Mark Levinson LNP-2(続×六・バッファーアンプについて)
パワーアンプの選択ということでもうひとつ思い出すことがある。
スチューダーのA68とルボックスのA740のことである。
スチューダーとルボックスの関係を知っている人ならば、
A68とA740という、このふたつのパワーアンプについて知らなくとも、どういう関係がそこにあるのか想像がつく。
最初に登場したのはスチューダーのA68であり、
しばらくしてA68をベースにルボックスがコンシューマー用パワーアンプとして登場させた。
A68はプロフェッショナル用であるから、入力端子はXLR端子のみ。
もちろんバランス入力となっていて、さらにはトランスが挿入されている。
フロントパネルにはメーターはない。
基本的にブラックパネルで、左右の入力レベル調整が独立してついているのと電源スイッチくらいである。
A740にはパワーメーターがついている。それから入力レベル調整にも、割と大きなツマミがつけられている。
それからスピーカーの切替機能を新たに設けられている。
入力端子はRCA端子の他にXLR端子もついているが、A68とは異りバランス入力でもなくトランスも挿入されていない。
A68とA740は見た目からして、プロフェッショナルとコンシューマーの違いをはっきりと打ち出している。
両機の回路図はインターネットで探せば比較的簡単に見つかる。
電圧増幅段、出力段はA68をベースにしているから、A740も同じだが、
A68はプロフェッショナル用として不要な帯域に対しての扱いが、A740ともっとも異る。
入力トランスがバンドパスフィルターであるし、その後にRFフィルターも設けられている。
機能的にはA740のほうが豊富といえるが、
アンプの回路としては、A740の方がシンプルともいえる。
このふたつのパワーアンプ、
瀬川先生はA740が登場したころは、A68とよく似ているとしながらもA740をA68よりも高く評価されていた。
それがあとになってA68を高く評価されている。
この変化にはリスニングルームの変化が関係している──、
と私はおもう。