Archive for category 日本のオーディオ

Date: 6月 10th, 2022
Cate: 日本のオーディオ

リモート試聴の可能性(その12)

明日(6月11日)、明後日(12)はOTOTENである。
今回のOTOTENは、いくつかのセミナーをライヴ配信する。
やっとこういう時代が来たのか、と、
18のころまで田舎に住んでいた私は、そう思う。

オーディオフェアに行きたくても行けなかったからだ。

スイングジャーナル 1981年9月号に「オーディオ真夏の夜の夢」という記事が載っている。
長島先生のほかにも石田善之、及川公生、斎藤広嗣、落合萠の四氏が書かれている。

及川氏が書かれている──、
「オーディオ評論はちっとも進歩しないであい変らず試聴というのをくり返している」と。

及川氏は、続けて未来の試聴について書かれている。

自宅のマイコン(この記事が載った1981年はパソコンではなくマイコンが一般的だった)の子機を使う。
いわば自宅にMacがあって、iPadを試聴室で取り出して使うようなものだ。
それでマイコンの子機に試聴するオーディオ機器の特性を入力、
さらに試聴室のアクースティック特性も入力後、その日の自分の体調も要素として加えて……、というふうに続く。

ようするにリモート試聴のことで、ライヴ配信の将来の在り方でもある。
スピーカーからの音をマイクロフォンで拾って、
インターネットを介して配信するやり方の、もう一歩先のことを、
いまから四十年ほど前に及川氏は想像されていた。

当時はスマートフォンは、まったく存在していなかった。
スマートフォンを予想できていた人、
それがここまで普及する社会を予測できていた人は、いなかったと思う。

スマートフォンはまだまだ進歩していく。
スマートウォッチもいまではあり、それも進歩していく。
ハードウェアとソフトウェア、どちらも進歩していく。
そう遠くない将来に、及川公生氏が書かれたことが、
もっと精度高く実現する時代がやってくるかもしれない。

Date: 5月 19th, 2022
Cate: 日本のオーディオ

日本のオーディオ、これから(オンキヨーのこと・その5)

(その4)で取り上げているスカイシステムは、
オンキョー、パイオニア、サンスイのオーディオ機器の修理を行ってくれる。

いうまでもなく、それはオーディオ機器というハードウェアに関して、である。
アナログ時代のオーディオ機器は、それだけでよかった。

けれどデジタル時代になり、
ハードウェアだけでなくソフトウェアも組み込まれるようになってきた。

そういう機器の場合、そのメーカーが倒産してしまったら、
ハードウェアは大事に使ったり、修理に出したりすることで、
ある程度寿命を永らえることはできても、
ソフトウェアに関しては、アップデートが行われなくなる、といっていい。

この点を見落していた。
その4)への、デザイナーの坂野さんのfacebookでのコメントで気づかされた。

Date: 5月 18th, 2022
Cate: 日本のオーディオ

日本のオーディオ、これから(オンキヨーのこと・その4)

オンキヨーの倒産で今後困る人は、
オンキョーの製品を使っている人である。

パイオニアの製品はどうなるのだろうか。
オンキヨーがパイオニアのAV事業部を買収してからのパイオニア・ブランドの製品は、
オンキヨーの修理扱いとなるだろうが、それ以前の製品に関してはどうなるのか。

現時点でわかっているのは、
オンキヨー&パイオニア修理センターサービス指定店 スカイシステムが、
オンキョー、パイオニア、そしてサンスイの製品の修理を行ってくれる、とのこと。

この会社は、
ウェブサイトによるとオンキヨーの大阪サービス指定店として三十年以上携わってきた、とある。

Date: 5月 17th, 2022
Cate: 日本のオーディオ

日本のオーディオ、これから(オンキヨーのこと・その3)

5月13日の夕刻、オンキヨー倒産のニュースがあった。
オンキヨーホームエンターテイメントが自己破産である。

ソーシャルメディアでも話題になっていた。
私が目にしたニュースのなかには、名門の破産、といった見出しをつけているところもあった。

いくつかの記事のなかで、
とんちんかんなことを書いている東洋経済の記事は、なかなか笑える。

名門(?)、
オンキヨーは名門だったのか。
そんなことを思いながらも、オンキヨーが消えても何の感情もわかない。

悲しい、とか、寂しいといった感情はない。
むしろここ二、三年、悪いウワサを耳にしていた。

いいウワサはまったくなかった。
悪いウワサのどれが本当なのかはっきりしないから取り上げなかったけれど、
オンキヨーはホームシアターを積極的に展開していくつもりだったのだろう。
そのためのメリディアンの輸入元になった、と思っている。

