真空管アンプの存在(その56)
長島先生が来られた。
試聴に入る前に、とにかくバーンスタインのマーラーを聴いてもらう。
さっき聴いたばかりの第5番をもういちど鳴らす。
冒頭のトランペットの鳴り出した瞬間から、長島先生が身を乗り出して聴かれている。
途中でボリュウムを下げる雰囲気ではない。1楽章を最後までかけた。
満足された顔で、どちらからともなく「インバルのをちょっと聴いてみよう」ということになり、
インバルのCDをかけた。すぐにボリュウムをしぼった。
長島先生と私は、インバルのマーラーを「ぬるい」と感じていた。もどかしい、とも感じていた。
インバルのマーラーは、バーンスタインのマーラーの前では聴く価値がない、といいたいわけでなはい。
長島先生と私が求めていたマーラーは、バーンスタインの演奏のほうだったというだけである。