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Date: 1月 9th, 2016
Cate: audio wednesday

第60回audio sharing例会(アンプを愉しむ・その4)

1月のテーマは、アンプの愉しむであり、アンプを選ぶではなかった。
とはいっても、今回のaudio sharing例会に参加された方がたは、
それぞれに気に入った音のアンプがあったと思う。

私は、というと、是枝重治氏のパワーアンプ三機種の中で、
7695シングルアンプが印象に残っている。

真空管の、それもシングルアンプというと、
私の中では、はっきりとしたイメージがある。
7695シングルは、まさにそういう音がしてくれた。

私がもっているシングルアンプの音のイメージが、
多くの人がもつイメージとどれだけ重なっているかはわからない。
だから、私が7695シングルをシングルアンプらしい音の良さを聴かせてくれた、といっても、
別の人が聴けば、シングルアンプらしさを感じない、ということになるかもしれない。

それでも、7695シングルはシングルアンプの良さがあった、と感じている。
スピーカーが能率が高いということもあって、その良さが活きていた。

是枝氏のコントロールアンプとの組合せでも良かったけれど、
ゴールドムンドのMIMESIS7との組合せにも惹かれるものがあった。

では、今回聴いたアンプの音で、この組合せを選ぶのかときかれれば、
選択の条件次第ということになる。

アンプを何ひとつ所有していなくて、
今回聴いたアンプから一機種(ペア)だけを選ぶということになると、
ゴールドムンドのペアということになる。

けれど、すでにアンプを所有していて、それも気に入っているアンプということで、
もうひとつアンプを、ということであれば、ゴールドムンドのMIMESIS7と7695シングルをとる。

是枝氏の7695シングルの音を聴いていると、
これこそが五極管シングルアンプの音だ、といいたくなる。

こんないい方がどんなに乱暴な表現なのかはわかっている。
それでも、そういいたくなる良さを感じ、
7695という真空管(今回初めて聴いた)への関心ももつことができた。

私だったら、こう作るかも、ということを想像する愉しみもあった。

Date: 1月 8th, 2016
Cate: audio wednesday

第61回audio sharing例会のお知らせ(聴感上のS/N比)

2月のaudio sharing例会は、3日(水曜日)です。

今週水曜日のaudio sharing例会の終りのほうで、あることをスピーカーの施した。
やったことに対して音の変化の大きさに、驚きがあった、と私は感じていた。

ちょうどその時かけていたCDはアナログ録音で、テープヒスも聴こえてくるものだった。
そのテープヒスが、ノイズリダクションでもかけたように、耳につかなくなったので、
ある人は、グッドマンのトゥイーターDLM2を何かで覆ったのでは? と思ってしまったそうだ。

昔ヤマハのNS10Mのトゥイーターのティッシュペーパーで覆うというのが流行ったことがある。
だから、そう思われたのかもしれない。

けれど、それをやってしまうと、高域のレスポンスが減衰する。
それでいい結果が得られれば、いいということになるが、
それでも、その手法は一時しのぎ、またはごまかしともいえる。

今回私がやったのは、そういうことではない。

今回の例会では、こんなこともあった。
クイーンのCDをかけたら、フレディ・マーキュリーの声が若すぎる、という声があった。

これはネットワークに問題がある、という指摘があった。
喫茶茶会記のスピーカーのネットワークはアルテック純正ではない。
店主の福地さんが選んだモノが接続されている。

このネットワークの出来が満点とは、私だって思っていない。けれど大きな問題を抱えている、とも思っていない。

私は、フレディ・マーキュリーの声が若すぎるのはネットワークのせいではない、といったけれど、
それでもネットワークに問題がある、と言われる。

ネットワークに問題がなかったことは、私が施したことによる音の変化で確認できた。

聴感上のS/N比をよくするために、それまでさまざまなことを試してきて、実際に成果を出してきて、
聴感上のS/N比とはどういうことなのかを理解している人ならば、
ネットワークに起因することでないのは判断できることなのに……、とどうしても思ってしまう。

