Archive for category テーマ

Date: 3月 12th, 2016
Cate: アナログディスク再生

アナログプレーヤーの設置・調整(その29)

アナログプレーヤーとコントロールアンプの位置関係は、
ケーブルの引き回しに関係してくる。

何度も書くが、アナログプレーヤーは微弱な信号を取り扱っている。
オーディオ機器でいちばん微弱な信号ともいえる。
だからこそ細心の注意を払う。

1970年代、アナログプレーヤーの出力ケーブルとして、
低容量型と低抵抗型が、同じメーカーから発売されていた。

低容量型ケーブルはMM型、Mi型用であり、
低抵抗型ケーブルはMC型用である。

同軸ケーブルという構造上、
低容量と低抵抗を両立させることは難しい。
だからMM型には低容量、MC型には低抵抗という使い分けが常識だった。

低抵抗のケーブルは、いうまでもなく低容量のケーブルよりも静電容量が大きい。
インピーダンスが高いMM型だと、この静電容量が負荷となりハイカットフィルターが構成され、
容量が大きければ可聴帯域内で減衰が始まってしまう。

MC型でも同様にハイカットフィルターが構成されるが、
出力インピーダンスが低いため、カットオフ周波数は十分に高い周波数となる。

むしろ問題はケーブルの抵抗である。
ケーブルの抵抗値が高ければ減衰器として作用してしまう。

MM型よりも出力電圧の低いMC型の信号が、アンプもしくは昇圧トランスの入力に着く前に減衰してしまう。
ケーブルの抵抗値が大きいほどげ減衰量も大きくなる。

だからMM型には低容量、MC型には低抵抗のケーブルということになる。
そしてどちらのケーブルにおいても、ケーブルの長さが容量、抵抗と関係している。

短ければ容量、抵抗は低くなり、長ければ大きくなる。

同じ低容量のケーブルであっても長さが半分になれば静電容量は半分になる。
長さが倍になれば静電容量も倍になる。
抵抗に関しても同様だ。

Date: 3月 12th, 2016
Cate: ステレオサウンド

ステレオサウンドについて(その23)

ステレオサウンド 45号「サウンド・スペースへの招待」ではっきりしたことがある。
別冊「コンポーネントステレオの世界 ’77」に載っている《V・ハウス「ビルト・インの手法」》、
このモダンな印象の部屋も、田中一光氏の部屋である、というこだ。

45号の「サウンド・インテリアの楽しみ」の中に、田中一光氏の発言としてこう書いてある。
     *
「僕の聴く音楽の傾向との相性もあるのでしょうが、響きのたちが好きになれないのです。4341は、シャープネスはあるし、ダイナミックレンジの幅があって、いかにもハイフィデリティを狙ったという感じですね。どうしてもデモンストレーションという聴き方をしてしまう。ですから深夜に住いに帰ってきて針をおろすにはふさわしくないのです。くつろいで音楽を聴こうとしたら、やはりこちらのハークネスの方がいいということになってしまう。
 はじめは4341を主要システムとして自宅のこの部屋で使おうかと思っていたのですが、結局のところ新しい音がそれほど好きになれない。このシャープで細かい音は、どちらかというと腰の強さや図太さを大切にする僕の音楽の聴き方に向かないということでしょうか。
 JBLは僕は好きだけれど、昔のJBLがいい。ハークネスはホーンロード型ですが、こののびのびとした響きにくらべると、4341は何か大きなブックシェルフタイプといった音にきこえる。ここ20年の技術的進歩というものは、スピーカーに於てはそれほど大きくないね。ハークネスを再評価することになった……」
     *
結果、4341は山中湖の別荘で、
AGIの511、マランツの510Mで鳴らされることになる。

山中湖の別荘、511、510M、4341というキーワードで、
45号の記事中にははっきりと書いてあったわけではないが、
すぐに《V・ハウス「ビルト・インの手法」》の、あの部屋だと気づいた。

《V・ハウス「ビルト・インの手法」》も印象に残っていたからだ。

Date: 3月 12th, 2016
Cate: 技術

捲く、という技術(その2)

