オーディオマニアとしての「純度」(その19)
オーディオ評論家もオーディオマニアのはずだ。
少なくともオーディオ評論を仕事とする前はオーディオマニアだったはず。
だから、この項を書いていて、オーディオ評論家としての「純度」とは? を考える。
オーディオ評論家もオーディオマニアのはずだ。
少なくともオーディオ評論を仕事とする前はオーディオマニアだったはず。
だから、この項を書いていて、オーディオ評論家としての「純度」とは? を考える。
同軸スピーカーケーブルの逆接続による音の変化を、何度か経験するうちに、
なぜ、こんなふうに音は変化するのかについての、
自分なりの仮説が、二、三浮かんでくる。
その時の仮説とは別に、それから三十年以上経ち、
インターネットが普及し、さまざまな知見が得られるようになってから、
また一つの、新たな仮説が浮かんできた。
ポインティングベクトルである。
ポインティングベクトルについて解説することは、私には無理。
検索してみればわかるが、数式や図式が表示される。
それらを眺めたところで無理。
それでもいくつか眺めている(読んでいるとは言えないレベル)と、
「電流のエネルギーは導体の外側を流れる」という記述が目に入る。
ここで重要なのは、
電流は、ではなく電流のエネルギーは、のところなのだが、
これにしても理論的に理解できているわけではない。
それなのに、ここでポインティングベクトルについて書いているのは、
同軸スピーカーケーブルの逆接続の音は、このことに関係しているように感じているからだ。
もしそうだとしたら、また新たな仮説が浮かんでくるのだが、
実際のところ、どうなのだろうか。
今年、フランコ・セルブリンのKtêmaを鳴らすのは四度目となる。
一度目の2月の会では、アナログディスクのみで鳴らした。
3月、4月の会は、MQA-CDのみで鳴らした。
明日のaudio Wednesdayでは、KtêmaとメリディアンのUltra DAC、三度目の組合せとなる。
今回はMQA-CDにこだわらず、来られた方が持参されたCDを鳴らすリクエストの会となる。
すでに告知しているように、Ultra DACならではのフィルター三種の音を聴いてもらって、フィルターの決定とする。
どのフィルターにするのかは、リクエストされた方の判断に任せる。
私は一切、何も言わない。
一緒に聴いている人の中には、自分だったら、こっちのフィルターを選ぶと思われるかもしれない。
それも黙っていてほしい。
リクエストされた方の好きなように聴いてもらう会にしたいからだ。
開始時間は19時。終了時間は22時。
開場は18時から。
会場の住所は、東京都狛江市元和泉2-14-3。
最寄り駅は小田急線の狛江駅。
参加費として2,500円いただく。ワンドリンク付き。
大学生以下は無料。
ここで同軸スピーカーケーブルについて書いていることも、
別項「パッシヴ型フェーダーについて」で書いていることきも、同じことが含まれている。
同軸スピーカーケーブルを使って、ただ単に音がいいとか悪いとか、
音が良くなったとか悪くなったとか、
パッシヴ型フェーダーにした方がコントロールアンプを使うよりもいいとか、
やはりコントロールアンプの方が良いとか、
そういうことではなく、
その使い方を思いつく限り試してみることで見えてくる事柄がある。
このことを言いたいだけである。
(その6)は2016年8月に公開しているので、ずいぶん経ってしまったわけだが、
何も考えていなかったわけではない。
タイトルにコピー技術、コピー芸術を使っている。
2016年からの約七年間、コピーだけでいいのだろうか、と思うことが何度かあった。
コピー(copy)で日本語だと複写、複写に近い言葉として転写がある。
英語だとtranscription(トランスクリプション)。
何が言いたいのかというと、コピー技術、コピー芸術の中に、
トランスクリプション技術、トランスクリプション芸術という意味合いを込めていたのかだ。
四谷三丁目の喫茶茶会記で、audio wednesdayをやっていた時、
一度、マルチアンプで鳴らしたことがある。
モノーラルで鳴らす回で、パワーアンプの入力に6dB/oct.のフィルターをつけて、
左右チャンネルを低音、高音へと振り分けてのマルチアンプだった。
ステレオでマルチアンプをやるには最低でもパワーアンプが二台は要る。
用意できるのであればやりたかったけれど、無理だった。
今は狛江でやっている。
アキュフェーズのDF35は、すでに持ち込んでいる。
パワーアンプも二台ならば、なんとかなりそうである。
いままでマルチアンプシステムの音を鳴らしていないわけではない。
2024年1月と7月に鳴らしたメリディアンのDSP3200は、
マルチアンプによるアクティヴ型スピーカーシステム。
とは言え、オーディオマニアがマルチアンプシステムと聞いて思い浮かべるものとは、少し違う。
マルチアンプシステムをやるのであれば、DF35を使うわけだから、
ホーン型の方が面白いと思うのは、デジタル信号処理によってディレイをかけられるからだ。
手元にあるアルテックの604-8Gで、まずやってみたいと考えている。
エンクロージュアを用意する必要はあるが、
同軸方ユニットに時間軸の補正を加えた音には、強い関心がある。
なので使えそうなエンクロージュアを探している。
年に数回ほど、そろそろソーシャルメディアを辞めようか、
もしくは数を減らそうか、と思う。
にも関わらず、いまも続けているのは、まれにそうだったのか、と思える投稿に出逢うからだ。
つい先日もそうだった。
トーマス・ビーチャムの言葉が投稿されていた。
“The English may not like music, but they absolutely love the noise it makes.”