聴感上のS/N比は、いまでは特別な言葉ではなくなっている。
そのこと自体はけっこうなことだが、聴感上のS/N比が正しく理解されているのかは、私は疑問を持っている。

残念なことに、フレディ・マーキュリーの声が若すぎるのはネットワークのせいだ、と主張された人は、
途中で帰られたため、私がスピーカーに施したことによる音の変化を聴かれていない。
それでも聴いた人もおられる。

ここでの音の変化を聴いた人たちには、今回のこと、音の変化は共通体験として残っている。
だから、今回のテーマは聴感上のS/N比にする。

これまで聴感上のS/N比について話しても、ある種のもどかしさを感じていたが、
今月の例会をやったことで、そういうもどかしさはなくなったのではないだろうか。
だから話せることがある、話せるレベルのことがある。

そういうわけで、今月の例会での音の変化を聴いていない人には、あまり実感のわかない内容になるはずだ。

場所もいつものとおり四谷三丁目のジャズ喫茶・喫茶茶会記のスペースをお借りして行いますので、
1000円、喫茶茶会記にお支払いいただくことになります。ワンドリンク付きです。

Date: 1月 7th, 2016
Cate: audio wednesday

第60回audio sharing例会(アンプを愉しむ・その3)

昨夜、私にとって驚きといえることもあった。
喫茶茶会記のお客さん、つまりオーディオには何の関心もない人が、
途中から参加された。

アンプの音は一通り聴いた後だった。
三人のうち、ひとりはプロのダンサーということだった。
少し聴かれていたら、「踊ってもいいですか」ときかれた。
ことわる理由は特にないので、踊ってもらった。

こういうことが起るのは、ここが喫茶茶会記だからである。
オーディオ雑誌の試聴室やオーディオ店では、こういうことは起きない。

そんなこと起きない方がいい、と思う人が多いのかもしれないが、
少なくとも昨夜鳴っていた音は、プロのダンサーが踊りたくなる音であったのだろう。

踊れない音、というものもあると思う。

三人のうち一人は女性だった。
「バグダッド・カフェのような感じがする、なぜだろう……」とくり返していた。
そういえば、バグダッド・カフェ(映画)を観ていないことに気づき、
そもに対して、何の返答もしなかったけれど、ここでの「バグダッド・カフェのよう」は褒め言葉だった。

少なくとも、昨夜鳴っていた音の何かが、彼女にバグダッド・カフェを想起させたのかもしれない。

23時をすぎたころ、プロのダンサーの人が、今度は椅子にこしかけて、
真剣に鳴っている音(音楽)を聴いている姿は、印象に残っている。
背筋をのばして、両手は膝の上において正しい姿勢で聴かれていた。

この時、別のところをいじって、音を変えていた。
その音の変化に対しても、彼にとっては初めての体験であっただろうが、
真剣に耳を傾けている姿は、ここ(喫茶茶会記)で、
こういうことをやった意味があったかも、と思わせてくれた。

まだまだやりたいことはいくつもあった。
喫茶茶会記のアルテックの音は、まだまだ良くなる余地がそうとうにある。

私のスピーカーではないから、あえて積極的には手を出さないようにしている。
それでもこの一年で、少しずつあれこれ店主の福地さんをそそのかしてやっていこうとたくらんでいる。

今日、片付けに喫茶茶会記に昼間行っていた。
Kさんとふたりで片付けながら、またやりたいですね、と話した。

Date: 1月 7th, 2016
Cate: audio wednesday

第60回audio sharing例会(アンプを愉しむ・その2)

昨夜は、私とKさんは喫茶茶会記に15時半ごろには着いていた。
アンプの梱包をといて、アンプの置き台を用意して、そのうえにセッティングしていく。
アンプのAC極性をチェックしながら、配線、それから音出しのチェックを行う。