けれど結果はどうだったのか。

幸いなことにメリディアンの無入元はハイレス・ミュージックに戻っている。
e-onkyoもまったく別会社になっているから、オンキヨーとは関係ないので安心。

Date: 2月 23rd, 2022
Cate: 日本のオーディオ

日本のオーディオ、これから(コロナ禍ではっきりすること・その5)

アメリカのエクソギャル(EXOGAL)が、業務停止を発表している。
元ワディアにいたエンジニアが創業した会社であることは知られている。

半導体などの部品の供給問題により、製品の製造が困難になったためである。
たった一個の部品が入手できなくなっても、
代替品がなければ、製品を完成することはできなくなる。

完成しない製品は出荷できない。
資金繰りも厳しくなる。

このニュースを知って、輸入元のアクシスのサイトを見てみた。
EXOGALのページは、まだ残っているが、
製品ラインナップのページを見ていくと、
すべての製品のところに[生産完了]となっている。

いつから、この[生産完了]がつくようになったのか。
昨日今日ついたものでなければ、
これがついた時点から経営が厳しい状況になっていたのだろう。

同じことは日本のオーディオメーカーにも起りうる。

Date: 12月 13th, 2021
Cate: 日本のオーディオ

S氏とタンノイと日本人(番外)

別項「ワイドレンジ考(その83)」で、
登場したばかりのタンノイのKingdom Royalの外観にがっかりしたことを書いている。

オリジナルのKingdomは、いまでも自分の手で鳴らしてみたいスピーカーの最右翼である。
それに外観も気に入っている。

Kingdom Royalの音は聴いていない。
Kingdomよりも、いい音に仕上がっているのかもしれない。
そうであったとしても、私はKingdomの方が断然いい。

タンノイは、なぜ、こんなふうにKingdomを変えてしまったのか。
それがずっと心にひっかかっていた。

ソーシャルメディアを眺めていると、
オーディオ関係の写真が、けっこう登場してくる。

つい先日、ある写真が、そんなふうに目に留った。
Kingdom Royalがあった。
二基のKingdom Royalのあいだには、エソテリックの一連の製品群がある。

この一枚の写真をみて、納得がいった。
お似合いなのだ。

褒め言葉で、「お似合い」を使っているのではない。

Date: 10月 8th, 2021
Cate: High Resolution, 新製品, 日本のオーディオ

日本のオーディオ、これから(MQAのこと・その3)

CHプレシジョンの新製品D1.5。
MQA対応である。

ほぼ間違いなく、11月開催のインターナショナルオーディオショウで聴けるだろう。
今年は行かないと決めたものの、D1.5の登場は、その決心が揺らいでしまうほどだ。
それでも今年は行かないのだが、今年のショウの目玉はD1.5といってしまいたくなる。

日本のメーカーは、どうなのだろう。
今年のインターナショナルオーディオショウに向けての新製品で、
新たにMQAに対応するブランドはあるのだろうか。

いまの時点ではなんともいえないけれど、ないような気がする。

今年のインターナショナルオーディオショウでは、
MQAに対する日本と海外の温度差をより感じることになるのだろうか。
どうもそんな気がしてしまう。

Date: 9月 29th, 2021
Cate: High Resolution, 日本のオーディオ

日本のオーディオ、これから(MQAのこと・その2)

オンキヨーがe-onkyo music事業を、
Qobuzを運営しているフランスの会社、Xandrieへ譲渡している。

8月に、e-onkyoがどこかに売却されるというウワサを聞いていた。
なので、今回のニュースにそんなに驚かなかった。

ただQobuz(Xandrie)だったのは、ちょっと意外だった。

e-onkyoがこれからどうなるのかはわからない。
しばらくはe-onkyoのままだろうが、Qobuzに取り込まれていくかたちになって、
Qobuz日本への上陸の足がかりとなるのか。

