Archive for category 新製品

Date: 8月 12th, 2020
Cate: 新製品

新製品(JBL 4349)

“JBL’s Next Great Studio Monitor is Here”

JBL SYNTHESISのウェブサイトに、いまアクセスすると、
このフレーズとともに、新製品4349が表示される。

昨年からウワサになっていたJBLのスタジオモニターの新製品である。
4349という型番から、4343に憧れてきた人ならば、
4343の後継機4348のニューヴァージョンか? と思うかもしれない。

私も、一瞬そう思った。
4349が発表されたのは7月末だった。
日本で正式に発表されるのを待つつもりだったが、まだである。

いまのJBLの開発ポリシーからいえば、4ウェイのシステムを出してくる可能性は低い。
それでも4349という型番に期待してしまった。

結果は、というと、2ウェイの中型システムである。
別項でJBL PROFESSIONALのM2について書いている。

この製品からいえるのは、JBLのスタジオモニターがこれから目指す方向である。
M2の4300シリーズ版といえるのが、4367だが、4349は、さらにM2に近くなっている。

外観的には、M2のウーファーより下の部分を取り払ったかのようなプロポーションである。
けれどウーファーの口径は15インチから12インチになっている。

M2の完全なるコンシューマー用を期待している者にとって、
いささか期待外れの感はあるものの、聴いてみたいスピーカーではある。

でもこれ以上に興味のわくスピーカーも、
JBL SYNTHESISのサイトをみているとあった。
SCL4である。
壁埋めこみ型の2ウェイである。

ウーファーは7インチ、トゥイーターはホーン型の2ウェイ。
音がどうなのかはなんともいえないが、見た目がシーメンスのオイロダインっぽいのだ。
もうこれだけで、おもしろそうに思えてくる。

Date: 7月 23rd, 2020
Cate: 新製品

新製品(LEAKの復活)

イギリスのLEAK(リーク)が、ひさしぶりに復活する、とのこと。

LEAKというブランドのことは知識としては持っている、
当時のアンプが、どんな回路構成だったのかは知っている、
実物を見たこともあるが、音を聴いたことはない。

LEAKのスピーカーシステムに関しても同じだ。
みたことはある。でも聴いたことはない。

なので特別な思い入れはない。
それでもLEAKが復活するのか、とちょっと嬉しくなるのはなぜなのだろうか。

今回登場したのはプリメインアンプのSTEREO 130とCDトランスポートのCDTの二機種である。
STEREO 130は昔の、STEREO 30、70といったプリメインアンプのイメージである。
そのためなのかどうかはわからないが、トーンコントロールが、ちゃんとある。

それからD/Aコンバーターも内蔵している。
だからCDプレーヤーではなくCDトランスポートを出してきている。

このCDTの操作ボタンが、ボタンそのものといえる。
操作の感触まではいまのところわからないが、愛矯を感じさせる。

昔のLEAKのブランドイメージは残っている、と思う。
少なくともLEAKの製品といわれて、納得できる雰囲気に仕上がっている様子だ。

日本の取り扱いはLEAKのサイトによれば、
ロッキーインターナショナルであるが、
ロッキーインターナショナルのサイトにはまだ何の情報もない。

インターナショナルオーディオショウが中止にならなければ、11月に聴けたはずだ。

LEAK Hi-Fiで検索していたら、「LEAK Audio Hi-Fi」という本が出ているのを見つけた。
884ページのペーパーバックで、amazonで購入できる。

Date: 4月 21st, 2020
Cate: 新製品

新製品(発明を聴く・その1)

新製品を聴く、ということは、ときとして発明を聴くことである。
もちろんすべての新製品に、このことがあてはまるわけではないが、
例をあげれば、CDの登場である。

1982年10月にCD(CDプレーヤー)の音を聴いた。
そのことをふり返ってみて気づくのは、発明を聴いた、ということである。

オーディオの歴史を、エジソンの蝋管まで遡ってみよう。
当時の人たちは、エジソンが歌った「メリーさんの羊」を聴いた、というよりも、
おそらく、エジソンの発明を聴いた、という印象の方が圧倒的に強かったのではないだろうか。

蝋管が円盤になり、SPがLPになる。
これも発明を聴いた、といえる。

そしてモノーラルがステレオになる。
これもそうだ。

こまかな発明は他にもある。
そうやって、いくつかの発明を聴いてきている。

とはいっても私が体験できた発明、
それも大きな発明といえばCDである。

SPからLPへ、モノーラルからステレオへ、といった発明は、
生れていなかったので体験できていない。

ラジオからラジカセ(ここまではモノーラル)、
それからオーディオ(ステレオ)と来ているから、
ここのところは体験しているとはいえるが、
発明の時期に体験しているわけではない。

