マッスルオーディオで聴くモノーラルCD(その7)
以前書いたことのくりかえしになるが、
スピーカー・エンクロージュアの天板の上に何かをのせる。
もうそれだけで音は変化する。
きちんと調整されたシステムであれば、その変化は無視できないほどのものだ。
たとえばスーパートゥイーターを導入したとする。
たいていの場合、エンクロージュアの天板の上に設置する。
まずこの状態で音を聴いてみてほしい。
つまりスーパートゥイーターを置いただけの音である、スーパートゥイーターは鳴っていない。
音の変化が聴きとれる。
次にスーパートゥイーターの位置を変えてみる。
もちろんまだ結線せずに、鳴っていない状態である。
位置の変化によっても音は変る。
つまりスーパートゥイーターを導入するということは、
高域のレンジが延びること以外に、変動要素がいくつも発生するということだ。
スーパートゥイーターでなくても、スタビライザーでもいい。
スタビライザー程度の重量のモノをのせても、音は変化するし、
動かせばまた変化する。
自作のスピーカーで、特にホーン型を使っている人は、
エンクロージュア上で中高域ユニットの位置決めの調整を行う。
このとき変化しているのは、ウーファーとの位置関係だけでなく、
エンクロージュアの振動モードも、上にのるユニットの移動によって変化している(させている)。
そしてエンクロージュアの振動モードが変化すれば、
エンクロージュアから伝わってくる振動も変化する。
つまり振動のことだけに限っても、エンクロージュアと上にのるユニットは相互作用の関係にある。
オーディオでは何かを交換して、比較試聴する。
ここで気をつけなければならないのは、
変動要素がひとつだけということはまずありえない、ということだ。
必ず複数の変動要素があると考えなければならない。
その上で、変動要素をいかに減らし、明確化していくかが大事になる。