長島達夫氏のこと(その3)
CDがCDプレーヤーのなかでどういうふうにクランプされているのか、
その状態、それも実際に回転している状態を把握していれば、
CDの内周と外周とで音のニュアンスに変化が生じる理由はすぐに推測できる。
CDプレーヤーのトレイにCDを乗せてPLAYボタンを押す。
音を聴く。そしていちどトレイを引き出す。
このときディスクには手を触れずに、またPLAYボタンを押せば、トレイは引っ込み再び音が出る。
最初の音と二度目の音には、少なからず違いが出ることが、以前は多かった。
こんなことを書くと、またオカルト的なことを書いている、と、
実際に自分のCDプレーヤーで確認すらせずに、いきなり否定する人がいよう。
このCDの問題点を真っ先に指摘されたのは井上先生だった。
かなり早い時期から指摘されていて、
最初何も言わずに、ステレオサウンドの試聴室でこれをやられた。
音が変るぞ、といったことは何も言われずに、
ただ「聴いてみろ」といって、この実験をされた。
たしかに音に違いが出る。たいていの場合二度目のほうが音の拡がりがスーッときれいに出ることが多い。
一度目がいいこともあり、その場合は二度目の音はむしろすこし悪くなる方向に変化する。
これはディスクのクランプの状態がその都度変化しているためであって、
それによるサーボの掛かり方に変化が生じ、音の変化となって聴きとれるわけである。