喫茶茶会記はステレオサウンドの試聴室とは違う。
それに伴ういくつかの制約はある。
ケーブルに関してもそうである。

スピーカーケーブルに関しては、試聴室レベルとは到底いえない。
ここもきちんとやれば、もっといい結果が得られるはわかっているけれど、
時間という制約もある。
その中で、今回はアンプの試聴ということなのだから、
そのために必要なことを選択して、それを優先してやっていく。

傍で見ているだけの人からすれば、
あそこがいいかげんだな、と思うだろう。
それはすべてわかってやっている。

その人が気づかないことも、やっている者は気づいている。

今回一通りアンプを聴き終り、何人か換えられたあと、
スピーカーに関するセッティングを手直しした。

ここで、何をやったのかは書かない。
昨夜、最後までいた人は、私が何をやったのかはわかっている。
そして、彼らは、そのことによる音の変化に驚いていた。

その驚きは、アバド/ポリーニのバルトークのピアノ協奏曲を初めて聴いた驚きとは違う種類のもの。
私がやったことは、ここで何度も書いている聴感上のS/N比に関係することである。

オーディオ雑誌で聴感上のS/N比という言葉をみても、なかなか実感のわくものではないのではないか。
わいていたとしても、ズレたものであることも少なくない。

昨夜やったことは、はっきりと聴感上のS/N比を向上させることである。
スピーカーを正面から見ていても、何をやったのかはわからないことをやっている。

費用も手間もほとんどかかっていない。
けれど、私がやったことに対して、アルテックのスピーカーは素直に反応してくれていた。
アンプの違いについても、そうだった。

これも、驚きのひとつとして受けとめた方もいると思う。

Date: 1月 7th, 2016
Cate: audio wednesday

第60回audio sharing例会(アンプを愉しむ・その1)

毎月第一水曜日に四谷三丁目のジャズ喫茶喫茶茶会記で行っているaudio sharing例会。
昨夜は60回目、丸五年やってきたわけだ。

以前書いているように、喫茶茶会記のスピーカーが新調され、
常連のKさんがアンプを持ち込んでくれることになり、アンプの試聴会を行った。

audio sharing例会で本格的な音出しは今回が初めてである。
初めて来られる方もいるかな、と思ったけれど、
来られた方は常連の方ばかりで、その分、愉しんでもらえたように感じた。

アンプは是枝重治氏のアンプがコントロールアンプが一機種、パワーアンプが三機種がメインといえよう。
管球王国19号に発表されたコントロールアンプを固定して、
ラジオ技術2013年12月号発表の6AQ5プッシュプル、管球王国57号の7695シングル、
管球王国59号発表の807Aプッシュプルの順に聴いていった。

807Aプッシュプルを聴いた後で、コントロールアンプをゴールドムンドのMIMESIS7に替える。
MIMESIS7と807Aプッシュプルの音を聴いて、パワーアンプを7695シングルに替える。

次はオーラデザインのプリメインアンプVA40、
それからゴールドムンドのMIMESIS7とMIMESIS6のペアを聴いた。

スピーカーシステムはアルテックだが、
通常のセッティングではなく、この日のためにセッティングを変えた。
通常の喫茶茶会記での鳴り方とはずいぶん違った面を出せたと思っている。

ゴールドムンドのペアで、試聴ディスク以外をかけることになった。
そこでポリーニ/アバドのバルトークのピアノ協奏曲が鳴った。
1977年の録音である。

いまではバルトークの音楽は現代音楽ではなくなっているけれど、
このころは、まだ現代音楽であったように、私は感じている。
だからこそのアバドとポリーニの演奏だと思っている。

ここでの両者の気迫は、このディスクを最初に聴いた時、圧倒された。
いまでもそのことははっきりと憶えている。

アルテックのA7に準ずるユニット構成で、
そんなバルトークが鳴るものか、と思われるかもしれないが、
昨夜来られていた人で、このディスクを初めて聴いた人は、驚いていた。