そんな気がするのだが、そうなったとしてMQAをQobuzはどうするのだろうか。
私が気がかりなのは、ここだけといっていい。

TIDALで多くのアルバムがMQAで聴けるようになっている。
e-onkyoにはないタイトルがかなりある。

一方で、TIDALにないMQAのアルバムもけっこう多いし、
サンプリング周波数に違いもあって、いまのところどちらもないと困る。

単なる予感でしかないのだが、TIDALのニュースも近々出てきそう。

Date: 9月 14th, 2021
Cate: High Resolution, 日本のオーディオ

日本のオーディオ、これから(MQAのこと・その1)

メリディアンの218を導入して、今日(9月14日)で丸二年を迎えた。
この二年間はMQAの二年間だった、ともいえる。

特に今年はMQAどっぷりの一年になりつつある。

1月にはヘッドフォンとiPhoneだけでもMQAが再生できるようにと、
スティック型のD/Aコンバーター兼ヘッドフォンアンプも購入した。
音とは関係ないことだが、7月にはMQAのTシャツとマグカップも購入した。
8月からはTIDALで、ソニーによるMQAの配信が本格的にスタートした。

充実している、といえるのだが、
あくまでも個人的に、である。

日本のオーディオ界でのMQAの扱いは、
海外での扱い、私のなかでの存在の大きさからすれば、淡泊ともいえるし、
冷たいとも感じることがある。

音楽之友社のステレオは一度、特集でMQAを取り上げていた。
音元出版もMQAのことはけっこう取り上げている。

ステレオサウンドは? となる。
このことはいずれ書くかもしれないが一つだけ書いておく。

12月発売のベストバイの特集。
CDプレーヤーの写真には、CD、SACD、といった対応メディアの記載がある。
なのにMQAは、ない。

e-onkyoがMQAに積極的でいてくれるは助かるが、
それでもソニー・ミュージック、ソニー・クラシカルのアルバムのMQAを聴くには、
e-onkyoでは、いまのところ無理である。
これから先はどうなるかはなんともいえないが、TIDALしかないわけだが、
そのTIDALも日本でのサービスが始まりそうで、まだである。

四ヵ月足らずで今年は終る。
日本でMQAが盛り上るとは、いまのところ思えない。
来年、再来年はどうなるのか。

Date: 8月 31st, 2021
Cate: 日本のオーディオ

日本のオーディオ、これから(ダイヤトーンの終焉か)

今月上旬に、ダイヤトーンのスピーカーが製造中止になっていることを知った。
ダイヤトーンのサイトに行くと、
小さく「2021年3月 生産終了」とある。

スピーカーシステムのDS4NB70が、ひっそりと製造中止になっていたわけだ。
オーディオ店へは、それとなく伝えてあったらしい。

後継機種のことは、なんら情報はない。
はっきりとしたことはいえないが、
このままダイヤトーン・ブランドのスピーカーシステムは消えてしまうのか。
そんな感じである。

DS4NB70は2017年のOTOTENで聴いている。
DS4NB70の音よりも、
楽しそうにレコードをかけていくダイヤトーンのスタッフの印象が強く残っている。

別項でも書いているが、昭和のオジサンという感じで、キャラが濃い人だった。
私がステレオサウンドで働いていたころは、
濃いキャラの人が、各社に一人はいた。

ダイヤトーンは、こういう人が仕事をやれているのか、と思いながら、
その人の話を楽しんで聞いていた。

でもDS4NB70は製造中止になっている。
売れなかったのが理由なのか。
そうであろうけれど、振動板の製造枚数が決っていたのかもしれない。

静かな消え方だ、とおもう。

Date: 8月 9th, 2021
Cate: 日本のオーディオ

日本のオーディオ、これから(コロナ禍ではっきりすること・その4)

夕方に、友人のAさんからメールがあった。
こんなことが書いてあった。

Aさんの友人(女性)が、コロナ禍で旅行に行けないものだから、
かわりに、SACDプレーヤーとプリメインアンプを買った、とのこと。

機種名は書かないが、二つあわせると六十万円ほどする。
買ったのはオーディオ専門店ではなく、ヨドバシのオーディオ・コーナーである。

六十万だから、海外旅行を予定していたのだろうか。
旅行に行けない、そのまま貯金にしておくか、
それとも、こうやって別の楽しみに使おうか、
意外に後者は少なくないのではないだろうか。