facebookでの投稿で、自動翻訳されていた。
noiseをどう訳すのかで、facebookの翻訳は、やや意味不明だった。
DeepLだと、
《イギリス人は音楽を好まないかもしれないが、音楽が発する音は絶対に好きだ。》
と訳してくれる。
noiseは雑音と捉えがちだが、以前「音」の英訳を調べていたら、
noiseも含まれていたから、DeepLの訳はすんなり受け入れられる。
《イギリス人は音楽を好まないかもしれないが、音楽が発する音は絶対に好きだ。》
これがいつ語られたのかは不明だが、確かにそうかも、と頷けた。
古き良きブリティッシュサウンドは、こういうところから生まれてきたのだろう、と。
同軸スピーカーケーブルの逆結線(芯線をマイナス、シールド線をプラス側)の効果は大きい。
このことは当時のステレオサウンドにも載っているので、記憶されている方はいるだろうが、
その中で実際に試してみた人は、どのくらいだろうか。
かなり少ないように勝手に思っているし、ここまで読んだ人の中には、
ならば最初から同軸スピーカーケーブルの逆結線にすればいいのでは? と思う人もいるはず。
そう思う人はやってみればいい、としか私には言えないし、
そういう人と私とではオーディオの取り組み方が違うとしか言えない。
段階を踏んでいくことがどれだけ大事なのか、
そのことを理解している人とそうでない人とがいる。
それだけのことなのだろう。
段階を踏むことは、なぜ同軸スピーカーケーブルの逆結線が好結果につながるのか、
そのことへの仮説を生むことにもなる。
ここが大事なことだ。
同軸スピーカーケーブルを普通に使うと、
つまり芯線をプラス、シールド線をマイナス側として結線すると、ドンシャリ気味になる。
全ての同軸スピーカーケーブルを試したわけではないので断言まではできないが、
その傾向は多少なりともある、とは言える。
特に日立電線のLC-OFCのそれは、もともとのやや硬質な性格と相まって、
ドンシャリが強調されるとも言えなくもない。
けれど、この状態でさらにシステムを追い込んだところで、
井上先生は、同軸スピーカーケーブルの結線を反対にしろ、と言われる。
最初は、どんなふうに音が変化するのか、想像できるなかった。
それでも、井上先生の指示通りに結線をやり直す。
今どきのアンプやスピーカーシステムならば、かなり太いケーブルでも苦労することなく結線できるが、
1980年代当時のスピーカーシステムもアンプも、端子はそうはいかなかった。
日立電線のLC-OFCの同軸スピーカーケーブルは、太かった。正直、結線をやり直すのはやりたくないほどに、面倒だった。
それでも鳴ってきた音を聴くと、驚く。
ドンシャリな完全に抑えられるだけでなく、全帯域に渡って音の密度が増した、と感じられた。
いうまでもなく、アンプ側もスピーカー側も両方とも芯線をマイナス、シールド線をプラス側にしているから、
スピーカーが逆相になるわけではない。
数は少ないものの、以前から同軸タイプのスピーカーケーブルがある。
おそらくモガミが最初に製品化したはずだ。
1980年代には日立電線からLC-OFCを採用した同軸スピーカーケーブルがあった。
いまもモガミには同軸スピーカーケーブルが数種出ているし、
ドイツのゴッサムからも出ている。
同軸スピーカーケーブルを使う場合、芯線をプラス、シールド線をマイナス側として使うのが、
一般的というか、ほとんどそのはずだ。
ステレオサウンドの試聴室には、日立電線のLC-OFCのモノがあった。
硬く径も太かったので、取り回しはやや面倒だったし、
この頃のステレオサウンドのメインのオーディオ評論家のあいだでは、
LC-OFCのケーブルは全般的に不評だった。
まして同軸スピーカーケーブルとなると、使う人は井上先生だけだった。
その井上先生も、常に使われているわけではなかった。
いくつかの条件が重なっていく過程で、日立電線の同軸スピーカーケーブルにしよう、と言われる。
最初は芯線をプラス、シールド線をマイナス側として接続する。
この状態で、システム全体を追い込んでいくと、接続を変えるように言われる。
芯線をマイナス、シールド線をプラス側として使う接続である。
ガラス振動板採用のフルレンジユニット、
マークオーディオのAlpair5Gの一般発売が8月から始まる、とのこと。
税込で22,990円(ペア)だから、試しに買ってみよう、と思う。
ガラス振動板ということだけで、音のすべてが決定されるわけではないのはわかっていても、
どんな音がするのかについての関心は、抑えられない。
