ワグナーとオーディオ(その2)
オペラの実演には演出家がいる。
オペラは歌劇であり、ワグナーの作品は楽劇といわれるが、
ワグナーの作品もまたオペラである。
その意味では、ワグナーの楽劇をレコード(録音物)で聴くのと同じように、
ヴェルディやモーツァルト、その他の作曲家のオペラをレコードで聴くときにも、
レコード演出ということが気になってくるかというと、私の場合そうではない。
なぜワグナーの作品だけに、レコード演出ということが気になってくるのだろうか。
オペラにおける演出とは、視覚的なものである。
視覚的なものがなく、聴覚的な録音物でオペラを聴く際には、
そこには演出は無関係ということになる。
ライヴ録音を聴くのであれば、多少は演出による音への関係性があったとしても、
スタジオ録音であれば、演出は録音とは無関係になる。
スタジオ録音のオペラのレコードには、演出家は存在しない。
そういうレコードを聴いても、ワグナーであれば、レコード演出という要素が頭をかすめる。