20年くらい前だったか、
あるメーカーの介護支援ベッドのモーターがドイツ製だったことに気がついた。

その介護支援ベッドを製造しているのは日本の、よく知られるベッドメーカーである。
なぜ日本製のモーターではなかったのか。

日本には、そのベッドメーカーが要求する性能のモーターを製造できるところがなかった。
だからドイツ製のモーターを採用した、とのことだった。

介護支援ベッドのモーターのこまかな仕様は聞かなかったが、
まず低速で十分なトルクをもっていること、
病室で使用されるベッドだから、静粛性も求められる。
耐久性、長寿命でもなくてはならない。

これらが条件だとすれば、
日本にはダイレクトドライヴに使われていたモーターの技術が、応用できるのではないか。
そう思ったし、そうだとしたらダイレクトドライヴ型プレーヤーの全盛時代がすぎてしまい、
日本には、そのころのモーターを製造できるところがなくなってしまったのかも……、そうも思っていた。

丹念にさがしていけば、日本にもまだ残っていたとは思う。
けれどある程度のコストで、大量に必要となるモーターが、
海外製ではあっても既製品で入手できるとあれば、そちらを選択する。

Date: 3月 11th, 2016
Cate: アナログディスク再生

アナログプレーヤーのアクセサリーのこと(その20)

アナログプレーヤー関連のアクセサリーは、いまもいろんなモノがあるが、
昔はアナログディスク全盛だったから、もっと多くのアクセサリーが出ていた。

使ったこともあるモノもあれば、まったく縁のなかったモノもある。
スタイラスタイマーと呼ばれているアクセサリーがあった。
ピカリング、ナガオカ、スウィングなどから出ていた。

カートリッジの針先はダイアモンドならば、寿命は約300時間といわれていた。
毎日一枚のLPを聴けば、一年で針先は寿命を迎えることになる。

まめな人ならば、その日その日、何枚のLPをかけたかを記録していくだろうが、
私はそんなことはしなかった、
私と同じで、そんなことはめんどうだと思う人がいるから、
スタイラスタイマーというアクセサリーが登場したのだろう。

まわりにスタイラスタイマーを使っている人はいなかった。
実物を見たこともない。
特に欲しいとも思わなかった。

いまも欲しいとは思っていない。

無関心だったわけだが、ひとつ気付いたことがある。
カートリッジを交換しない人にはスタイラスタイマーは使用時間の目安となるが、
頻繁にカートリッジを交換する人には対応していないはずだ。

まめな人ならば、カートリッジの数だけスタイラスタイマーを用意して、
カートリッジの交換とともに、スタイラスタイマーも交換する。
カートリッジAにはスタイラスタイマーA、カートリッジBにはスタイラスタイマーB……、という具合にだ。

いまならばスタイラスタイマーはiPhoneと組み合わせることで、
センサーとiPhone(アプリ)とに分けられる。
アプリ側で使用カートリッジを登録し、
カートリッジ使用時にどのカートリッジなのかをメニューから選ぶ。

そうすれば使用時間のトータルだけでなく、
どのカートリッジをいつどの程度使ったのかもグラフや数字で管理・表示できる。

Date: 3月 10th, 2016
Cate: 「ネットワーク」

dividing, combining and filtering(その1)

なにかがぐらついているように感じることがある。
いまのオーディオ界をみていると、歳月とともにしっかりとあるべき「なにか」がぐらついている。
そう感じることがある。

分岐点(dividing)と統合点(combining)、それに濾過(filtering)から、
多くのシステムは成っている、と感じもする。

このことがぼんやりとなっているからなのだろうか。

Date: 3月 9th, 2016
Cate: audio wednesday

マッスルオーディオで聴くモノーラルCD(その7)

