Archive for category テーマ

Date: 12月 3rd, 2024
Cate: audio wednesday

audio wednesday (next decade) –第十一夜(BOSE 901 Series Vと現代音楽・いよいよ明日)

10月に行う予定だった今回のテーマ。
二ヵ月おくれてやっとできる。

選曲は常連のHさんに任せてしまったけれど、
BOSEの901にエラックのリボン型トゥイーターを組み合わせるだけでなく、
後半からはセンターチャンネルを足すつもりでいる。

使用機材をあげておく。

Speaker System: BOSE 901 Series V
Super Tweeter: ELAC 4PI PLUS.2
Control Amplifier: Marantz Model 7, McIntosh C22
Power Amplifier: Accuphase A20V, McIntosh MC275
D/A Converter: Meridian 218
Streamer: Meridian 210

マッキントッシュのMC275だけでなく、C22も使う。
ただしC22は、まだメンテナンスされていないので、
当日試してみて不調ならば取りやめだが、
うまくいけばセンターチャンネルのスピーカーには、
ウェストレックスの757Aを鳴らす。

どんな音になるのか、非常に楽しみだ。

開始時間は19時。終了時間は22時。
開場は18時から。

会場の住所は、東京都狛江市元和泉2-14-3。
最寄り駅は小田急線の狛江駅。

参加費として2,500円いただく。ワンドリンク付き。
大学生以下は無料。

Date: 12月 3rd, 2024
Cate: きく

『20世紀のうた』〜銘機クレデンザで聴くSPレコード鑑賞会 〜

12月8日(日曜日)、
私がaudio wednesdayを行っている狛江で、
クレデンザで「20世紀のうた」を聴く会が行われる。

ここでのクレデンザとは、
ステレオサウンドの「オーディオ巡礼」の一回目の扉の写真の「クレデンザ」である。

選曲者は、音楽評論家の湯浅学氏と、作家のいしいしんじ氏。

詳細は下記のリンクから。
『20世紀のうた』〜銘機クレデンザで聴くSPレコード鑑賞会 〜

Date: 12月 2nd, 2024
Cate: 名器

名器、その解釈(JBL 4343の場合・その1)

先月のaudio wednesdayでのJBL 4343の音を聴き終ってからも、
あれこれ考えることがある。

ソーシャルメディアを眺めていると、
このスピーカー(アンプ)は名器だ、という投稿が、よくある。

こちらからすると、それもあれも名器? といった感じだし、
名器も安っぽくなってしまった、としか言いようがない。

愛用するオーディオ機器は名器と呼ばれるモノであってほしいのか。
そんなことも思ったりする。

ステレオサウンド 50号では、
「栄光のコンポーネントに贈るステート・オブ・ジ・アート賞」をやっている。
旧製品のステート・オブ・ジ・アート賞である。

この企画で取り上げられている機器は、
確かに名器といえるものばかりだ。

この50号を高校生の時に読んでいるのだから、
名器の基準ともなっている。

こういうモノが名器だ、と素直に思える。
そういう私からすると、いまの名器の使われ方は、
ただただ安っぽい。

こういうことを書くと、趣味の世界なのだから、
好き勝手でいいじゃないか、という人がいる。

逆ではないのか。
趣味の世界だからこそ──、と私は言いたいわけだが、
本題は、では4343は名器なのか、と問われれば、
多くの人は、名器というだろう。

でも私にとってはちょっと違う。
優れたスピーカーだと思っているし、
オーディオ機器として一流品とも思う。

そしてなによりも、いまでも欲しい。

それでも名器なのか、と問われれば、
少し違う、というのが私の本音だ。

Date: 12月 1st, 2024
Cate: アナログディスク再生

私にとってアナログディスク再生とは(SME 3012-R Special・その7)

東京に来て、最初に買ったオーディオ機器はSMEの3012-R Specialだったことは、
すでに何度か書いているし、ステレオサウンド 62号の編集後記にも書いている。

しばらく3012-R Specialだけが、手持ちのオーディオ機器だった。
そのころ、ターンテーブルはどれを組み合わせる、
そのことばかり考えていた。

3012-R Specialを思い切って買うきっかけは、
瀬川先生による新製品紹介記事であり、
そこではマイクロのSX8000との組合せだった。

なので、音だけで選ぶならSX8000なのだが、
そう簡単に買えるモノではないし、それにカッコイイわけではなかった。

3012-R Specialにふさわしいのは、どれなのか。
ガラードの301なのか、トーレンスのTD124なのか。

どちらにしようか、かなり真剣に考えてもいた。
心はかなりTD124に傾いていた。
TD124にロングアームは、さほど似合わないのはわかっていても、
TD124単体のまとまりの良さは、なんとも魅力的だった。