そうだろうと思っていた。
まだまだ十全な鳴り方とはいえないところも多々あるけれど、
それでも1977年に、この演奏がなされた意図は、その音から伝わってきたのではないだろうか。

Date: 1月 5th, 2016
Cate: audio wednesday

第60回audio sharing例会のお知らせ(アンプを愉しむ)

今月のaudio sharing例会は、6日(水曜日)です。

明日の試聴機器です。
CDプレーヤーは、喫茶茶会記常備のラックスのD38u。

アンプは是枝重治氏のアンプがコントロールアンプが一機種、パワーアンプが三機種。
コントロールアンプは管球王国19号に発表されたモノで、組立ては別の人とのこと。
パワーアンプは、管球王国59号発表の807Aプッシュプル、管球王国57号の7695シングル、
ラジオ技術2013年12月号発表の6AQ5プッシュプル。
パワーアンプはすべて是枝氏の組立て。

トランジスターアンプはゴールドムンドのMIMESIS6とMIMESIS7のペア、
それからオーラデザインのプリメインアンプVA40。

この他は喫茶茶会記常備のマッキントッシュの管球式プリメインアンプMA2275、
コントロールアンプのC27の予定です。

あとARのModel 6。
CelloのAudio Paletteと同コンセプトのイコライザー。

スピーカーはアルテックの416-8C(ウーファー)、807-8A+811B(ドライバー+ホーン)、
グッドマンDLM2(トゥイーター)。
エンクロージュアはジェンセンがオリジナルのウルトラバスレフ型(日本では昔オンケン箱とも呼ばれていた)。

今回はスピーカーのセッティングを少し変えようと考えています。

場所もいつものとおり四谷三丁目のジャズ喫茶・喫茶茶会記のスペースをお借りして行いますので、
1000円、喫茶茶会記にお支払いいただくことになります。ワンドリンク付きです。

Date: 1月 4th, 2016
Cate: audio wednesday

第60回audio sharing例会のお知らせ(アンプを愉しむ)

今月のaudio sharing例会は、6日(水曜日)です。

ラジオ技術、管球王国に真空管アンプを発表されている是枝重治氏。
是枝氏が管球王国に発表されたアンプも、常連のK氏のご好意で聴けることになりました。

メーカー製のアンプと一緒に聴ける機会は、あまりないと思います。

場所もいつものとおり四谷三丁目のジャズ喫茶・喫茶茶会記のスペースをお借りして行いますので、
1000円、喫茶茶会記にお支払いいただくことになります。ワンドリンク付きです。

Date: 12月 30th, 2015
Cate: audio wednesday

第60回audio sharing例会のお知らせ(アンプを愉しむ)

2016年1月のaudio sharing例会は、6日(水曜日)です。

以前、瀬川先生がいわれたことがある。
定期的に来られていた熊本のオーディオ店での、アンプの試聴のときだった。

わかりやすくいえば、スピーカーの音の違いは人に例えれば外面であり、
アンプの音の違いは人の内面に関係することだから、
スピーカーによる音の違いと較べると、わかりにくい、把握しにくい──、
そんな趣旨のことを話された。

もちろん、ここでの話されたことがアンプによる音の違いのすべてではないわけだが、
たしかにそういう面があることはいえよう。

実際にスピーカーの違いはすぐにわかるけれど、
アンプの違いはわかりにくい、という人もいるのは、そういうこととの関係でもあるはずだ。

ステレオサウンド 36号で、黒田先生がアンプの音について書かれている。
     *
 かつてぼくは、アンプを食物にたとえたことがあった。たとえはついにたとえでしかなく、本質をいうことはできないにしても、食物が人間の身体に与える、じわじわとした、決してきわだちはしないが、確実な影響は、アンプがききてに与える影響と似ているところがあると思う。そのたとえにならっていえば、スピーカーは、部屋の窓にさげるカーテンということになるかもしれない。
     *
瀬川先生の喩えも黒田先生の喩えも、首肯ける。