Date: 1月 31st, 2019
Cate: 新製品

新製品(マッキントッシュ MC2152)

MTI100のことを知りたくてマッキントッシュのサイトを見ていたら、
70周年記念モデルとして、MC2152が出ていることを知った。

MC2152のことも、今日現在エレクトリのウェブサイトには何の情報もない。

MC2152は150W+150Wの出力の管球式パワーアンプである。
出力管はKT88、パラレルプッシュプルで使うことで、MC275の倍の出力を得ている。

“Striking new design with carbon fiber side panels”
MC2152のページには、そうある。

印象的な新しいデザイン──、
確かにマッキントッシュの管球式パワーアンプとしては、
いままでにはないスタイルであるし、
あまりいい意味ではなくて、印象的ともいえる。

真空管、トランスの配置はMC275とは違う。
詳しいことはマッキントッシュのウェブサイトをみてほしい。

真空管、トランスのレイアウト変更にあわせてだろうが、
ベースとなるシャーシーの形状も変更されている。
真横からみれば、フロント側もリア側も斜めにカットされ、
全体としては台形のシャーシーであり、この箇所にはカーボンが使われている。

写真でみるかぎり、重みを感じさせないようにしているのだろうか──、
と思ってしまう。

管球式であっても、フロントパネル付きの従来からのモデルは、
マッキントッシュらしい重量感を見る者に与えてくれていたが、
MC2152からは、いまのところ感じとれない。

それが悪いとは、いまのところなんともいえない。
音を聴いてみれば、納得できるのだろうか。

マッキントッシュも変っていくのか、というよりも、
摸作しているのか……、と感じている。

Date: 1月 31st, 2019
Cate: 新製品

新製品(モジュラーステレオの復活か)

マッキントッシュからMTI100が登場している。
輸入元エレクトリのウェブサイトにはまだ情報はない。

MTI100はマッキントッシュによれば、Integrated Turntableである。
さらに“A modern home audio system for modern lifestyles”ともある。

modernとついているけれど、
古くからの日本のオーディオマニアがみれば、それはモジュラーステレオである。

モジュラーステレオという言い方は日本だけのようである。
1960年代に流行したモジュラーステレオは、MTI100そのものといっていい。

アナログプレーヤーにチューナー、アンプが一つのシャーシーにまとめられて、
あとはスピーカーを一組用意すれば、ステレオ再生が楽しめる、というもの。

アメリカにはモジュラーステレオという形態はなかったのだろう。
だからマッキントッシュは、
“A modern home audio system for modern lifestyles”と謳っているのだろう。

MTI100が十年ほど前に企画されていればアナログプレーヤーではなく、
CDプレーヤーが搭載されていただろうし、チューナー機能も省略されなかったかもしれない。

けれど2019年では、CDプレーヤーではなくアナログプレーヤーであり、
チューナーはなくBluetooth対応で、デジタル入力をもつ。

パワーアンプはD級動作だが、プリアンプ部には真空管を使用している。
おもしろい構成といえばそうだし、
大きさが限られているのだからD級アンプの採用は当然の選択ともいえる。

それにしても感じるのは、真空管が露出している点である。
D級アンプに真空管の組合せもそうだが、これみよがしに真空管を見せつけているのも、
中国の、ここ数年のアンプの流行的でもあるように感じなくもない。

こういう製品だから、もしかすると輸入されないのかもしれない。
でも輸入してほしい、とも思う。

アメリカでMTI100は受け入れられるのか、
日本ではオーディオ評論家が、MTI100をどう評価するのか、
徒花的存在ですぐに消えてしまうのか……。

Date: 9月 18th, 2018
Cate: 新製品

新製品(QUADのヘッドフォン)

コンデンサー型スピーカーといえば、
イギリスのQUAD、日本のスタックスという時代があった。

そういう時代にオーディオに関心をもった私にとって、
スタックスはコンデンサー型ヘッドフォンに積極的であるのに、
QUADは……、と思ったことがあった。

QUADの創業は1935年、スタックスは1938年。
スタックスはSTAXで、アルファベット四文字、QUADもそうだ。

イギリスと日本、
どちらも島国である。

創業した年が近く、いくつかの共通点があり、どちらもコンデンサー型スピーカーを作ってきた。
けれどQUADには、これまでヘッドフォンはなかった。

QUADの創業者のピーター・ウォーカーの方針だったのだろう。
それでもオーディオマニアとして、QUADのESLを鳴らしてきた者として、
それに修理が必要とはいえESL63 Proをいまも所有している私としては、
出てこないだろう、とわかっていても、どこかでQUADのヘッドフォンの登場、
もちろんコンデンサー型ヘッドフォンの登場を待ち望んでいた。