そんなことを先輩編集者のSさんと話していたら、
TD124の程度の良いものがあるよ、と教えてくれた。
かなり心は動いた。

結局、トーレンスの101 Limitedを買ってしまい、
TD124を自分のモノとすることはなかった。

それでもTD124を、どこかで見かけるたびに、
やっぱりいいなぁ、と思う。

いま私のところにはTD224がある。これでいい。
TD124への憧れのようなものは、ほぼ消えていった。

そんなところへ、昨日、TD124が動かないから、来てみてほしい、と連絡があった。

今日、行ってきた。
電源が入らないTD124がある。

電源から辿って一つひとつチェックしていって、
割とすんなり動くようになった。
気になる異音もない。

とはいっても完全な状態とはいえないので、
後日また手入れすることになるが、
静かにまわるターンテーブルプラッターを眺めていると、
あらためてTD124はいいなぁ、と思っていた。

今回のTD124は、124IIではないから、
製造されてけっこうな年月が経っているにも関わらず、
動き始めると何事もなかったように、
年月など関係ないように動作しているのをみると、
基本がしっかりしたモノは、すごいとしか言いようがない。

TD224を、まじめにメンテナンスしよう。

Date: 11月 30th, 2024
Cate: 使いこなし

セッティングとチューニングの境界(その30)

以前から、オーディオには三つのingがあり、
セッティング(setting)、チューニング(tuning)、エージング(aging)であり、
この三つのingをごっちゃにすることなく、
常にその境界を意識していくことが、いつかは訪れる──、
何度も書いていている。

この項の(その27)では、
セッティングに深く関係してくるのは精度、
チューニングに深く関係してくるのは練度、と書いた。

エージングに深く関係してくるのは、熟度だろう。

精度、練度、熟度。
こんなことを考えなくても、意識しなくても、
オーディオはやれる──。

そういう声があり、むしろそういう声の方が多いのかもしれないと思いながらも、
私はそういう態度でいようとは思っていない。

Date: 11月 29th, 2024
Cate:

いいじゃないの幸せならば

グラシェラ・スサーナの訃報。
ここ数日はグラシェラ・スサーナの歌をいくつか聴いていた。
なのになぜか今回は聴いていない歌が、頭の中で繰り返し響いている。

「いいじゃないの幸せならば」が響いている。

「いいじゃないの幸せならば」は、
佐良直美が1969年のレコード大賞を受賞した曲だから、
テレビから流れていたのを聴いていたのかもしれないが、
私にとっての「いいじゃないの幸せならば」は、
グラシェラ・スサーナの歌である。

聴いたのは中学生の時だ。
歌詞、その退廃さといっていいのだろうか、
それを中学生が理解していたとは言えないが、
グラシェラ・スサーナの「いいじゃないの幸せならば」は、重く湿っていた。

なぜ、訃報後聴いていないのに、「いいじゃないの幸せならば」なのか。

それは、これを歌った十数年後のグラシェラ・スサーナ自身の歌ともいえるからかもしれない。

ソニーミュージックから発売になったスサーナのアルバムは、
スサーナ一人の歌唱ではなく、
お世辞にもプロの歌手とは言えない女性と一緒のものだった。

なぜ? と東芝EMIのころからスサーナを聴いてきた人ならば、
そう感じ思っただろう。

でも、グラシェラ・スサーナが、
結婚相手から家庭内暴力を受けていたことを、
いまは知っている。

だから、「いいじゃないの幸せならば」が鳴ってきたのか、
単なる偶然なのか、その辺のことはなんともいえないが、
スサーナ自身は、どうだったのだろうか。

Date: 11月 28th, 2024
Cate: 異相の木

「異相の木」(好きな音と正しい音・その2)

「趣味なんだから……」、
昔から、そしていまもソーシャルメディアでよく見かける。

「趣味なんだから……」につづくのは、ほとんどの場合、
好きに関することだ。
趣味なんだから好きにやらせろ、
趣味なんだから、好き嫌いだけでいいんだ、とか。

「趣味なんだから……」は、免罪符なのか。
そういっていれば、オーディオは楽しいのか──、と私は昔から思っている。

オーディオは録音と再生の約束事が守られていることが、大前提である。
「趣味なんだから……」と、すぐに行ってしまう人は、
この約束事すら無視するのか。

そして、ここでも孔子の論語を引用したくなる。
ついこの間、別項で引用したばかりだか、その別項とも関係してくる。

子曰く、
吾れ十有五にして学に志ざす。
三十にして立つ。
四十にして惑わず。
五十にして天命を知る。
六十にして耳従う。
七十にして心の欲する所に従って、矩を踰えず。