Alpair5Gを手に入れたら、触れてフルレンジ一発で鳴らすのが当然だろうが、
なぜかこのユニットの情報を眺めていると、
3ウェイのスピーカーシステムのスコーカーとして使ってみたくなる。
トゥイーターにはAMT型を持ってきたいし、
ユニットのレイアウトは、BBCモニターのLS5/5と同じようにしたい。
ウーファーとスコーカーの間にトゥイーターを置く形だ。
LS5/5をそのまま再現したいのではなく、小型モデルに仕上げたい。
実際に、そんなスピーカーを作るのかと訊かれれば、
たぶん作らないかも……、と答えることになるが、
それでもウーファーの口径はどの程度にするのか、
どのスピーカーユニットを選ぶのか、
ネットワークの設計は──、そういった細かなことを考えるのは、
他人からバカらしい、と言われようが楽しい。
オーディオはコンポーネントであることを、ここでも実感できる。
福岡伸一氏が「動的平衡」について語られているのを読んでから、十五年が経った。
別項では、「ベートーヴェン(動的平衡)」というタイトルをつけている。
この項のタイトル、抽象×抽象=。
イコールの後にくるのは、何か。
動的平衡もくる。
確かにくると思いつつも、
抽象×抽象=ならば平衡よりも均衡かもしれない。
動的均衡か。
数日前、ヤフオク!で落札した。
今年になってLPは数枚落札していたけれど、オーディオ機器の落札は、これが初めて。
落札したのは、EMTのトーンアーム、929だ。
930st、928、950に搭載されているモデル。
いまさら、なぜ929? と思われるだろう。
929を取り付けるプレーヤーを、いまは持っているわけではない。
私が使うためではなく、あるところの930stのための落札だ。
写真で見ても状態は良さそうだった。必要なパーツの欠品も特にない。
高くなりそうかな、と思っていたけれど、予想していた落札価格よりも低かった。
その929が今日届いた。
アームパイプの仕上げも昔のまま。状態はいい。
いい買い物をした、と実感がわく。
アナログプレーヤー関係のモノは、時には意外なほど高値がつく。
それだけ出しても欲しい人がいるからなのだろうが、
それでも……、とおもうところは、やはり残る。
今年になって私のところにやって来たトーンアームは、929が最初ではなく、
SMEの3012 S/IIがやって来た。
こちらはいくつか欠品のパーツがあるから、ebayで揃えていく。
といっても、パーツが揃って整備しても、使う予定はない。
それでも、いま手元に二本のトーンアームがある。
929は近日中に、行くべきところに行ってしまうけど、
こうやって二本のトーンアームを眺めているだけで、オーディオっていいな、と思える。
2月のaudio wednesdayから続けてフランコ・セルブリンのKtêmaを鳴らしている。
5月7日も、Ktêmaを鳴らす。
今回は来られた方のリクエストに応える予定でいる。
今回もアキュフェーズのDP100とメリディアンのUltra DACの組合せを使う。
CD、MQA-CDのリクエストとなる。
SACDは、この組合せでは再生できないので応じられない。
前回、前々回はMQA-CDに限っての再生だった。
MQAの再生においてUltra DACは真価を発揮するではない。
通常のCDにおいても、Ultra DACならではのフィルターを操作することで、発揮される。
以前、別項で触れているので詳しいことは省くが、
三つのフィルターから最適なポジションにすることは、
それを面倒と感じるかもしれないが、実際の音の変化を聴けば、そうは思わなくなる。
なので今回は、リクエストされた方の判断でフィルターを選んでもらう。
三つのフィルターで、曲の冒頭を一分間ほど聴いてもらった上で、
どのポジションにするかを決めてもらい、一曲聴いてもらう。
人によって、どのフィルターを選ぶかは違ってくるかもしれないが、
そういうところを含めて、今回は楽しんでもらいたい。
今年のOTOTENにも、
ジャーマン・フィジックスの輸入元のタクトシュトックが出展しないようだ。
去年のOTOTENにも、タクトシュトックの名はなかった。
その代わりなのか、6月に開催された京都オーディオフェスティバルには出展していた。
今年もそうなのか、と思ったら、やっぱりそうだった。
いまのところ、タクトシュトックは、東京で開催されるOTOTENにも、インターナショナルオーディオショウにも出展しないようだ。
そして6月開催の京都オーディオフェスティバルには出展する。