場所もいつものとおり四谷三丁目のジャズ喫茶・喫茶茶会記のスペースをお借りして行いますので、
1000円、喫茶茶会記にお支払いいただくことになります。ワンドリンク付きです。

Date: 12月 29th, 2015
Cate: audio wednesday

第60回audio sharing例会のお知らせ(アンプを愉しむ)

2016年1月のaudio sharing例会は、6日(水曜日)です。

すでに告知しているように、1月のaudio sharing例会はアンプをいくつか集めての音出しを行う。
アンプ試聴と書かなかったのは、厳密な比較試聴ではなく、アンプの音を愉しみたいという目的からである。

アンプの大半は常連のKさんが用意してくださる。
トランジスターアンプだけではなく、真空管式アンプも加わる予定である。

毎回例会は19時から始まり、23時くらいまでやることもある。
今回は音を出すのが中心になり、しかもアンプを切り替えてということもあるので、
おそらく23時くらいまでやまことになると思う。

四時間やっている。
途中入場も途中退場も自由である。
堅苦しい雰囲気にはしたくない、と思っている。

アンプを愉しむ、といっても、基本は試聴であるから、
かけるCDは何枚かは同じものを使うことになる。
ただ、その数枚をくり返しかけるのではなく、リクエストがあれば応じていきたいとも思っている。

実際にはやってみないことにはなんともいえないが、
できるだけ臨機応変にやる予定である。

リクエストには応じる予定でいるので、聴きたいCDを持ってきていただきたい。

場所もいつものとおり四谷三丁目のジャズ喫茶・喫茶茶会記のスペースをお借りして行いますので、
1000円、喫茶茶会記にお支払いいただくことになります。ワンドリンク付きです。

Date: 12月 16th, 2015
Cate: audio wednesday

第60回audio sharing例会のお知らせ

2016年1月のaudio sharing例会は、6日(水曜日)です。

何度か告知しているように、1月の会はアンプの比較試聴を行う。
といっても、厳密な意味での比較試聴ではなく、
もっと気楽な意味でのアンプの聴き較べと思っていただきたい。

今回はそうなるわけだが、いつかは厳密な意味での比較試聴というものを、
喫茶茶会記のスペースでできるだけ再現してみたい、と考えている。

ここでの比較試聴とは、私がいたころのステレオサウンドでの試聴が、
どんな感じで行われていたのかを、大事なポイントを抑えなから再現できないか、と思っている。

アンプの比較試聴でもいいし、カートリッジの比較試聴でも、
対象となる機器は特にこだわらない。

どれかに決めて、例えばカートリッジの試聴ならば、どういったことに気をつけて試聴を行っていたのか。
私がいたころ、カートリッジの試聴は井上先生だけだった。

この時の記事は私が担当だったから、どんなふうに試聴を進んでいったのかははっきりと憶えている。
どういうことに注意しながら、プレーヤー、カートリッジ、トーンアーム、レコードを扱っていたのか、
そのへんのことも細かなことまで憶えているから、というよりも身体感覚となっているから、
いくつかの制約の中であっても、再現できる自信はある。

人によっては、そんな細かなことにまで気を使ってやっているのかと思われるかもしれないし、
その程度なのかと思われるかもしれない。

どちらであっても、想像以上に試聴はしんどいものであることは伝えられるはずだ。

Date: 12月 3rd, 2015
Cate: audio wednesday

audio sharing例会(今後の予定)