以前書いたことのくりかえしになるが、
スピーカー・エンクロージュアの天板の上に何かをのせる。
もうそれだけで音は変化する。

きちんと調整されたシステムであれば、その変化は無視できないほどのものだ。
たとえばスーパートゥイーターを導入したとする。

たいていの場合、エンクロージュアの天板の上に設置する。
まずこの状態で音を聴いてみてほしい。
つまりスーパートゥイーターを置いただけの音である、スーパートゥイーターは鳴っていない。

音の変化が聴きとれる。
次にスーパートゥイーターの位置を変えてみる。
もちろんまだ結線せずに、鳴っていない状態である。
位置の変化によっても音は変る。

つまりスーパートゥイーターを導入するということは、
高域のレンジが延びること以外に、変動要素がいくつも発生するということだ。

スーパートゥイーターでなくても、スタビライザーでもいい。
スタビライザー程度の重量のモノをのせても、音は変化するし、
動かせばまた変化する。

自作のスピーカーで、特にホーン型を使っている人は、
エンクロージュア上で中高域ユニットの位置決めの調整を行う。
このとき変化しているのは、ウーファーとの位置関係だけでなく、
エンクロージュアの振動モードも、上にのるユニットの移動によって変化している(させている)。

そしてエンクロージュアの振動モードが変化すれば、
エンクロージュアから伝わってくる振動も変化する。

つまり振動のことだけに限っても、エンクロージュアと上にのるユニットは相互作用の関係にある。

オーディオでは何かを交換して、比較試聴する。
ここで気をつけなければならないのは、
変動要素がひとつだけということはまずありえない、ということだ。
必ず複数の変動要素があると考えなければならない。

その上で、変動要素をいかに減らし、明確化していくかが大事になる。

モノづくりとオーディオのプロフェッショナル(その8)

メーカーとしての機能。
このことについて考えていくには、
メーカーとしての性能、メーカーとしての効能。

これらのことも同時に考えていく必要がある。

Date: 3月 8th, 2016
Cate: audio wednesday

マッスルオーディオで聴くモノーラルCD(その6)

JBLの2441の出力音圧レベルは118dBと、カタログには載っている。
この値は実際のホーンを取りつけてものではなく、
90cmのチューブに取りつけての音圧であり、実際の使用状態での音圧は10dBほど低下する。

JBL Professionalのカタログには、ホーンについても出力音圧レベルが表示してある。
同じドライバーを取りつけてもホーンの指向特性によっても、出力音圧レベルは多少変化する。

2397の出力音圧レベルは、108dBとなっている。
単純計算でいけば、2441をダブルで鳴らすわけだから3dB上昇の111dBとなる。

同一ユニットのダブルで音圧は何dB上昇するのか。
6dBだと考えている人がけっこう多いようだが、実際には3dBの上昇である。

家庭で鳴らすには111dBも108dBも大きくは変らない、と思っていい。
最大出力音圧レベルにしても、そこまで音量をあげることはない。

ならば2441を二本で使うことのメリット、デメリットの前に、
シングルとダブルの違いはどこにあるのか。

今回予測が甘かった、と反省していることがひとつある。
エンクロージュアの奥行きを測っていなかった。
2397に2329を介して2441をダブルで取りつけると、奥行きがかなり長くなる。

のせてみると、けっこうギリギリだった。
ホーンとドライバーの前後位置を調整したいと思っても、
これ以上後にするとドライバーがエンクロージュアが落ちそうになる。

シングル用のスロートアダプター2328とダブル用の2329は長さが違う。
この違いによって、今回はエンクロージュア上での前後位置の調整はほとんどできなかった。

そしてこのこと関係するのが、エンクロージュアへの荷重のかかりかたの違いがある。
これは音にかなり関係してくる。

Date: 3月 7th, 2016
Cate: audio wednesday

マッスルオーディオで聴くモノーラルCD(その5)

