Date: 1月 7th, 2015
Cate: LNP2, Mark Levinson, デザイン
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オーディオのデザイン、オーディオとデザイン(LNP2のこと・その3)

ステレオサウンド 43号のRFエンタープライゼスの広告。
     *
「JC-2というのはフェラーリなんだよ。」マーク・レビンソンがいつか云ったことがあります。
 まだレビンソンのアンプが世に紹介されて間もない頃でしたが、JC-2のごく些細な使い勝手の”欠点”を人から指摘されたとき、この生真面目な青年は、ちょっと顔を曇らせて黙って聞いていましたが、やがて口を開いてこう云ったのです。「……これは走るためにつくられたんだ。乗り降りの容易さとか、シフトが重いとか、そういうことが、このクルマにとってどうしてそんなに大事なのかね。」
 彼はそれきり口を噤んでしまいましたが、おそらく胸の中でこんなふうに考えていたことでしょう。「このクルマは、その性能を必要とする人に、そしてこれを乗りこなすことに喜びを感ずる人にこそ、乗ってもらいたものだ。」
     *
いまのステレオサウンドに載っている広告とは、ずいぶんと違う広告であった。
43号は、私には三冊目のステレオサウンドで、JC2はまだ見たことはなかった。
ステレオサウンドの記事でのみ知るアンプだった。

だから、JC2の些細な使い勝手の欠点が、どういうことなのか、それも想像できなかった。
ただ、JC2はフェラーリなんだ、ということが、印象に残った広告だった。

JC2のデザインはツマミに変更が加えられたが、基本的には変らず、ML7に引き継がれている。
菅野先生には、トラックかブルドーザーのようなデザインのML7なのだから、JC2もそういうことになる。

マーク・レヴィンソンは、「JC-2というのはフェラーリなんだよ」と言っている。
それはアンプとしての性能のことであり、デザインに関してのことではない、とも読める。
43号のFエンタープライゼスの広告では、そこのところまではわからない。

マーク・レヴィンソンはJC2のデザインに関しても、
「JC-2というのはフェラーリなんだよ」と思っていたのだろうか。

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