2022年ショウ雑感(その12)
明日からインターナショナルオーディオショウ。
私の関心の一つは、(その10)で書いているように、マジコのM9が聴けるどうか。
先ほどインターナショナルオーディオショウのウェブサイトを見ていた。
エレクトリのところに、こう書いてあった。
《MAGICO M9は、移動および搬入/搬出が困難なため展示/デモンストレーションはございません。何卒。ご理解の程お願い申し上げます。》
やはり無理なのか、聴けないのか。
しかたない。
明日からインターナショナルオーディオショウ。
私の関心の一つは、(その10)で書いているように、マジコのM9が聴けるどうか。
先ほどインターナショナルオーディオショウのウェブサイトを見ていた。
エレクトリのところに、こう書いてあった。
《MAGICO M9は、移動および搬入/搬出が困難なため展示/デモンストレーションはございません。何卒。ご理解の程お願い申し上げます。》
やはり無理なのか、聴けないのか。
しかたない。
明後日には、インターナショナルオーディオショウが開催される。
昨年は行かなかったので、四年ぶりに行くことになる。
行くとなると、今年はどんな音が聴けるのか、
忘れられない音を聴けるだろうか、とやはり期待する。
これまでのインターナショナルオーディオショウで聴いたなかで、
忘れられない音は少ないけれどある。
まず最初にあげたいのは、
タイムロード時代のジャーマン・フィジックスのUnicornの音である。
何時間でも聴いていたい、と思ったし、
一日のうち三回ほどタイムロードのブースに入っていたし、
開催期間中に、もう一度聴きたくなって、また出掛けたほどである。
二番目に思い出すのは、ノアのブースできいたソナス・ファベールのCremonaだ。
アンプは、当時のノアが取り扱っていたVTLの管球式アンプ。
外観的には似合わない組合せなのだが、
Cremonoはこんなにいいスピーカーなのか、
VTLはこんなにいい管球式アンプなのか、
そんなふうに思わせるほどに、その音は見事な相性だった。
オーディオショウなんかで、いい音なんて聴けない──、
そう吹聴する人がけっこういるけれど、確かに少ないことは少ないものの、
時にはハッとする音に出逢うことも確かにある。
毎回そうだとはかぎらないけれど、今年は聴けるだろうか。
インターナショナルオーディオショウの、
各ブースのスケジュールが発表になっている。
このスケジュール表ではわからないのは最初からわかっていることなのだが、
私が今年のショウでいちばん関心あるのは、
マジコのM9が聴けるのかどうか、である。
今回オーディオショウに足を運ばれる多くの人の関心は、ここにあるように思う。
価格といい重量といい、どこかに行けば聴けるというシロモノではない。
エレクトリのブースで、M9は聴けるのだろうか。
運搬・搬入、設置の大変さを考えると、M9がなくてもしかたない、と思ってしまうが、
それでも聴きたい気持は、やはり強い。
おそらく聴けるだろう、と勝手に期待している。
スケジュール表をみて気づくのは、柳沢功力氏の名前がないことだ。
昨年のオーディオショウには行ってないので、どうだったのかはわからないが、
今年は、どの出展社のところにもない。
コロナ禍前は、ステラ/ゼファンのブースで、最終日は柳沢功力氏という感じだった。
とにかくスケジュール表にある名前を眺めていると、
ずいぶんかわってきたなぁ……、とおもうだけである。
今月末に、インターナショナルオーディオショウが開催される。
今年も昨年同様、予約制。
今年も、オーディオ評論家がそれぞれのブースで、講演という名の音出しを行う。
オーディオショウにおけるオーディオ評論家とは、なんなのだろうか。
それぞれの出展社にとっては、オーディオショウでの音出しは、
プレゼンテーションだと思う。
だとすれば、オーディオ評論家はファッションショウにおけるモデルなのではないのか。
新作の服を、来てくれた人たちに対し、より魅力的に見せること、
これがモデルの仕事のはずだ。
オーディオ評論家も同じではないのか。
それぞれのブースに届いた新製品を、どう魅力的に鳴らすのか。
ただ単に製品の解説をするだけならば、出展社のスタッフにできることだ。
オーディオ評論家たからこそできること、
それが今年のインターナショナルオーディオショウで聴けるだろうか。
別項「試聴ディスクとオーディオショウ」で書いたことを、
今回のOTOTENでも思っていた。
すべてのブースで共通してかける(鳴らす)ディスクが、
一枚か二枚程度あってもいいのではないか、ということ。
OTOTENは、若い人たちに来てもらおうとしている。
成功しているとはまだまだ言い難いけれど、
インターナショナルオーディオショウよりは若い人の割合は多かったように感じている。
OTOTENを含めて、こういったオーディオショウは初めて、
という人がどのくらいいるのかはわからない。
ゼロということはないと思っている。
その人たちは、各ブースをまわって、音を聴いてどう思っている、感じているのか。
それを考えても、一枚でいいから、すべてのブースで、決った一枚のディスクを鳴らしてくれれば、
それぞれのブースの音の特徴が、より掴めるようになるはずだ。
いわばリファレンスディスクを決める。
そのリファレンスディスクをどう鳴らすのか。