当日は、15時には喫茶茶会記に、2441二本と2397、2329を持って着いていた。
常設のアルテックのシステムをバラして、ウーファー・エンクロージュアを移動。

前回のアンプの比較試聴の際には、部屋を横方向に使った。
つまり長辺の壁側にスピーカーを設置した。

今回はモノーラル再生ということを考慮して縦方向に使った。
短辺の壁側に移動して、設置した。

モノーラル再生だから、左右のエンクロージュアを近接させて擱く。
その上に約30kgの2441とホーンをのせる。
ホーンが水平になるように調整する。

それからアンプ、CDプレーヤーを扉つきのラックから取り出して移動設置。
audio sharing例会の常連のAさんが、パソコンとMytekのManhattanを持ち込んでくれた。
これらの設置、結線をおえて16時ごろには音が出る。

開始は19時。
それまでいくつかの調整をしながら音を鳴らし続けていた。

マッスルオーディオで聴くモノーラルCDの会が終ったのは、23時すぎ。
ほぼ七時間、ずっと鳴らし続けていた。

鳴らしながらも、後半はさらに調整を加えていた。
鳴らしはじめのころは、上がJBLで下がアルテックということが、
まったく気にならなかったかというと、そうではなかった。
音圧的にではなく、エネルギー的にも上の方がまさっていた。

ユニットそのものを比較すると、それはやむを得ないことなのかと思いつつ、鳴らしていたところもある。
これだけ続けて鳴らしていると、それだけでも音は変化してくる。
後半、それも終りごろになって、ウーファーの鳴り方が大きく変化した。

このエンクロージュアを店主の福地さんにすすめてよかった、と思えるだけの低音が鳴りはじめた。
そうなると、下がアルテックで上がJBLということは気にならなくなる。

こういう音が鳴ってきたから、
来月のaudio sharing例会も今回の続きというかたちでやろうと思った次第だ。

Date: 3月 7th, 2016
Cate: audio wednesday

マッスルオーディオで聴くモノーラルCD(その4)

アースの処理をどうしたのか、具体的に書くことも考えたが、
20数年前、今回と同じ考えのひとつを、ある人のシステムでやったことがある。

効果は大きかった。
それまで使用していたケーブルに基本的には手を加えただけだから、
ほとんど費用は発生していない。

その人の部屋はかなり広く、コントロールアンプとパワーアンプ間は、
6mほどのケーブルが使われていた。
その時私がやったことはケーブルが長いほど効果は大きくあらわれるから、
その人は当然驚いたが、私も想像以上の変化に少し驚いた。

だから彼は、別の人の部屋にいって、アースまわりをいじっている。
本人は私がやったことを正しく理解して、別の人のところでそれを応用・実践したつもりだったのだが、
私が後日、そこに行ってみると、むちゃくちゃだった。

何をやったのかは、その人に説明してあった。
彼の目の前で説明しながらの作業を行った。
けれど彼は何ひとつ理解していなかったことが、
彼がやったアース処理をみてはっきりした。

当時以上はいまのほうが、アースに関することを見聞きする。
アースのループが……、といったことがいわれている。

でもどれだけの人がアースについて理解しているのだろうか。
アースは難しい。

私のマネをした人は、当時オーディオ関係の仕事をしていた。
いわばオーディオのプロフェッショナルであった。
本人もそういう自覚があった、と思っている。

けれど実際にはどうだったのか。
それを考えると、言葉だけで伝えているここで、アースの配線をどう処理したのかを、
具体的に書くことは控えたい。

Date: 3月 7th, 2016
Cate: audio wednesday

マッスルオーディオで聴くモノーラルCD(その3)

クロスオーバー周波数を当初の考え(635Hzあたり)から、
実際の720Hzあたりに変更したのは、ドライバーの安全を考慮してではない。

今回の音出しのアンプはマッキントッシュのMA2275。
このアンプの入力インピーダンスは22kΩとなっている。

ハイパスフィルターに使ったコンデンサーの値は0.01μF。
この容量のコンデンサーと22kΩの抵抗とでは、約723Hzのカットオフ周波数となる。

0.01μFにもっと小容量のコンデンサーを並列に接続して、
容量の調整をしていけば635Hzあたりに設定できた。

けれど、0.01μFよりも一桁小さな容量のモノは、
今回使用したコンデンサーにはない。
そうなると別のコンデンサーを使うことになる。

ここは考えによる。
私は別の種類のコンデンサーを並列することを嫌い、0.01μFでいくことにした。
私と違う考えの人ならば、正確に635Hzになるようにコンデンサーの容量を調整するだろう。
どちらがいいのかはそれぞれが判断すればいいこと。