いまのQUADにピーター・ウォーカーは当然いない。
息子のロス・ウォーカーもいない(はずだ)。

いまのQUADは、昔のQUADではない──、
そんな言い方は確かにできる。
それでもQUADはQUADだ、ということを、
今回のQUAD初のヘッドフォンERA1の記事を読んで、そう感じた。

心が騒ぐからだ。

ここまで書いて、もう一度当該記事を読み返した。
コンデンサー型ではない。
コンデンサー型の技術を活かしたダイナミック型である。

わずか15分くらいのワクワクだった。
それでも、このワクワクは楽しかった。
「QUADがコンデンサー型ヘッドフォンを開発」は、いつか実現するのかもしれない。

その時は、ほんとうのワクワクがあるのだろうか。

Date: 4月 30th, 2018
Cate: 新製品

新製品(その17)

オーディオマニアを自認している人であっても、
製品にまったく興味がない、という人もいるようだ。

どんな理由から、新製品に興味がないのだろうか。
新製品に興味をもたない人人からすれば、
新製品につねにワクワクしている人は、なぜ、あんなに興味をもてるのか──、
そう見られている。

ステレオサウンド 58号、
「タンノイ研究(4)」で菅野先生が最後に、こう書かれている。
     *
 タンノイをこうしてずっと聴いていると、タンノイの世界に入り切り、しばらく他の音を聴きたくないという気持になる。聴いている音に満足させられているという証拠であると同時に、他のスピーカーを聴いて、もし、そっちのほうがよかったら、今の幸せが壊れてしまうという恐しさなのである。
     *
いま聴いている音に満足しているのであれば、新製品に興味はわかないものか。
確かに不満があれば、
不満とまでいかなくても、もう少し……という気持がどこかにあるからこそ、
新製品、もしくは他のアンプなりスピーカーが気になる、とはいえる。

菅野先生は《聴いている音に満足させられているという証拠》と書かれている。
聴いている音に満足している証拠、ではない。

満足させられているから、《今の幸せが壊れてしまうという恐しさ》を感じてしまうのか。
聴いている音に満足しているのか、満足させられているのか。

いま鳴っている音に満足しているから──、という人でも、
満足しているのか、満足させられているのか、
その違いに気づいていないことだってある。

だからこそ、菅野先生はつづけて、
《こういう気持にさせてくれるスピーカーの存在は貴重である》とされている。

Date: 4月 18th, 2018
Cate: 新製品

新製品(テクニクス SP10Rとラックス)

復活したテクニクス・ブランドのアナログプレーヤーには、
まったくときめくものを感じない。
それでも、こんなタイトルをつけて書いているのは、
わずかな可能性に期待することがあるからだ。

ラックスのアナログプレーヤーといえば、
私と同世代、上の世代の人たちにとっては、PD121こそが真っ先に思い浮べる存在のはずだ。

よく知られているようにPD121に使われているモーターは、
テクニクスのSP10同等品である。
両機種のターンテーブルプラッターを外してみれば、すぐにわかる。

だからこそ、両機種を並べてみるまでもなく、
これだけ違う仕上がりになるのか、とラックスを褒めたくなる。

ラックスからは、現在PD171Aが出ている。
ベルトドライヴになっている。
PD121とはずいぶん違う仕上がりになっている。

PD171には、ときめくものをまったく感じない。
だから、こんなことを考えてしまうのかも……。

SP10Rのモーターを採用したPD121が登場しないものか、と。

Date: 1月 13th, 2018
Cate: 新製品

新製品(ADCOM LUNA・その2)

(その2)を書くつもりはまったくなかった。
けれど昨晩、iPhoneのGoogleアプリが提示したカードには、
LUNAによく似たスピーカーが新製品として登場するというニュースへのリンクだった。
もちろんそのニュースはLUNAについては触れていない。

LUNAによく似たスピーカーが、Ankerというメーカーから登場する。
LUNA(月)と違い、このModel Zeroは、パッと見た印象としては、
女性用のバッグというイメージがする。

だから、上部のアーチ部分は、バッグの把手のようにも見える。

貫通している部分の形状も、LUNAとは少し違う。
真横から見たシルエットも違う。

細部の違いはいくつもあるから、似ているだけで、そっくりとはいえない。
つまりパクリではない、となるのだろうか。

Date: 1月 9th, 2018
Cate: 新製品

新製品(ADCOM LUNA・その1)