《七十にして心の欲する所に従って、矩を踰えず。》、
ここである。

「趣味なんだから……」と、そこに留まっていたのでは、
《七十にして心の欲する所に従って、矩を踰えず》の域には、
到底辿り着けない。

Date: 11月 27th, 2024
Cate: ディスク/ブック

The CONCERTGEBOUW Legacy(その後)

10月25日に、”The CONCERTGEBOUW Legacy”が発売になった。
いままでの例だと、その日に配信も始まる。
リマスタリングされたアルバムだと、96kHz、24ビットであることが多い。

今回の”The CONCERTGEBOUW Legacy”もそうだと、勝手に思っていた。

10月25日に配信も始まれば、
11月のaudio wednesdayに間に合う、鳴らすことができると期待していた。

いくつのアルバムは配信された。
ストラヴィンスキーは、「火の鳥」だけだった。
「春の祭典」はなぜかなかった。

「火の鳥」も96kHzではなく、44.1kHzだった。それでも音は良くなっている。

「春の祭典」は、いつになるのか待っていたけれど、
私が検索したかぎりでは、しばらくなかった。

先日、思い出してみたら、「春の祭典」もあった。
以前からあるストラヴィンスキーのバレエ音楽三部作をすべてまとめたものではなく、
「春の祭典」と「ペトルーシュカ」とのカップリングの方だ。

これもよく仕上がっている。
11月のaudio wednesdayでは「春の祭典」をかけた。
機会をみて、リマスターの「春の祭典」をかける。

Date: 11月 27th, 2024
Cate: audio wednesday

audio wednesday (next decade) –第十一夜(BOSE 901で聴くグラシェラ・スサーナ )

一週間後のaudio wednesdayは、告知しているように、
BOSEの901 Series Vで現代音楽を聴く(鳴らす)。

そのことに変更はないが、開始までの約一時間は、
グラシェラ・スサーナを鳴らすつもりでいる。

11月の会では、18時から開始時間の19時までの一時間を、
リクエストタイムにあてた。
今回もそうする予定でいたが、グラシェラ・スサーナが亡くなったので、
この時間は私のわがままを通して、スサーナだけの一時間とする。

なので12月の会ではリクエストはなしとなる。

Date: 11月 26th, 2024
Cate: 1年の終りに……

2024年をふりかえって(その10)

11月22日夜、思い出したように「グラシェラ・スサーナ 」で検索した。
一年に一度くらい検索している。
新しいCDが出ていないのか、それを知りたいためなのだが、
四日前の検索は、違っていた。

検索結果のトップは、読売新聞の記事だった。
グラシェラ・スサーナが亡くなったことを伝える記事だった。

人はいつか死ぬ。
遅いか早いかはあっても、死なない人は一人もいない。

グラシェラ・スサーナだって、いつかは死ぬわけで、
とても悲しいという気持はわいてこなかった。

グラシェラ・スサーナに限らない。
好きな演奏家が亡くなっても、もう新録音は聴けないのか……、
そうは思うが、それ以上の感情を持つことは、久しくない。

それは録音が残っているからだ、と私は思っている。
誰かの死を嘆き悲しんだりはしない。
けれど録音を残してくれていることには感謝している、
ありがとう、という気持も忘れたりはしない。

13歳の秋に、グラシェラ・スサーナの歌に出逢った。
衝撃だった。
それからずっと聴いている。
いまも聴いている。

グラシェラ・スサーナが、どういう人生を送っていたのかは、
断片的に知っているくらいだ。

1990年ごろに東芝EMIからソニーミュージックに移籍した時のゴシップ的な記事も読んでいる。
その後のことも少しは知っていたけれど、
今回改めて検索して、スペイン語の記事を見つけた。

DeepLでの翻訳で読んだ。
知らなかったことが多かった。

YouTubeで、ここ数年のグラシェラ・スサーナの姿を捉えた動画もいくつか見た。

だからといって、聴き方が変るということはない。
これからも聴いていくだけだ。

Date: 11月 25th, 2024
Cate: 1年の終りに……

2024年をふりかえって(その9)

目の前に「コンポーネントステレオの世界」がある。
私が最初に手にして「コンポーネントステレオの世界」は、
1976年末に出た’77年度版だ。

「コンポーネントステレオの世界」は1981年末に出た号が最後だった。

このころ年末になると、各オーディオ雑誌が別冊を出していた。
ステレオサウンドが「コンポーネントステレオの世界」、
ステレオが「ステレオのすべて」、
ラジオ技術が「コンポグランプリ」、
オーディオ雑誌社ではないが、朝日新聞からは「世界のステレオ」が出ていた。