MA2275の入力インピーダンスが低ければ(10kΩぐらい)、
同一品種のコンデンサーで容量の調整が行え、635Hzあたりのクロスオーバー周波数にしていた。

ローパスフィルターは720Hzあたりになるようにコンデンサーの容量は、並列接続で調整した。
もちろん同メーカー、同型番のコンデンサーを使って、である。

それでもあくまでも調整できる範囲内であって、
きっちりハイパスフィルターと合せてはいない。

ハイパスフィルターはコンデンサーがひとつ、
ローパスフィルターは抵抗がひとつにコンデンサーがふたつ。
ハイパスフィルターのコンデンサーはRCAプラグ内に収めた。

簡単なフィルターだが、アースの処理には気を配っている。
フィルター(ローパス側)はアースのリターンに配慮している。
同時に全体のアースも同様である。

Date: 3月 6th, 2016
Cate: audio wednesday

マッスルオーディオで聴くモノーラルCD(その2)

マッスルオーディオと自分で名づけたぐらいだから、
6dBスロープでユニット(ドライバー)の破損を気にしながら、
おっかなびっくりでボリュウムをいじるようなことはしたくなかった。

マッスルオーディオである以上、思い切って、必要とあれば音量をあげる。
それでもしダイアフラムが破損したとしても、
誰かのモノではなく、私のモノだから、気にすることもない。

私だって壊したくはない。
けれど、壊したくない気持だけを優先するぐらいならば、
最初からこんな企画を考えなければいいだけの話だ。

自分で名づけて自分で決めた企画だから、
そこでの破損はすっぱりあきらめる。

よくスピーカーを大音量で破損させたことを自慢する人がいる。
自慢しなくとも、まわりが、さもそのことがすごいことのように語っていくことがある。

たとえばメーカー、輸入商社から借りたスピーカーを、
試聴室で音量をあげすぎて破損させる。
もしくはインターナショナルオーディオショウなどの場で、やはり音量のあげすぎで破損させる。

このことを、すごいこととして受けとめる人たちがいる。
ほんとうに、それはすごいことだろうか。

岩崎先生がご自身のJBLのドライバーのダイアフラムを金属疲労でボロボロ(粉々)にされたのと、
借用品を、いわば使い方を誤って破損させたのでは、意味合いがまったく違う。

岩崎先生の例をすごいというのであれば理解できる。
けれど借用品の場合は、私はそうは思えない。

壊した人は、内心忸怩たる思いだったのではないのか。
試聴室、オーディオショウで鳴らす人は、いちおうはオーディオのプロフェッショナルである。
そういう人が、なんらかの理由でスピーカーを壊してしまった。

壊してしまった本人が、どうだ、オレはすごいだろう、と吹聴されているのであれば、
ご勝手に……、と思うしかない。

けれどそうでない場合、本人の内心は第三者にははっきりとしたことはわからない。
にも関わらず、まわりが、そのこと(ミス)をすごいと持て囃すのには違和感をおぼえてしまう。

Date: 3月 6th, 2016
Cate: 再生音

続・再生音とは……(音の修復とは)

KK塾、六回目の講師、澤芳樹氏が語られた再生医療。

ここでの「再生」と再生音の「再生」とでは、同じではないことはわかったうえで、
それでも同じ「再生」ということ、
そして四回目の講師、長谷川秀夫氏の話に出てきた、修理、修繕。