アドコム(ADCOM)というアンプメーカーがあった……、
とつい過去形で書いてしまうが、アドコムはいまもある。

日本にはGFA1というパワーアンプで、登場した。
三洋電機貿易が輸入元だった。

外形寸法W22.2×H16.5×D27.4cm、重量は10.2kgという、
比較的コンパクトな筐体ながら、8Ω負荷で200W+200Wの出力を持っていた。

回路の詳細は明らかになっていないが、高効率アンプという触れ込みだった。
いくつものビスが露出した外観は、魅力を感じさせることはなかった。

アドコムは日本ではあまり話題になることはなかった。
アドコムときいて思い出せるのはGFA1だけで、
他にどんな製品があったのか、まったく知らなかった。

先月、今月とADCOMの製品を目にしている。
日本には輸入されていないモノで、アメリカで購入して持ち帰ったモノである。

まだアドコム、あるんだなぁ……、ぐらいにしか思っていなかったけれど、
先日GFA1以外のパワーアンプを見たので、帰りの電車のなかで、検索してみた。

アドコムは健在だった。
相変らずパワーアンプを作っている。

それだけだったら、ここで取り上げたりはしない。
トップページに、これもアドコムの製品なの? と思わせるモノが登場する。
LUNAである。

スピーカーだった。
デザインはヤコブ・イェンセンである。
2016年のCESで登場しているようだ。

ヤコブ・イェンセンは2015年5月15日に亡くなっている。
LUNAは、ヤコブ・イェンセンの最後のデザインなのだろうか。

Date: 12月 13th, 2017
Cate: 新製品

新製品(TANNOY Legacy Seriesとベストバイ)

ステレオサウンドの定番企画でベストバイは、
35号、43号、47号の三回は価格帯を設けずの選定だった。

51号から価格帯を分けての選択となっていった。
価格帯の分け方は難しい。

たとえば10万円未満と10万円以上のところで線引きしたとする。
99,800円のモノは下の価格帯に、
10万円を1,000円でも超えていれば上の価格帯に、と分けられる。

この二機種の価格差はどれだけあるのか、
そのことによって内容の差がどれだけ生じるのか。
そういう難しさが価格帯の設定にあることは、昔から編集部もわかっていたことだ。

いま書店に並んでいるステレオサウンドをパラパラと見てきた。
タンノイのLegacyシリーズが気になったからだ。

ベストバイにもLegacyシリーズは登場している、
つまりベストバイ・コンポーネントとして選ばれている。

けれどArden、Cheviot、Eatonが、同じ価格帯にいる。
タンノイのLegacyシリーズのために価格帯の線引きを考え直せ、なんてことはいわない。

けれど、この時代、価格帯を分けることの無理な面が露呈してきつつあるのではないか。

タンノイのArden、Cheviot、Eatonは、43号からベストバイに登場している。
もちろん今回のArden、Cheviot、Eatonは復刻版なのはわかっていても、
同じ型番、ほぼ同じ外観のArden、Cheviot、Eatonが、
同じ価格帯のベストバイ・コンポーネントであることには、どうしても違和感をおぼえる。

Date: 11月 26th, 2017
Cate: 新製品

新製品(TANNOY Legacy Series・余談)

タンノイのABCシリーズは1976年に登場している。
その二年後に、タンノイからはABCシリーズとは別系統のTシリーズが発表された。
日本でも発売されているが、ABCシリーズの陰にかくれてしまった感があるし、
私も実物を見たことは一度もない。

TシリーズはABCシリーズ同様、同軸型ユニット採用だが(ローコストモデルだけ違う)、
このユニットの振動板には紙ではなく、高分子系のものを採用、
ABCシリーズ搭載のHPDがまだアルニコマグネットだったが、
Tシリーズのユニットはフェライトマグネットだった。

Tシリーズのタンノイなんて、記憶にない……、という方もいるはず。
日本ではT225、T185、T165、T145、T125の型番ではなく、
Mayfair、Dorset、Chester、Ascot、Oxfordの型番で発売されていたからだ。

型番上では五機種だが、実質は三機種である。
Mayfair(T225)とDorset(T185)、
Chester(T165)とAscot(T145)は、
エンクロージュアの仕上げが異なるモデルである。

Dorset、Chester、Oxfordは、いわゆる一般的な木製のエンクロージュアである。
Mayfairの天板にはガラスが使われていて、
このガラスを外すと、レベルコントロールのツマミが現れる。
サランネットの形状もDorsetとは違う。
Ascotはフロントバッフルにプラスチックの成型品を使っている。

