、井上先生が言われていたことがある。
「本気で取り組むのなら、38cm口径ウーファーを片チャンネル当り2本、
30cm口径だったら4本ぐらい、用意するくらいじゃないと、ね」

同じことをステレオサウンドにも書かれていたはずだ。

よくウーファーの口径について語る時、
38cm口径1本と20cm口径4本分の面積は、ほぼ同じだとある。
円の面積だけで考えれば、間違いではない。

井上先生の話を聞いていた時、私も面積で考えていた。

38cm口径2本よりも、面積でいうなら30cm口径4本のほうが広い。
ならば、30cm4本のほうが、好結果が得られるかもしれない、そんなことを安易に思ったこともあった。

同じことは振幅についても言われている。

口径が38cmと20cmの場合、円の面積比は4対1だから、
20cm口径ウーファーの振幅を38cmの4倍にすれば等価である、と。

スピーカーユニットの口径は、円の面積では語れないのである。

Date: 1月 24th, 2009
Cate: ジャーナリズム

オーディオにおけるジャーナリズム(その4)

あったもの、なくなったもの」を読んでくれた友人のYさんが、メールをくれた。

Yさんのメールには、
「希望」というキーワードは、広告コミュニケーションの世界では、
一昨年あたりからますます重要視されている、と書いてあった。

Yさんは、「あったもの、なくなったもの」を読んで、時代というものを感じた、と書いてくれた。
私も、Yさんのメールを読んで時代を感じるとともに、
「広告コミュニケーション」という言葉に、目が留まる。

広告の世界ではなく、「コミュニケーション」がそこにはついている。

オーディオの出版の世界も同じだろう。
コミュニケーションがつくかどうかの違いは大きいはず。

2000年に、audio sharingの独自ドメインをとったときに、.netでも.orgでもなく
.comを選んだのは、コミュニケーション (communication) のcomであってほしいという想いからだ。

もちろん.comは company だということはわかっている。