Date: 1月 6th, 2013
Cate: 長島達夫
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長島達夫氏のこと(その1)

CDが登場したときに期待したのは、
ディスクの内周と外周とで音の変化がない、ということだった。

LPだと角速度一定なため外周と内周とでは線速度に違いが出てきて、
しかもそればかりが原因ではないのだが、外周の溝のほうが内周よりも音がいい。
これは円盤状であるかぎり、LPでは解消できない問題点でもあった。

それがCDになれば線速度一定だからLPのような問題は原理的にも発生しない。
アナログからデジタルになったことへの問題を認識していてもなお、
外周と内周で音の違いが起り得るわけがない、
ということはCD(デジタル)ならではのメリットだと私は受けとめていた。

ディスクの最初から最後まで音質が変化しないで聴ける──、
そう期待していたし、そう思い込んでもいた。
けれど、自分のシステムでCDを聴いていると、
ステレオサウンドの試聴室では気づかなかったことがあることがわかった。

残念なことにCDでも内周と外周において音の違いが発生する、ということに気がついた。

ステレオサウンドの試聴ではCDを一枚最初から最後まで聴くと言うことは、まずない。
試聴ディスクのある一部分をくり返し聴くわけだ。
だからステレオサウンドの試聴室ではなく、自分のシステムで気がついたわけだ。

LPは外周から音楽が始まるのに対し、CDは内周から始まる。
LPでは外周、CDでは内周、どちらも音楽の始まりのほうが音がいい。
なんという皮肉なんだろう、と、そのことに気がついたときに思ったことだ。

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