当時学生だった私にとって、冬休みにじっくり読める、これらの別冊の発売は、本当に楽しみだった。

中学生、高校生だったから、すべてを買えたわけではない。
楽しみにしていたのは、「コンポーネントステレオの世界」だった。

その「コンポーネントステレオの世界」が出なくなって、四十年以上経つ。
年末に別冊が出なくなって、かなり経つ。
出ないのが当たり前になってしまっている。

学生だったころ、この時期、
「コンポーネントステレオの世界」の発売を楽しみにしていたことを、
ふと思い出した次第。

Date: 11月 24th, 2024
Cate: 1年の終りに……

2024年をふりかえって(その8)

今年はなんといってもアリス・アデールが来日してくれてこと、
これが私にとっては、最も嬉しかったことだ。

二回のリサイタルを聴いた。
「フーガの技法」も聴くことができた。

アリス・アデールはフランスに戻ってから、録音の予定がある、ということだった。
10月に、”Chimères”が出ている。

96kHz、24ビットで配信されている。
TIDAL、Qobuz、Apple Musicで聴ける。

Date: 11月 24th, 2024
Cate: 4343, JBL, ワイドレンジ

ワイドレンジ考(JBL 4343を聴いて思ったこと・その1)

11月のaudio wednesdayでの久しぶりの4343。
誰かが鳴らした4343の音ではなく、自分で鳴らした4343の音を聴いて、
改めてワイドレンジのことを考えてもいた。

4ウェイ構成の4343は、当時においてもワイドレンジを目指したスピーカーシステムだったが、
いま聴いても、これは軟弱なワイドレンジのことではなく、
しっかりとしたワイドレンジの音だと感じていた。

この時代のJBLの4ウェイ構成を、いまだ誤解している人がいる。
ワイドレンジとはなんなのかについては、
すでに書いているから詳しく繰り返さないが、
単に周波数レスポンスのことではなく、
個々のユニットのパワーリニアリティを含めてのダイナミックレンジ、
そして指向特性の均一性を含めてのことである。

何も4343が、4ウェイとして理想的な形を実現していた──、
とまではいわないが、ワイドレンジを上っ面だけで語り、
誤解している人が、いまでもいることは言っておきたい。

Date: 11月 23rd, 2024
Cate: 電源

ACアダプターという電源(GaN採用のアダプター・その6)

やっと日本を含むアジアでの発売が開始になったroonのNucleus One。
今回の発売で注目したいのは、
Nucleus One with Linear Power Supplyというモデルも用意されているところ。

通常のスイッチング電源仕様のNucleus Oneだけでなく、
文字通りのリニア電源仕様のNucleus Oneもある。

価格差は600ドルほど。
roonがリニア電源を用意したことで、
スイッチング電源否定派の人たちは、
やっぱりリニア電源なんだよ、と喜ぶだろう。

まだ聴いていないのだから、
どの程度の音の違いがあるのかについては何も言えない。

すでにリニア電源仕様のNucleus Oneを注文した人がいるので、
近々聴かせてもらえる。

その際、私が手を加えたGaNのスイッチング電源を持っていく予定なので、
比較試聴ができる。どれだけの違いがあって、
その結果を、私自身、どう受け止めることになるのか。

楽しみしているところ。

Date: 11月 22nd, 2024
Cate: Digital Integration

Digital Integration(roonのこと・その7)

今年春に発表になったroonのNucleus OneとNucleus Titan。

アメリカでは夏ごろから発売になったようだが、
ヨーロッパやアジアでは、まだだった。

facebookのroonに関するページでも、
ドイツでの発売はいつごろ?、イギリスはまだなのか、
そんな投稿をつい最近まで目にすることがあった。

少し前に、ようやくアジアでの販売が開始になった。
けれど、いま日本にはroonの代理店はない。

これまで輸入していた太陽インターナショナルはやめてしまった。
roonがハーマンインターナショナルに買収されたのだから、
それも仕方ないことと思うが、
だからといって日本のハーマンインターナショナルが取り扱いを開始したわけでもない。

やる気がないのか、それとも何か事情があるのか。
いまのところ、新しいNucleusを手に入れたければ、
roonから直接購入することになるようだ。

Qobuzも、ようやくサービスが開始になって、
これまでストリーミングにあまり関心のなかった人も、
やってみようかな、と、思い始めているかもしれない。

roonが良さそうだと思っている人も少なくないはずだ。
なのにNucleusの購入に、
代理店がいまのところないということで不安を持つ人もいるだろう。

早く、どこかに決まってほしい。