2016年1月のaudio sharing例会ではアンプの試聴会を行う。
この試聴会とは別に、モノーラルCDを聴く会、というものも予定している。

私のところにはJBLのホーン2397がある。
コンプレッションドライバー2441もある。
スロートアダプターの2329もある。

2329は、コンプレッションドライバー二発を一本のホーンに取りつけるためのアダプターである。
2441が四発あればステレオで、ということもできるのだが、二本しかないから、
2397に2441をダブルで取りつけられるのは一本だけ、つまりモノーラルになってしまう。

喫茶茶会記のウーファーはアルテックの416-8C、15インチのコーン型である。
上の帯域がダブルなら、とうぜん下の帯域もダブルである。

左右ふたつのエンクロージュアを近接配置して、そのうえに2397+2441×2をのせる。
アルテックとJBLの混合部隊になってしまうが、
ウーファーもドライバーもダブルというシステムを構成できる。

これをネットワークで鳴らすのもいいければ、せっかくだからマルチアンプ(バイアンプ)で鳴らす。
喫茶茶会記のアンプはマッキントッシュの管球式プリメインアンプMC2275。
このMC2275の左右チャンネルを低域と高域にふりわける。

具体的にはCDプレーヤーとMC2275のあいだに、
コンデンサーと抵抗によるパッシヴのハイカットフィルターとローカットフィルターを挿入する。
ハイカットフィルターをMC2275の左チャンネルに、ローカットフィルターを右チャンネルに接続すれば、
左チャンネルは低域用、右チャンネルは高域用アンプとなり、
モノーラルCDしか聴けないが、プリメインアンプ一台でバイアンプが実現できる。

低域・高域のレベルコントロールはバランスコントロールで行える。
やや特殊なシステム構成となるが、おもしろいサウンドが期待できそうな予感もある。

モノーラルCDしか聴けない特殊な試聴会になるが、来年ぜひやってみたいと考えている。
ただ2397と2441(二発)、2329を私の部屋から運ぶ手段をどうするかが、
ちょっと面倒に感じているけれど……。

Date: 12月 3rd, 2015
Cate: audio wednesday

第60回audio sharing例会のお知らせ

2016年1月のaudio sharing例会は、6日(水曜日)です。

次回の例会でちょうど60回。まる五年になる。
だからというわけでもないが、アンプをいくつか集めての試聴会を予定している。

スピーカーは喫茶茶会記のアルテックの2ウェイをメインに、グッドマンのトゥイーターを足したシステム。
今日も例会の終りの一時間は、このスピーカーを鳴らしていた。
前回、少し不備があったネットワークが別のモノに置き換えられていた。
良くなった点もあるし、気になる点もいくつかあるように感じた。

アルテック本来の明るさと、やや異質の明るさを感じたのはネットワークのせいなのかもしれない。
市販品のネットワークなのだが、コイルとコンデンサーの配置を見ると、
ネットワークのパーツ配置の基本は、すでに忘れ去られているのか、と思ってしまう。
同じパーツでも、配置を変えれば、とも思う。
このへんはもう少し詰めていく必要があるけれど、
ホーンの鳴きの処理を含めて、今後、少しずつ音が整えられていくと思う。

どんなアンプが集まるかは、もう少し先になって報告する。
最新のアンプではなく、私と同世代、もしくは上の世代の方にとって懐しいアンプがいくつか集まる予定。

かけるソースはジャズが多くなると思うし、
アンプの入れ替えがスムーズに進んで時間に余裕があれば、
ディスクをお持ちいただければリクエストにも応じられると思う。

場所もいつものとおり四谷三丁目のジャズ喫茶・喫茶茶会記のスペースをお借りして行いますので、
1000円、喫茶茶会記にお支払いいただくことになります。ワンドリンク付きです。

Date: 11月 30th, 2015
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第59回audio sharing例会のお知らせ(スピーカーの変換効率とは)