実はこのTシリーズの開発には、アーノルド・ウォルフが参画している。
このころのタンノイはハーマン参加だったし、
アーノルド・ウォルフもJBLの社長を辞めていた時期でもある。

アーノルド・ウォルフがどこまで関っているのかまでは知らないが、
関係していることは確かだ(ステレオサウンド 48号に載っている)。

Date: 11月 20th, 2017
Cate: 新製品

新製品(ソニーのマイクロフォン)

先日開催されたInter BEEで、
ソニーが26年ぶりにマイクロフォンを発表したことがニュースになっている。

ソニーは1977年の広告に、こう謳っていた。
     *
「オーディオの原器。」
考えてみてください。
レコード、テープ、放送……どのオーディオをとってみても、
オーディオの出発点にマイクロホンが存在することを。
     *
ソニーはコンシューマー用とプロフェッショナル用を手がけていた。
今回のマイクロフォンの新製品はプロフェッショナル用である。

文字通りの「オーディオの出発点」といえよう。

今回のマイクロフォンの開発に携わった人たちが、
1977年の広告を知っているのかどうかはわからない。
マイクロフォンを「オーディオの出発点」と考えているのかどうかもわからない。

1977年ごろのソニーと現在のソニーは同じなのか、違うのか。
そのことについてはあえて触れないが、
今回のマイクロフォンの新製品を、
ソニー・オーディオの、これからの出発点としてほしい。

Date: 11月 8th, 2017
Cate: 新製品

新製品(ダイナベクター DV1)

私にとってダイナベクター(Dynavector)は、
質量分離型のトーンアームDV505が、なんといっても代表的な製品として、
いまでもすぐに頭に浮ぶ。

それからルビー、ダイアモンドをカンチレバーに採用したMC型カートリッジ、
真空管アンプなどが浮ぶ。

いずれの製品も、型番はDVから始まる。

自転車への興味がなかったころは、
ダイナベクターはオーディオメーカーという認識だった。
一時期は輸入業務も行っていた。

1990年ごろから自転車に興味を持つようになって、
驚いたのはアレックス・モールトンの輸入元がダイナベクターだったことである。

DV505とモールトンのフレームが、イメージとして重なってきて、
そこに共通するものが見出せそうにも思えてくる。

そのダイナベクターから新製品としてDV1が発表になった。
といってもオーディオ機器ではなく、自転車のフレームである。

ベースとなっているのはアレックス・モールトンである。
モールトンのフレームは、イギリスのパシュレーが、一時期ライセンス生産していた。

今回のDV1は、ライセンス生産ではなく、
ダイナベクターによる開発である。

いま書店に並んでいるCyclo Graph 2017(ホビージャパン)に、
DV1の詳細が載っている。

Date: 11月 5th, 2017
Cate: 新製品

新製品(Martin Logan・その3)

弦楽四重奏は弦楽三重奏か、という表現は少し強すぎたかな、と思わないわけでもない。
それでもCLSはアクースティック楽器のもつ胴(ボディ)の存在をなくしてしまうような、
そんな感じがどうしてもつきまとってしまうこと、
そしてそのことをどうしても払拭できなかったから、購入を諦めた。

ブーミングは、オーディオの世界では悪い意味で使われることが多い。
けれど良い意味でのブーミングは不可欠な要素であり、
アクースティック楽器の再生において、楽器のブーミングの再現は重要である。

CLSの音に、私はアクースティック楽器のブーミングを感じとれなかった。
だからチェロにおいては、ボディがない(とまで書くと少し行き過ぎ表現だが)。

弦だけで弦楽器は成り立っているわけではない。
ボディの存在を無視したような、弦だけで音が鳴っているような感じを、
《その音の粒立ちの良さ、軽々と漂う響きのしなやか》と表現することはできないわけではない。
が、それでも音の聴き方、判断というよりも、音の表現は人によって違う、ということを、
「オーディオ名機読本」を読むと、改めて実感する。

CLSに惚れ込んだAさんは、オーディオ店でもいい音が聴けたことがない、といっていた。
それでも彼はCLSを買っている。
ここが私と違うところで、たいしたものだと素直に思う。

そういうAさんとマーティンローガンの話をしていて、
そういえば、マーティンローガンという会社もいまも存在しているのか、と思った。

日本にはいま輸入しているところはない。
輸入されなくなって久しくすると、存在も忘れがちになってしまう。
昔なら、そこでまた忘れてしまうところだが、
いまはインターネットと、優れた検索機能、それにスマートフォンがあるおかげで、
帰りの電車のなかで検索してみたら、マーティンローガンは健在だった。

CLSはなかった。CLSの後継機もない。
けれどCLX ARTがあった。