捲く、という技術(その2)
20年くらい前だったか、
あるメーカーの介護支援ベッドのモーターがドイツ製だったことに気がついた。
その介護支援ベッドを製造しているのは日本の、よく知られるベッドメーカーである。
なぜ日本製のモーターではなかったのか。
日本には、そのベッドメーカーが要求する性能のモーターを製造できるところがなかった。
だからドイツ製のモーターを採用した、とのことだった。
介護支援ベッドのモーターのこまかな仕様は聞かなかったが、
まず低速で十分なトルクをもっていること、
病室で使用されるベッドだから、静粛性も求められる。
耐久性、長寿命でもなくてはならない。
これらが条件だとすれば、
日本にはダイレクトドライヴに使われていたモーターの技術が、応用できるのではないか。
そう思ったし、そうだとしたらダイレクトドライヴ型プレーヤーの全盛時代がすぎてしまい、
日本には、そのころのモーターを製造できるところがなくなってしまったのかも……、そうも思っていた。
丹念にさがしていけば、日本にもまだ残っていたとは思う。
けれどある程度のコストで、大量に必要となるモーターが、
海外製ではあっても既製品で入手できるとあれば、そちらを選択する。