音量の設定一つとっても、それぞれのブースで違ってくる。
それでいいし、それだからこそ、それぞれのブースのスタッフが、
リファレンスディスクの音楽をとう捉えているのかがはっきりとしてくる、ともいえる。
OTOTENの前身はオーディオフェアである。
祭であるのだから、楽しめればいい、とは私も思わないではない。
製品をかえるごとにディスクも、というやり方も全否定はしたくない。
でも、同時に、比較試聴する楽しみも、来場者に伝えるのも、
出展社の役目だと考えている。
今回、私が入ったブースではディスクを一枚ずつかけていた。
ならば二枚ずつかければいい。
一枚は、すべての機種で共通してかけるディスク、
もう一枚は、その製品の音の特徴をうまく抽き出してくれるディスク。
同じ曲を続けてかけると帰ってしまうであろう人も、
これならば最後までつきあってくれるであろう。
今回のOTOTENだけでなく、インターナショナルオーディオショウもそうなのだが、
これから鳴らす機器の音の特徴を話してしまう出展社(人)がけっこうある。
音を鳴らしたあとに言うのならばいいけれど、なぜこれから聴こうとしている人に、
あえてバイアスをかけるようなことを言うのか。
オーディオショウでの音出しは、出展社にとってはプレゼンテーションである。
だからこそ、なのは理解したいと思うのだが、
時として、というか、けっこうの場合、それは逆効果でもある。
ほんとうにそのとおりの音が鳴ってくれればいいけれど、
そうでないことも多いからだ
いい音を会場で出すことも大事なのだが、
同じくらい、うまく聴かせることにも意識をはらってほしい。
今日、OTOTENに行ってきた。
目的は14時30分からのMQAのセミナーなのだが、
会場には10時半ごろにはついていて、それぞれのブースをまわっていた。
あるブースでは自社製品の比較試聴が行われていた。
途中から、私はそのブースに入っているけれど、
やり方からして自社製品の比較試聴のはずである。
なのに、機種をかえるたびに、ディスクもかけかえる。
同じディスクを鳴らしてくれるわけではない。
八年前に別項「音を聴くということ(試聴のこと・その1)」に書いたことが、
ここでもまた行われていた。
八年前に書いたのは、こんなことである。
あるオーディオ店の試聴会で、なぜか機器を替えると、鳴らすディスクも替える。
最初は、この店だけの独自のやり方なのか、
それともいつのまにこういうやり方が一般的になっていたのか──、
そんなことを思っていたら、あるお客が、
「なぜ同じディスクで鳴らさないのか」と店員に訊ねた。
返ってきた答は、
「同じディスクを鳴らしたいんですけど、それをやるとお客さんが帰られるんです」、
だった。
意外だった。
同じ曲を何度も聴くことになるのが比較試聴である。
なのに、それをがまんできない人がいて、客をつなぎとめておくために、
同じ曲をかけないようにする。
今回のブースでのそれも、同じ理由からなのだろうか。
OTOTENのセミナーのスケジュールが発表になっている。
MQAのセミナーは6月11日に行われる。
ボブ・スチュアートによるセミナーである。
2019年にも行われていて、セミナーといっても入門篇といった感じで、
内容的にはものたりなさを感じた。今年は、そのへんどうなるのだろうか。
2020年、2021年の中止がなければ、
毎年セミナーの内容は変っていっただろうが、
三年ぶりということになると、内容的には2019年のくり返しになるのかもしれない──、
と思いつつも、申し込みをした。
入場登録だけでなく、セミナーは別に事前登録が必要になる。
OTOTENの出展社が発表になっている。
これですべての出展社なのかはわからないが、
いまのところ中国のESD ACOUSTICの名はない。
2019年のOTOTENで、
オールホーンの5ウェイシステムで、
ユニットは励磁型のスピーカーシステムを発表していたメーカーである。
2017年創立のメーカーということ、
規模の大きさもあってか、
トータルのシステムとしての音には、いろいろ注文をつけたくなるものの、
この会社が今後どうなっていくのかは楽しみでもあったが、
コロナ禍のためOTOTENが中止で、その後、音がどうなっていったのかは知りようがない。
もう一社楽しみにしていたのが、富士フイルムである。
φという独自のスピーカーシステムのプロトタイプを発表していたが、
2018年、2019年、どちらも人気がありすぎてブースに入ることが出来ず、
いまだ聴けていない。
2020年のOTOTENを三度目の正直で聴けるか、と期待していたけれど、
今年が三度目になるか、と期待していたけれど、いまのところ出展しないようである。
今年は三年ぶりにOTOTENが開催される予定である。
事前登録が始まっている。
今年のフロアマップをみると、
ガラス棟七階のG701はイベント・セミナールームとして使われることになっている。
そこに音楽之友社、音元出版、ステレオサウンド、誠文堂新光社とともに、
MQA Limitedとある。
MQAのイベントかセミナーが予定されている。
まだ具体的な内容が発表になっていないけれど、ボブ・スチュアートは来日するのだろうか。
オーディオフェスタ・イン・ナゴヤだけでなく、ヘッドフォン祭も中止になった。
それだけでなく、ラジオ技術のツイートに、