別の楽しみは、人によって違う。
Aさんの友人は、オーディオ(音楽を聴くこと)を選んだ。

そして選ばなかったのはオーディオ専門店での買物であって、
選んだのはヨドバシでの買物である。

Aさんのメールには、店員がとても親切だった、とあった。
だろうな、と思う。

大型量販店がいいとは考えていないが、
少なくともヨドバシで、私は不快な気持になったことはない。

それにヨドバシではポイントがつく。
10%だとすれば、ポイントで家電製品が買える。
これも大きいことだ。

コロナ禍は長引くであろう。
Aさんの友人のような例が、これからも出てくるように思う。
それほど多くはないにしてもだ。

でも、そういう人たちの多くは(ほとんどは)、
オーディオ専門店では買わないような気がする。

Aさんの友人の例は、たった一例にすぎない──、と言い切れるのか。

Date: 8月 6th, 2021
Cate: 日本のオーディオ

日本のオーディオ、これから(こんなことが起っている・その3)

今回の件は、どういう経緯でこれらの製品(ジャンク)が市場に出てきたのか、
そのへんの事情を知らずにヤフオク!で落札した人からすれば、詐欺といっていい。
となると事件なのではないだろうか。

いちばん悪いのは転売ヤーということになるだろうが、
中古オーディオ店は、買う時も売る時もわかっていたはずだろうから、
そうとうに悪(ワル)だといっていい。

以前、菅野先生がいわれていた。
オーディオの世界を悪くしているのは、オーディオ店だ、と。

もちろんすべてのオーディオ店が、ということではないのは、
話された菅野先生も聞く私もわかったうえでの話なのだが、
菅野先生の、このときの表情を私は忘れられないでいる。

そして、今回の、この事件のことを書きながら、以前書いたことを思い出していた。

2010年8月13日に、twitterに下記のことを投稿した。
     *
オーディオ業界もマネーゲームに翻弄されている、ときく。それによって復活するブランドもあれば、没落していくブランドもある。なのに、オーディオ誌は、そのことに無関心を装っているのか、関係記事が出ることもない。オーディオは文化だ、というのであれば、きちんと取材し報道すべきだろう。
     *
これに対して、あるオーディオ評論家から反論があった。
そんなことにステレオサウンドの読者は関心をもっていない、有意義な記事にはならない、と。

今回の事件のことも、オーディオ雑誌は記事にしないだろう。
オーディオ雑誌の編集者のなかには、すでに、この事件を知っている人もいるかもしれない。
それでも、どこも記事にはしないように思えてならない。

きっと十一年前に、
そんなことにステレオサウンドの読者は関心をもっていない、といってきたオーディオ評論家は、
今回も同じことをいうだろう。

有意義な記事にならない、とまたくり返すだろう。

オーディオ雑誌の編集者も、同じことをいうのだろうか。
そんなことに、うちの本の読者は関心をもっていない、と。

でも、今回被害にあった人たちのなかには、
オーディオ雑誌の読者もきっといることだろう。

Date: 8月 6th, 2021
Cate: 日本のオーディオ

日本のオーディオ、これから(こんなことが起っている・その2)