12月のaudio sharing例会は、2日(水曜日)です。

今回のテーマは、意外にもにもいろんなことを思い出させてくれる。
五年前に「確信していること(その1)」を書いた。
たった三行である。

瀬川先生が追い求められていた音とは、
クレデンザ、HMVの♯202、203といったアクースティック蓄音器の名器の音を、
真の意味でワイドレンジ化したものだった、と確信している。

これは私にとって長い間考え続けてきているテーマでもある。
良質の、というよりも極上のアクースティック蓄音器の音をワイドレンジにできるのか。

ステレオサウンド別冊「世界のオーディオ」ALTEC号で、瀬川先生が書かれていることを、
このことに関連して思い出す。
     *
 そこで再びアルテックだが、味生氏の音を聴くまでは、アルテックでまともな音を聴いたことがなかった。アルテックばかりではない。当時愛読していた「ラジオ技術」(オーディオ専門誌というのはまだなくて、技術専門誌かレコード誌にオーディオ記事が載っていた時代。その中で「ラ技」は最もオーディオに力を入れていた)が、海外製品ことにアメリカ製のスピーカーに、概して否定的な態度をとっていたことが私自身にも伝染して、アメリカのスピーカーは、高価なばかりで繊細な美しい音は鳴らせないものだという誤った先入観を抱いていた。
 味生氏の操作でシュアのダイネティックが盤面をトレースして鳴り出した音は、そういう先入観を一瞬に吹き払った。実に味わいの深い滑らかな音だった。それまで聴いてきたさまざまな音の大半が、いかに素人細工の脆弱な、あるいは音楽のバランスを無視した電気技術者の、あるいは一人よがりのクセの強い音であったかを、思い知らされた。それくらい、味生邸のスピーカーシステムは、とびきり質の良い本ものの音がした。
 いまにして思えば、あの音は味生氏の教養と感覚に裏づけられた氏自身の音にほかならなかったわけだが、しかしグッドマンとアルテックの混合編成で、マルチアンプで、そこまでよくこなれた音に仕上げられた氏の技術の確かさにも、私は舌を巻いた。その少し前、会社から氏の運転される車に乗せて頂いたときも、お宅の前の狭い路地を、バックのままものすごいスピードで、ハンドルの切りかえもせずにグァーッとカーブを切って門の中にすべりこませたそれまで見たことのなかった見事な運転に、しばし唖然としたのだが、音を聴いてその驚きをもうひとつ重ねた形になった。
 使い手も素晴らしかったが、アルテックもそれに勝とも劣らず、見事に応えていた。以前聴いたクレデンザのあの響きが、より高忠実度で蘇っていた。最上の御馳走を堪能した気持で帰途についた。
     *
これを改めて読みなおしてより確信している。
そして、アクースティック蓄音器の響きを、より高忠実度で蘇らせるには必要なことはなんだろう、と考える。
絶対条件とは断言できないけれど、スピーカーの変換効率の高さは深く関係しているような気がする。

低能率のスピーカーシステムからは、そういう音は絶対に出てこない──、
これもまた断言できずにいる。
出てくるのかもしれないが非常に出難いように、いまのところは感じている。

場所もいつものとおり四谷三丁目のジャズ喫茶・喫茶茶会記のスペースをお借りして行いますので、
1000円、喫茶茶会記にお支払いいただくことになります。ワンドリンク付きです。

Date: 11月 29th, 2015
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第59回audio sharing例会のお知らせ(スピーカーの変換効率とは)

12月のaudio sharing例会は、2日(水曜日)です。

昨年7月に「自由奔放に鳴るのか」を書いた。
書き始めたばかりの別項「手本のような音を目指すのか」とも関係してくることでもある。

自由奔放に鳴る音は、手本になるような音ではないはずだ。
自由奔放に鳴る音のスピーカーが、いまの時代に現行製品として少なくなってきているように感じている。
スピーカーの性能としての物理特性が向上していくということは、そういうことなのかもしれない。
そうは思いながらも、何か違うのではないか……、とも思っている。