2月発売の3月号が休刊になり、3月発売の4月号との合併号になる、とあった。
「2020年ショウ雑感(その12)」で触れているように、
ラジオ技術は2020年にも、7月号が6月号との合併号として発売になったことがある。
もちろん新型コロナの影響のせいである。
ラジオ技術は終ってほしくないオーディオ雑誌である。
けれど規模の小さな出版社で、編集部に若い人が入ってこないのであれば、
編集者は高齢化していくばかりになる。
そうなっていくと、コロナ禍ではそれゆえの弱さが生じてしまう。
今回のようなことはラジオ技術だけのことだよ、と笑う人がいてもおかしくない。
五年後、十年後……、ほんとうに笑っていられるのだろうか。
十日ほど前から、事前予約が始まったオーディオフェスタ・イン・ナゴヤ。
どうも中止になったようである。
事前予約が始まったころと最近とでは、状況が急激に変ってしまっているのだから。
今回のコロナ禍は、どれだけ続くのだろうか。
デルタ株とは違う、という人もいる。
そうであればOTOTENは、今年は開催できるかもしれないが、
どのくらいで落ち着くのかは、はっきりとわかっているわけではない。
多少なりとも長引けば、OTOTENは今年も開催中止になるかもしれない。
昨年11月開催のインターナショナルオーディオショウは、
ほんとうにいい時期の開催であった、といまさらながら思っているところ。
今年は行かないので、ショウ雑感の昨晩ので、今年は終り、と思っていた。
でも、ひとつ気になっていることがあって、また書いている。
今日(11月5日)は、ABBAの「Voyage」の発売日である。
e-onkyoでは、午前0時にflacとMQAで購入できるようになっていた。
どちらも96kHz、24ビットだ。
おそらく日本がもっとも早くMQAで聴くことができた国のはずだ。
TIDALでもMQAで聴ける。
TIDALの配信開始が何時ごろだったのかはつかめていないが、
夕方には始まっていた。
何が書きたいかというと、どこのブースで「Voyage」が鳴っていたのかどうか、である。
どこのブースでもかかっていなかった──、そんなことはないように思っているが、
どうだったのだろうか。
9月23日の(その27)で、
今年のインターナショナルオーディオショウにアクシスが出展しない、と書いた。
この時点では、アクシスからの発表は何もなかった。
コロナ禍の影響による出展辞退なのだろう、とは想像できたものの、
アクシスからの発表は10月6日に、ウェブサイトにおいて、である。
やはりコロナ禍のせいである。
昨晩、アクシスのサイトを見て、このことを知ったのだが、
予想していたことなのだから、これだけでは書くつもりはなかった。
アクシスのトップページのWhat’s Newのところに、
インターナショナルオーディオショウの出展辞退だけでなく、
いくつかのことが並んでいる。
そこに、FMアコースティックス/価格改定のご案内があった。
FMアコースティックスの価格が上るのは、
恒例であるから、またなのか、ぐらいの受け止めなのだが、
それにしても大変な価格になってしまっている。
FMアコースティックスの音は絶賛するものの、
それでは欲しいのか(つまり買えるのか)ということになると、
私にとっては、ため息も出ない価格になってしまっている。
改定前の価格も、正確には憶えていない。
なのでどの程度の値上げなのかはわからないけれど、とにかく高価なアンプが、
さらに高価なアンプになってしまっている。
そのことをとやかくいう気はない。
FMアコースティックスなのだから仕方ない──、そう受け止めるしかないのだから。
だからこそインターナショナルオーディオショウで、
FMアコースティックスで鳴らすファインオーディオの音は、聴きたいと思うわけで、
アクシスが出展しない今年は、早々と行かないという選択をしていたのは、
まちがってなかったなぁ、と個人的には思っている。
来年のインターナショナルオーディオショウでは、きっと聴けることだろう。
終息というわけではないだろうが、感染者数は激減しているのだから、
インターナショナルオーディオショウの関係者は、一安心だろう。
行く予定の人たちも、そうだろう。
だからといって完全に安心できるようになったわけではないので、
それぞれの注意が求められていることは、これまで通りなのだが、
会場内の雰囲気は、感染者数がさほど減っていないのと、
ここまで減ったのでは大きく違ってくるはずだ。
少しでも明るい雰囲気のなかで、オーディオショウが開催されるのはいいことだ。
とはいえ、各ブースのイベントのスケジュールを眺めていると、
オーディオ評論家の名前が少ないことが目立つ。
終息していない状況だから、例年通りの各ブースのスケジュールとは予想していなかったけれど、
ここまでオーディオ評論家が担当する時間が減っているとは思わなかった。
ここ数年、少しずつ減っていく傾向があった。
それまではオーディオ評論家に依頼していた出展社が、
すべて自社のスタッフによる音出しを行うところが出てきた。
それが今年は顕著であるが、今年だけのことで終るのか。
それとも来年以降も、この傾向は維持されるのか。
とにかくコロナ禍は出展社にとって、
オーディオショウに対する捉え方を変えるきっかけになっているように感じている。