きちんとしたメーカーであれば、製品化のためにいくつかの試験を行う。
ある一定の高さから落下させたりそういった類の耐久試験をやる。

そういった試験が行われた機器は、破損する。
破損したモノを修理して売るわけにはいかない。

廃棄処分するしかない。
廃棄処分といっても、昔といまでは大きく違っている。

産廃業者に依頼することになる。
おそらくだが、そのオーディオメーカーから産廃業者へは処分費が払われているはずだ。

リサイクルできるモノが大きく含まれていれば、
買い取りと処分費を計算して、差額を産廃業者が請求したり、
産廃業者が支払ったりするはずだ。

今回の件は、メーカー側が産廃業者ときちんと契約して費用を支払っている、と思われる。

にも関らず、この産廃業者は、
引き取った、いわゆる産廃を中古オーディオ店に売っている。

つまりメーカーからと、中古オーディオ店からと、
その両方からお金を受けとっているわけだ。
横流しであり、メーカーとの契約違反のはずだ。

買い取ったオーディオ店も、そのへんの事情はわかっていたようだ。
だから、シリアルナンバーを消して売っている。

しかも、そのオーディオ店のウェブサイトでは、
過去に販売した中古オーディオ機器の履歴も、情報のひとつとして公開している。

なのに、今回のジャンクに関しては、その履歴を完全に消してしまっている。
ということからも、このオーディオ店は産廃業者が横流ししたことをわかっていたと思う。

中古を扱う店なのだから、この店自体も産廃業者を使っているであろう。
そのへんのシステムも知っているとみていい。

処分を依頼したメーカーからすれば、産廃業者と中古オーディオ店の行いは、
もうグレーゾーンではないはずだ。

これらのジャンクを購入した転売ヤーは、まとめて購入したのだろうか。
かりにそうだとしたら、この中古オーディオ店は、何も怪しまなかったのか。

私の憶測でしかないが、このオーディオ店は、かなりわかっていたうえで、
それらのジャンクを売ったように思われる。

最初にやってはいけないことをしたのは、横流しの産廃業者なのだが、
この中古オーディオ店は、見ようによってはかなり悪質ではないだろうか。

Date: 8月 6th, 2021
Cate: 日本のオーディオ

日本のオーディオ、これから(こんなことが起っている・その1)

二ヵ月ほど前だったか、
ある人のソーシャルメディアへの投稿は、
ある中古オーディオ店へのリンクが貼ってあった。

クリックすると、ある特定のメーカーのジャンクといえる状態のオーディオ機器が、
アンプ、プレーヤー、CDプレーヤーなど、かなりの点数が表示される。

あきらかに故障している、というより破損している状態の機器ばかりである。
どういうことなのだろうか、と思いつつも、
それらに付けられている価格は、非常に安価だった。

あれはなんだったんだろう……。
そう思いはしたが、それ以上、投稿した人に訊ねることもしなかった。

今日、少しばかり詳細を知った。
あるメーカーが耐久試験を行ったオーディオ機器を大量に処分した。
これをある廃棄業者がまとめて引き取っている。

通常ならば、廃棄業者は、それらの京浜を部品ごとにバラバラにして、
使える材料とそうでないモノとに分類していく。

ところが、この廃棄業者は、これらの破損したオーディオ機器を、
ある中古オーディオ店に横流しした。

私が少し前に見たのは、そういう廃棄処分されたオーディオ機器だったわけだ。

その店はジャンクとして売った。
ここまでなら、あえて書くようなことはしない。

ところが、これらのジャンクを大量に購入した転売ヤーがいた。
彼らは不具合の隠したまま、ヤフオク!に出品。

そういう事情を知らない人たちが落札。
届いたモノは、ヒドい状態のモノ。当然トラブルになっている──。

そういうことである。

どのメーカーなのか、どのオーディオ店なのかも聞いている。
今回は固有名詞は出さない。

Date: 7月 30th, 2021
Cate: 日本のオーディオ

リモート試聴の可能性(その11)

(その3)で、
自分のシステムの音を一度録音して、そのシステムで再生すると、
音の癖が二倍に強調される、というコメントがあったことを書いている。

なぜ、そうなるのか。
何を聴いているのか、ということにつきる。

つまり、そこで鳴っている音とそこで聴いている音の違いである。

自分のシステムで音楽を聴く、音を聴く。
それは、そこで聴いている音である。

自分のシステムの音をマイクロフォンで拾って録音し、
それをまた再生して聴くのは、そこで鳴っている音である。

マイクロフォンが捉えているのは、あくまでもそこで鳴っている音である。
もちろん、そこで鳴っている音すべてをマイクロフォンが捉えているわけではないが、
それでも、そこで鳴っている音をマイクロフォンは捉えている。

マイクロフォンが、そこで聴いた音を、われわれはオーディオを介して聴いているわけではない。

では、自分のシステムの音を、
誰か録音のプロフェッショナルに録ってもらったら、どうなるのか。

これは考えていくと、なかなかおもしろいことである。