そういえば毎月、この例会で場所を提供してくれている喫茶茶会記のスピーカーはアルテックであり、
いまアルテックはなくなってしまった会社である。

アルテックといえば、
ステレオサウンド別冊のALTEC号の巻頭に山中先生が書かれていたことも思い出す。
こう書いてあった。
     *
 一つの興味深い例として、アルテックと非常によく似た構造のコンプレッシャー・ユニットを使うJBLのスピーカーシステムと比べた場合、JBLがどちらかといえばシャープで切れ味本位の、また言葉をかえれば、各ユニットを強力に束縛して自由をおさえた設計をとっているのに対し、アルテックは同じようなユニットを自由に余裕をもって働かせている印象が強い。
 これが実は、アルテック・サウンドを分析するファクターで、独特のあたたかみ、そして一種の開放感を有無もとととなっている。したがってアルテックのスピーカーは、一歩使い方をあやまると、やたら百花斉放な音にもなりかねないが、しかし、この性向をうまく活かして使った場合、たとえばオーケストラなどスケールの大きなダイナミックレンジの広い音の再生を際立たせることができる。また、充実した中音域によって、人の声、合唱、そうしたメンタルな要素の覆いソースをすばらしく聴かせることも容易だ。
     *
衰退していく前のアルテックは、まさに自由奔放に鳴ってくれるスピーカーの代表であった。
そのアルテックがなくなってしまった大きな理由は別のところにあるのだが、
それを承知のうえで時代の流れ(変化)ゆえ、といいたくもなる面もあるのではないだろうか。

自由奔放に鳴るスピーカーをうまく活かして使えば……、とこのごろ強く思う時がある。

場所もいつものとおり四谷三丁目のジャズ喫茶・喫茶茶会記のスペースをお借りして行いますので、
1000円、喫茶茶会記にお支払いいただくことになります。ワンドリンク付きです。

Date: 11月 21st, 2015
Cate: audio wednesday

第59回audio sharing例会のお知らせ(スピーカーの変換効率とは)

12月のaudio sharing例会は、2日(水曜日)です。

アナログディスクの生産量が増えている、というニュースを今年は何度か目にした。
カセットテープの人気も復活している、というニュースもあった。

インターネットで「アナログ回帰」で検索すると、
こんなにも……、と思うほど検索結果が表示される。

デジタルの音は冷たい、アナログの音はあたたかい──、
そんなことがいわれ続けているし、ここに来て、その声は大きくなりつつあるようだ。

このことと同時に言われてきたのは、
アナログディスク再生でも、CDよりもぎすぎすした音、冷たい音の製品はいくつもあったということだ。
アナログはあたたかい、デジタルは冷たい──などと、そう簡単にはいえないにも関わらず、
アナログ回帰ということで、短絡的な評価が罷り通りはじめようとしている気もしてくる。

アナログディスクの人気は、もはやブームではなく、完全な復活だという人も出て来ている。
ほんとうにそうだろうか、と私は懐疑的に見ている。

私はアナログディスクとCDは、
エネルギー伝送メディアと信号伝送メディアというふうに捉えている。

アナログディスクはエネルギー伝送メディアであり、
ならばそこで重要となってくるのはエネルギーの変換効率ではないだろうか。
それは、何もカートリッジの電磁変化効率だけではない、
最終的に音を発するのは、もうひとつの電磁変換機であるスピーカーである。

ならば、ここでも変換効率の高さは、エネルギー伝送メディアの再生においては非常に重要なことのはずだ。
にも関わらず……、と私は思っている。

12月のaudio sharong例会では、スピーカーの変換効率について話す予定である。
スピーカーのことにとどまらず、アナログディスクのことまで話を広げるかもしれない。

場所もいつものとおり四谷三丁目のジャズ喫茶・喫茶茶会記のスペースをお借りして行いますので、
1000円、喫茶茶会記にお支払いいただくことになります。ワンドリンク付きです。