これらのことにこだわって考えてなければならないことがあるような気がしている。

ハートシートは心臓を修復する。
まさに再生医療である。

ハートシートは魔法のようにも思える。
がハートシートは死んでしまった細胞は修復できない。
そんなことを可能とするのは魔法でしかない。

ここで考えるのは、再生音の元となるものは、どういう状態なのか。
死んでしまっているものなのか、仮死状態なのか、それとも別の状態なのか。

音の修復といっても、それによって意味が違ってくる。

Date: 3月 6th, 2016
Cate: audio wednesday

第63回audio sharing例会のお知らせ(muscle audio Boot Camp もうひとつのテーマ)

“Pavarotti Forever”

タイトルからわかるように、ルチアーノ・パヴァロッティの追悼盤として二枚組のCD。
二枚目の12曲目に”Caruso”が入っている。

パヴァロッティが歌ってきたものすべてを聴いているわけではないが、
それでも、この”Caruso”はパヴァロッティの最高の歌唱だと思っている。
未聴の方は、ぜひ聴いてほしい。

“Caruso”を以前、JBLのDD66000で、ある人の部屋で聴いていた。
最初鳴ってきた音は、お世辞にもいいとはいえなかった。
DD66000の位置、角度などを調整してからの”Caruso”はよかった。

パヴァロッティは、なんていい声をしているんだ、としみじみ思いながら聴いていた。
満足すべき鳴り方といえばそういえなくもなかったし、
DD66000の持主も非常に満足していた。”Caruso”を何度もくり返し聴いていた。

だから口には出さなかったけれど、
そこで鳴っていたパヴァロッティは、どう聴いてもスマートなのである。

あなたはパヴァロッティですか、とたずねたくなるほど、スマートなイメージしか伝わってこなかった。
ホセ・カレーラスが、パヴァロッティの声で歌っている……、そんなふうにきこえた。
パヴァロッティがどういう体躯だったかは書かなくともいいだろう。

“Caruso”に限らない、パヴァロッティによる歌を聴くのであれば、
その音からパヴァロッティの体躯がイメージできる音で、私は聴きたいと思っている。

4月のaudio sharing例会”muscle audio Boot Camp”のもうひとつのテーマは、
このパヴァロッティの”Caruso”をパヴァロッティらしく聴くことである。

Date: 3月 6th, 2016
Cate: audio wednesday

第63回audio sharing例会のお知らせ(muscle audio Boot Camp)

4月のaudio sharing例会は、6日(水曜日)です。

ステレオ以前、すべての人がモノーラルで聴いていた時代には、
今回のaudio sharing例会でやったと同じようなシステムで聴いていた人はいたと思う。

15インチ口径ウーファーをダブル、
4インチ口径ダイアフラム・2インチスロートのコンプレッションドライバーもダブル、
そしてパワーアンプはそれぞれのユニットごとに用意した、いわゆるマルチアンプ。
こういうシステムで鳴らしていた人は、当時の日本では少なかっただろうが、
アメリカならばけっこういたのではないだろうか。

日本でもアメリカでも、モノーラルからステレオに移行したとき、
モノーラルに本格的なシステムを組んでいた人ほど、
ステレオへの移行が遅かった、という話はよく聞いている。

もうワンセット、これまで聴いてきたシステムと同じモノを揃える。
それはけっこう労力のいることで、もしかすると、こんな例もあったかもしれないと思っている。

ウーファーもコンプレッションドライバーもダブルだから、
それぞれを左右チャンネルにふりわける。
ホーンを一本とシングル用のスロートアダプターだけを用意すれば、
スピーカーは左右チャンネルで揃う。

アンプはマルチアンプ(バイアンプ)だったのを、
LCネットワークにすれば、パワーアンプに関してはそのままいける。

あとはコントロールアンプとアナログプレーヤーをステレオ仕様(対応)にすればいい。

これはまったくの空想なのだが、
ステレオへの移行時期には実際にあった例と紹介しても納得してもらえるだろう。

今回の”muscle audio Boot Camp”では、これと同じこと(これと近いこと)を試してみたいと考えている。

場所はいつものとおり四谷三丁目のジャズ喫茶・喫茶茶会記のスペースをお借りして行いますので、
1000円、喫茶茶会記にお支払いいただくことになります。ワンドリンク付きです。