オーディオのデザイン、オーディオとデザイン(LNP2のこと・その4)
マーク・レヴィンソンがいたころのマークレビンソンのコントロールアンプのデザインが、
トラックやブルドーザーのように見えない、という方も少なくないだろう。
私もトラックやブルドーザーとは見えなかった。
念のため何度も書くが、LNP2のデザインは悪くはない。
けれど優れたデザインとは私は思っていないし、美しいデザインとも思っていない。
なぜ、菅野先生は、そんなふうに表現されたのだろうか。
ステレオサウンドにいたころ、直接菅野先生にたずねてれば……、と思いもするが、
たずねてしまうと、自分でなぜなのか、と考えることを放棄してしまうことにもある。
なぜなのかを四六時中考えているわけではないが、
1981年から、これまでずっと頭のどこかには、このことがあった。
「’81世界の最新セパレートアンプ総テスト」で、
菅野先生はマークレビンソンのパワーアンプについては、どう書かれているか。
ML2、ML3については、こう書かれている。
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Aクラス動作で25Wのモノーラルアンプがこの大きさ! いかにもMLらしい大胆な製品である。やりたいこと、やるべきことをやるとこうなるのだ、といわんばかりの主張の強さがいい。そして2Ω負荷100Wを保証していることからしても、アンプとしての自信の程が推察できるというものだ。パネルはML3に準じるが、ヒートシンクが非常に大きく、上からの星形のパターンが目をひく。2台BTL接続端子がついている。(ML2)
マーク・レビンソンのパワーアンプらしい風格をもった製品。200W+200W(8Ω)のステレオアンプで、見るからに堂々たる体躯のシンメトリック・コンストラクション。前面パネルにはパワースイッチだけがセンターに、その真上に、あのモダーンなロゴがプリントされている。両サイドのハンドルを含め、シンプルながらきわめてバランスのよい美しさである。これぞ、パワーアンプという雰囲気だ。(ML3)
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ML2、ML3、どちらに関してもパワーアンプのデザインとして高く評価されている。
ML7、LNP2、ML2、ML3、いずれもマーク・レヴィンソンのテイストを感じさせるアピアランスをもっている。
にも関わらず、コントロールアンプのデザインとパワーアンプのデザインの評価は、これだけ違う。